1985年オーストリア産ワインジエチレングリコール混入事件

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1985年オーストリア産ワインジエチレングリコール混入事件(1985ねんオーストリアさんワインジエチレングリコールこんにゅうじけん)は、1985年オーストリアで生産されたワインなどに、甘味やまろやかさを加える目的でジエチレングリコール(以下、DEG)が不正に添加された事件。

事件概要[編集]

1985年7月初め頃、オーストリアから西ドイツ(現ドイツ)に輸入した白ワインにDEGが混入されているとして問題になった[1]。DEGは不凍液などに使われ、最小致死量(LDLo)は1000 mg/kgである。ワイン等に添加すると甘みやまろやかさを増すため、不正に添加されたものである。ワイン以外にもグレープジュース[2]シャンパン[3]モモアンズを原料とする果実酒[4]にも添加された。

日本での動き[編集]

1985年7月24日、DEGが含まれているとされるワインの一つ「83年産ルスト・ノイジードラー・ゼー・ベーレンアウスレーゼ」が東京都内で販売されているのが発見された[5]。これはオーストリアで生産された原酒を西ドイツのペーター・メルテス有限会社が瓶詰めしたものである。これを受け、厚生省は翌25日に全国の小売店に対し、オーストリア・西ドイツ両国で生産された白ワインの全面撤去を要請した。8月3日、厚生省は調査の結果日本で流通されているワインからはDEGが検出されなかったとして安全宣言を出し[6]、8月8日付朝刊各紙には三楽サントリーマンズワインが自社製品は安全である旨の広告が掲載された。

8月29日、食品検査機関である日本食品衛生協会は、購入者が持ち込んだワインからDEGが検出されたと発表した。マンズワイン株式会社(以下、マンズ社)製造の「マンズエステート貴腐ワイン78年産」720ml入と「エステート氷菓ブドー吟醸」180ml入で、前者はマンズ社20周年記念として流通業界に300本が配布され、その後3000本が販売された。検出量は1リットル当たり1.216グラム。後者は頒布会で5万本が販売され、検出量は同1.779グラム。いずれもオーストリアのセイントハーレー社で原液が生産され、マンズ社の山梨県内のワイナリーでボトリングされたものである[7]。マンズ社は9月2日より全製品の出荷停止に踏み切った[8]。8月初めに輸入元の三菱商事からマンズ社に対し原酒の引き取りの申し出があったことから、その時点で混入があったことを認識していたとみられている[9]。9月8日、厚生省は4段階の検査基準をクリアした製品に安全シールを貼ることとし、マンズ社以外の国産ワインは安全として出荷を許可した。その後の調べでマンズ社は山梨県の検査をすり抜けるため自主的な検査を行い[10]、ハーレー社からの輸入樽詰原酒を浄化槽に廃棄していたことが発覚した[11]。この責任をとり、マンズ社の茂木七左衛門社長は9月14日付を持って辞任した。山梨県は9月18日より食品衛生法6条に基づき、マンズ社の勝沼ワイナリーの原料処理を除く全部門の営業禁止を命じた。最終的に、マンズ社のDEG混入ワインは7銘柄、38万本に及んだが、回収・廃棄されたのは32,560本に過ぎず、未回収の34万7千本あまりはすでに飲まれてしまったものと見られている[12]。マンズ社の営業禁止処分は11月12日で解除された[13]

脚注[編集]

  1. ^ 毎日7月18日朝刊
  2. ^ オーストリア政府保健環境賞発表、8/1毎日夕刊
  3. ^ オーストリア通信調べ、8/2毎日朝刊
  4. ^ 日本の輸入業者による自主検査 8/9毎日朝刊
  5. ^ 7/25朝日朝刊
  6. ^ 8/3朝日朝刊
  7. ^ 8/30毎日朝刊
  8. ^ 9/6毎日夕刊
  9. ^ 8/3朝日夕刊
  10. ^ 9/30毎日夕刊
  11. ^ 9/18毎日夕刊
  12. ^ 10/28毎日夕刊
  13. ^ 11/13毎日朝刊

参考資料[編集]

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