2003年の全日本GT選手権
2003年の全日本GT選手権 | |||
前年: | 2002 | 翌年: | 2004 |
2003年の全日本GT選手権(JGTC)は、2003年3月29日・30日にTIサーキット英田で開幕し、2003年11月15日・16日に鈴鹿サーキットで閉幕した全8戦のシリーズである。
前年からの主な変更点
レギュレーション
車両規定
この年は大幅な車両規定の変更が行われた。
- サスペンションの形式・エンジンルーム内においてのエンジン搭載方向・トランスミッションの搭載位置(トランスアクスル レイアウト化=後輪車軸上にデフと共に配置)の自由化。
- ベース車両のモノコックは車室部分のみを使用し、車両前後をパイプフレーム化。
- ホイールベース間のフラットボトム化、ディフューサーの小型化 等、空力装置の制限を追加。
- 高地のサーキット(富士スピードウェイ,オートポリス)において、自然吸気(NA)エンジン車のリストリクター径を補正(大径化)。
- ベース車の前面投影面積が大きいマシンにウエイトの軽減が行われた。
競技規定
- ピット作業内で、給油中のタイヤ交換を禁止。
- ドライブスルーペナルティー(=ピットロードを必ず通過するペナルティー)の導入。
- GT300の決勝順位のウエイトハンデの軽減(5位以下)を、-10kg→-15kgに変更。
レーススケジュール
- 前年よりシリーズに組込まれたマレーシアはSARSの流行により中止され、代替レースが富士スピードウェイで行なわれた。
- MINEサーキットに代わってオートポリスが開催地に加わり、以後2009年のSUPER GTまで毎年10月のオートポリス戦開催が恒例となる。
- 12月には上海でオールスター戦を実施する計画もあったが、現地オーガナイザーの受け入れ態勢が整っていないなどの理由で中止された。
マシン
GT500
スープラ
- トヨタ自動車陣営は、車種こそ引き続きスープラで変わらないものの、搭載エンジンを2L・ターボの3S-GTEから、NAエンジンの3UZ-FEに変更した。なお、この年のレギュレーションでは「大排気量のNAエンジンが有利」との判断から[1]、排気量を4.3Lから5.2Lまで拡大している。
NSX
- ホンダ陣営は、引き続きNSXで変わらないものの、エンジン搭載を横置きから縦置きに変更した。今年から導入された前面投影面積による車重補正規制(スープラを基準とし、GT-Rはマイナス補正に対し、NSXはプラス補正)により前半は苦戦したが、エンジンや車体空力の改善[2]により復調し、第5戦と第6戦とで優勝した。
スカイラインGT-R
- ニッサン陣営は、引き続きGT-Rで3年連続の3台のみの参戦(NISMOの2台とIMPUL)となった。搭載エンジンは、昨シーズン途中から換装したVQ30DETTと変わらないものの、トランスミッションはトランスアクスルレイアウト化を行った。また前面投影面積による車重補正規制で、マイナス補正された為、シーズン3勝(IMPUL 2勝、NISMO 1勝)を飾り、23号車がシーズン総合優勝を飾った。
- 排ガス規制の強化に伴い前年8月にGT-Rの販売が休止された関係から、この年をもってGT-Rの参戦は休止となり、翌年からはフェアレディZ(Z33系)に変更した。
GT300
この年は3台のニューマシンが登場した年である。
- 昨シーズン優勝したAUTOBACS RACING TEAM AGURI(43号車)は、車両をトヨタ・MR-SからASL・ガライヤに変更した。
- 2000年で一旦参戦を休止していたトヨタ・セリカが復活。7代目(T230系)が順次参戦した(19号車は第3戦から、71号車は第5戦から、17号車は最終戦のみ)。
- ハセミモータースポーツ(3号車)は、車両をシルビア(S15系)からフェアレディZ(Z33系)に変更した。
また、ニューカマーマシンではないが、いくつかのチームが新車を投入した。
- ジムゲイナーがF360を投入。このマシンは、童夢との共同開発で製作された。そのため、風洞実験も重ねられ随所に500クラスのNSXのノウハウがつぎ込まれている。
- チームタイサンが第2戦から55号車バイパーが新型モデルに変更した。
エントリーリスト
GT500クラス
No. | マシン | ドライバー | エントラント | タイヤ |
---|---|---|---|---|
1 | エッソウルトラフロースープラ | 脇阪寿一 飯田章 |
ESSO TOYOTA Team LeMans | B |
8 | ARTA NSX | 土屋圭市 金石年弘 |
AUTOBACS RACING TEAM AGURI | B |
12 | カルソニックスカイライン | ブノワ・トレルイエ 井出有治 |
TEAM IMPUL | B |
16 | G'ZOX 無限 NSX →G'ZOX NSX(第6戦より) |
伊藤大輔 トム・コロネル |
無限 →童夢 レーシングチーム(第6戦より) |
B |
18 | TAKATA 童夢 NSX | 道上龍 セバスチャン・フィリップ→ パオロ・モンティン(第7戦のみ) |
童夢 レーシングチーム | B |
22 | モチュール ピットワーク GT-R | 影山正美 リチャード・ライアン |
NISMO | B |
23 | ザナヴィ ニスモ GT-R | 本山哲 ミハエル・クルム |
NISMO | B |
25 | ADVAN スープラ | 荒聖治→ 野田英樹(第2戦のみ) ジェレミー・デュフォア |
TEAM ADVAN・ツチヤ | Y |
35 | プロジェクトμ エスペリア スープラ | 服部尚貴 脇阪薫一 |
KRAFT | D |
36 | WOODONE トムス スープラ | 土屋武士 エリック・コマス |
TOYOTA TEAM TOM'S | B |
37 | ZENT トムス スープラ | 黒澤琢弥 マルコ・アピチェラ |
TOYOTA TEAM TOM'S | B |
38 | au セルモスープラ | 竹内浩典 立川祐路 |
TOYOTA TEAM CERUMO | B |
39 | デンソー サードスープラ GT | ドミニク・シュワガー 織戸学 |
TOYOTA TEAM SARD | B |
62 | Vemac R&Dダンロップ350R (第2-6戦) |
柴原眞介 密山祥吾 |
アールアンドデースポーツ | D |
64 | Mobil 1 NSX | 松田次生 アンドレ・ロッテラー |
Mobil 1 NAKAJIMA RACING | B |
76 | イエローコーンマクラーレンGT-R | 五十嵐勇大→ 黒澤治樹(第4戦より) 田嶋栄一 |
HITOTSUYAMA RACING | D |
88 | ノマド ディアブロ JGT-1 | 古谷直広 WADA-Q |
JLOC | D |
100 | RAYBRIG NSX | 加藤寛規 光貞秀俊 |
チーム国光 with MOON CRAFT | B |
GT300クラス
No. | マシン | ドライバー | エントラント | タイヤ |
---|---|---|---|---|
2 | リニューカー・ベルノ東海 NSX →リニューカーインターリンクNSX(第4戦より) |
高橋一穂 渡辺明 |
ベルノ東海ドリーム28 | Y |
3 | ハセミモータースポーツ・エンドレス・Z | 木下みつひろ 柳田真孝 |
ハセミモータースポーツ | Y |
5 | BANPRESTO B-1 マッハ号GT 320R | 玉中哲二 三船剛 |
TEAM B1 | Y |
7 | 雨宮マツモトキヨシアスパラドリンクRX-7 | 谷口信輝 大井貴之 |
RE雨宮レーシング | Y |
9 | MACHINE X MT →正義の味方 覆面レーサーX MT(第2戦より) |
菅一乗→ 石川朗(第6戦のみ) 筒井克彦 |
A&S RACING | Y |
10 | レイジュン・ダンロップ GT-1 (第6戦まで) |
OSAMU 倉嶋新一→ 水谷竜也(第5戦のみ) → 古谷直広(第6戦のみ) |
TEAM LEYJUN | D |
11 | JIM RodeoDrive アドバンF360 | 松田秀士 田中哲也 |
TEAM GAINER | Y |
14 | CASTLE IDEAL RX7 (第5戦のみ) |
Tengku Djan Ley 山野哲也 |
AMPREX MOTORSPORTS | BF |
15 | AMPREX BMW M3GT | 橋本元次 チャールズ・クワン |
AMPREX MOTORSPORTS | BF |
17 | Kosei SPIRIT MR-S(第6戦まで) →Kosei SPIRIT CELICA(第8戦のみ) |
松永まさひろ 長嶋正興 |
TOM’S SPIRIT | Y |
19 | ウェッズスポーツ MR-S(第2戦まで) →ウェッズスポーツCELICA(第3戦より) |
青木孝行 田中実 |
RACING PROJECT BANDOH | Y |
21 | ダンロップ BMW M3GT (第5戦まで) |
一ツ山幹雄→ 一ツ山康(第2戦より) 滑川健→ 松本晴彦(第3、5戦) |
HITOTSUYAMA RACING | D |
24 | Endless タイサン アドバン GT3R | 余郷敦→ アダム・ウィルコックス(第2戦のみ) 浅井亮博 |
TEAM TAISAN Jr. | Y |
26 | PLUS e タイサン アドバン GT3R | 山路慎一 西澤和之 |
TEAM TAISAN ADVAN | Y |
31 | RECKLESS MR-S | 佐々木孝太 後藤聡 |
TEAM RECKLESS | BF |
34 | DENTARE MR-S | 西澤誠剛 松田晃司 |
A'PEX with apr | BF |
43 | ARTA Garaiya | 新田守男 高木真一 |
AUTOBACS RACING TEAM AGURI | BF |
51 | C-WEST・AUTO-STAFF・ADVANシルビア | 尾本直史→ 白井剛(第7戦のみ) アダム・ウィルコックス→ 加藤正将(第2戦より) |
AUTO STAFF RACING | Y |
55 | ECLIPSE タイサン ADVAN バイパー | 山田英二 木下隆之 |
TEAM TAISAN ADVAN | Y |
61 | R&DスポーツダンロップGT3R (第2、3、5、6戦) |
勝間田敦 岸剛之→ 井原慶子(第5戦より) |
アールアンドデースポーツ | D |
63 | レイジュン・ダンロップ 320R (第8戦のみ) |
OSAMU 中川隆正 |
TEAM LEYJUN | D |
69 | FK/Massimo 外国屋 ADVAN GT3R | 山岸大 位高敬 |
TEAM GAIKOKUYA | Y |
70 | 外国の 外国屋 ダンロップ ポルシェ | 石橋義三 清水剛→ 和田博(第5、8戦) → 伊橋勲(第6、7戦) |
TEAM GAIKOKUYA | D |
71 | シグマMR-S →シグマDUNLOPセリカ(第5戦より) |
Guts城内→ 片岡龍也(第6戦より) 澤圭太→ 黒澤治樹(第8戦のみ) |
シグマテックレーシングチーム | D |
77 | クスコスバルADVANインプレッサ | 小林且雄 谷川達也 |
CUSCO RACING | Y |
81 | ダイシンADVANシルビア | 星野一樹 植松忠雄 |
TEAM DAISHIN | Y |
111 | ARKTECH ダンロップGT3 (第2-6、8戦) |
飯島寛也 芳賀重光 |
アークテックモータスポーツ | D |
910 | 910 BORO アドバンポルシェ | 平川晃 宮川やすお |
910 RACING | Y |
911 | 高見沢バイタルポイントGT3R (第2、4、5、6、8戦) |
高見沢一吉 砂子塾長 |
910 RACING | Y |
タイヤ=B :ブリヂストン、Y :ヨコハマ、D :ダンロップ、BF :グッドリッチ
スケジュール及び勝者
開催日 | 開催サーキット | レース距離 | GT500優勝者 | GT300優勝者 | |
---|---|---|---|---|---|
第1戦 | 3月29日・30日 | TIサーキット英田 | 約300km | 脇阪寿一 飯田章 (トヨタ・スープラ) |
余郷敦 浅井亮博 (ポルシェ・911GT3R) |
第2戦 | 5月3日・4日 | 富士スピードウェイ | 約500km | 影山正美 リチャード・ライアン (日産・スカイラインGT-R) |
山路慎一 西澤和之 (ポルシェ・911GT3R) |
第3戦 | 5月24日・24日 | スポーツランドSUGO | 約300km | 脇阪寿一 飯田章 (トヨタ・スープラ) |
佐々木孝太 後藤聡 (トヨタ・MR-S) |
第4戦 | 7月13日・14日 | 富士スピードウェイ | 88km/132km (2レース制) |
ブノワ・トレルイエ 井出有治 (日産・スカイラインGT-R) |
山田英二 木下隆之 (フェラーリ・360モデナ) |
第5戦 | 8月2日・3日 | 富士スピードウェイ | 約300km | 道上龍 セバスチャン・フィリップ (ホンダ・NSX) |
青木孝行 田中実 (トヨタ・セリカ) |
第6戦 | 9月13日・14日 | ツインリンクもてぎ | 約300km | 伊藤大輔 トム・コロネル (ホンダ・NSX) |
片岡龍也 澤圭太 (トヨタ・セリカ) |
第7戦 | 10月25日・26日 | オートポリス | 約300km | ドミニク・シュワガー 織戸学 (トヨタ・スープラ) |
片岡龍也 澤圭太 (トヨタ・セリカ) |
第8戦 | 11月15日・16日 | 鈴鹿サーキット | 約300km | ブノワ・トレルイエ 井出有治 (日産・スカイラインGT-R) |
青木孝行 田中実 (トヨタ・セリカ) |
ポイントランキング
ドライバー
決勝順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポイント | 20 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
予選順位 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
ポイント | 1 | 1 | 1 |
決勝ベストラップ順位 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
ポイント | 1 | 1 | 1 |
GT500
順位 | No. | ドライバー | 第1戦 | 第2戦 | 第3戦 | 第4戦 | 第5戦 | 第6戦 | 第7戦 | 第8戦 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 23 | 本山哲 ミハエル・クルム |
17 | 10 | 14 | 8 | 16 | 0 | 8 | 13 | 86 |
2 | 1 | 脇坂寿一 飯田章 |
21 | 0 | 22 | 6 | 10 | 10 | 10 | 4 | 83 |
3 | 22 | 影山正美 リチャード・ライアン |
3 | 21 | 8 | 15 | 0 | 1 | 7 | 10 | 65 |
4 | 12 | ブノワ・トレルイエ 井出有治 |
0 | 16 | 0 | 20 | 0 | 6 | 1 | 21 | 64 |
5 | 36 | 土屋武士 エリック・コマス |
6 | 3 | 15 | 6 | 9 | 17 | 3 | 3 | 61 |
6 | 39 | ドミニク・シュワガー 織戸学 |
0 | 13 | 0 | 13 | 4 | 4 | 21 | 2 | 57 |
7 | 18 | 道上龍 | 12 | 0 | 4 | 3 | 21 | 0 | 0 | 15 | 55 |
8 | 18 | セバスチャン・フィリップ | 12 | 0 | 4 | 3 | 21 | 0 | - | 15 | 55 |
9 | 38 | 竹内浩典 立川祐路 |
1 | 1 | 2 | 11 | 14 | 3 | 13 | 1 | 46 |
10 | 16 | 伊藤大輔 トム・コロネル |
11 | 0 | 2 | 0 | 3 | 21 | 1 | 0 | 38 |
11 | 64 | 松田次生 | 8 | 6 | 3 | 0 | 2 | 0 | 17 | 0 | 36 |
12 | 100 | 加藤寛規 光貞秀俊 |
4 | 4 | 1 | 0 | 0 | 8 | 2 | 8 | 27 |
13 | 25 | ジェレミー・デュフォア | 2 | 0 | 10 | 0 | 0 | 12 | 0 | 2 | 35 |
14 | 25 | 荒聖治 | 2 | - | 10 | 0 | 0 | 12 | 0 | 2 | 35 |
15 | 35 | 服部尚貴 脇阪薫一 |
2 | 8 | 6 | 2 | 1 | 0 | 4 | 1 | 24 |
16 | 64 | アンドレ・ロッテラー | - | - | - | 0 | 2 | 0 | 17 | 0 | 19 |
17 | 64 | 小暮卓史 | 8 | 6 | 3 | - | - | - | - | - | 17 |
18 | 37 | 黒澤琢弥 マルコ・アピチェラ |
0 | 3 | 0 | 1 | 8 | 2 | 0 | 1 | 15 |
19 | 8 | 土屋圭市 金石年弘 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 6 | 9 |
20 | 76 | 田嶋栄一 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 2 |
20 | 33 | 五十嵐勇大 | 0 | 2 | 0 | - | - | - | - | - | 2 |
20 | 62 | 柴原眞介 密山祥吾 |
- | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | - | 0 | 2 |
脚注
- ^ レギュレーションで装着が義務づけられているリストリクター径が、エンジン排気量が3.5L以上では全て同一サイズであった。
- ^ 車体側面のエアインレット廃止や、フロントバンパー下をえぐった形に変更した。
関連項目
- Tiara:同年のJGTCイメージガール