1954年の日本シリーズ

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日本の旗1954年の日本シリーズ
チーム 勝数(引分数)
中日ドラゴンズ() 4
西鉄ライオンズ() 3
ゲームデータ
試合日程 1954年10月30日-11月7日
最高殊勲選手 杉下茂
敢闘選手 大下弘
チームデータ
中日ドラゴンズ ()
監督 天知俊一
シーズン成績 86勝40敗4分
(シーズン1位) 
西鉄ライオンズ()
監督 三原脩
シーズン成績 90勝47敗3分
(シーズン1位)
日本シリーズ
 < 1953 1955 > 

1954年の日本シリーズ(1954ねんのにっぽんシリーズ、1954ねんのにほんシリーズ)は、1954年10月30日から11月7日まで行われたセ・リーグ優勝チームの中日ドラゴンズパ・リーグ優勝チームの西鉄ライオンズによるプロ野球日本選手権シリーズである。中日球場平和台球場で行われた。

戦評[編集]

中日と西鉄の両チームの初対決は、共にセ・リーグパ・リーグ結成5年目で初のリーグ優勝を果たしたチーム同士の対決で、中日が4勝3敗で勝利し初の日本一に輝いた。特に優勝の原動力となったのは、シーズン32勝を挙げMVP、沢村賞に輝いた『フォークの元祖』と呼ばれた杉下茂。シリーズでも5試合に登板、うち4試合に完投(シリーズ記録、現在もタイ記録)の活躍で、2試合連続無得点など不振に苦しむ中日打線をカバーした。三原監督は敗戦の弁で「杉下ひとりと勝負したシリーズだった」と語った。

天知監督は3年ぶりに中日の監督に復帰した事と高校野球で中京商(現・中京大中京高校)が全国制覇を果たした事も話題があったことから、名古屋の街は熱狂にあふれ、日本シリーズで初優勝した事もファンは熱狂した。このシリーズ終了後、天知監督は退任するが昭和時代の日本プロ野球史では「日本一決定後に監督を退任」した唯一の監督である(平成になってからは、2014年にソフトバンク監督・秋山幸二が達成)。なお、リーグ優勝は1960年,1978年,1983年,1985年,1994年,2003年,2011年等と複数回ある。

なお、この年から最高殊勲賞に輝いた選手にトヨタ自動車工業(ただし、広島東洋カープ優勝時はスポンサーの都合上マツダ)協賛により記念品として高級乗用車が贈呈されるが、杉下はその獲得第1号となった。なお、次の日本一を達成した2007年から最高殊勲選手賞への高級乗用車の贈呈は廃止されたため、杉下は中日の選手として高級乗用車を贈呈された最初で最後の選手となった。

エピソード[編集]

この年の日本一チーム中日ドラゴンズが胴上げをしたのは実はこれが初めてである。中日のセントラル・リーグ優勝決定は試合のない日にマジック対象チームである読売ジャイアンツ阪神タイガースに敗れた事によって決まったため、胴上げがなかった。そのため、日本一決定により晴れて・・・というわけである。

また、昭和時代に行われた日本シリーズでは最初で最後の日本一達成となった。この日本一から次の日本一達成(但し、セントラル・リーグ2位)まで実に53年と、半世紀以上の年月を要することとなる。2010年現在、これは日本プロ野球史上、最長のブランクである。

中日がリーグ優勝決定で胴上げしたのは1974年が最初だが、以降日本一を手にすることが出来なくなったため「中日は1回しか胴上げできない」というジンクスが生まれてしまったのである。

しかし2010年、リーグ優勝を果たし、同年のクライマックスシリーズ・ファイナルステージも突破し、2回胴上げが達成された。これにより、上記のジンクスは破られた。

試合結果[編集]

第1戦[編集]

10月30日 中日球場 入場者数:29245人

西鉄 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
中日 1 0 0 0 0 0 0 4 X 5
(西) ●西村(1敗)、川崎 - 日比野
(中) ○杉下(1勝) - 河合保
本塁打
(西) 日比野 1号(3回杉下)
(中) 児玉1号2ラン(8回西村)

[審判]セ筒井(球)パ横沢、セ津田、パ苅田(塁)セ円城寺、パ長谷川(外)

中日杉下茂、西鉄西村貞朗の先発で開幕。中日が1回、杉山悟タイムリーヒットで先制したが、西鉄は3回日比野武の本塁打で同点。以後は杉下、西村の両投手が譲らず投手戦となったが、8回裏、ヒットの西沢道夫を1塁において4番の児玉利一がレフトスタンドへ勝ち越し2ラン本塁打。これで動揺した西村は、続く杉山の頭部にぶつけてしまう。杉山は退場、以後本シリーズの出場はかなわなかった。杉山退場のアクシデントに燃えた中日はさらに代わった川崎徳次も攻め立て、ルーキー岡嶋博治、投手杉下の連続タイムリーでさらに2点を追加、勝負を決した。杉下は12奪三振(1999年工藤公康に更新されるまでシリーズ記録)の力投で完投勝利。

第2戦[編集]

10月31日 中日球場 入場者数: 30303人

西鉄 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
中日 0 0 0 0 2 3 0 0 x 5
(西) ●大津(1敗)、河村、北原 - 日比野、永利
(中) ○石川克(1勝)、杉下 - 野口明、河合保
本塁打
(中) 西沢1号2ラン(5回大津)

[審判]パ二出川(球)セ国友、パ横沢、セ円城寺(塁)パ長谷川、セ津田(外)

中日・石川克彦、西鉄・大津守の両先発が4回まで無得点に抑えていたが、5回裏、中日は石川克の三塁ゴロを中西太が失策、2死後西沢が2ランホームランを放ち、先制。6回、西鉄は中西のヒットと関口清治の四球で1死1、2塁と石川克を攻めたが、ここで前日完投の杉下が救援登板。河野昭修をサード併殺打に仕留め、ピンチを脱した。このまま杉下が最後まで投げ抜き、中日が本拠地連勝で福岡に赴くこととなった。

第3戦[編集]

11月2日 平和台球場 入場者数:23994人

中日 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
西鉄 1 0 0 1 0 0 0 3 X 5
(中) ●大島(1敗)、徳永 - 加藤進、河合保
(西) ○河村(1勝) - 日比野
本塁打
(西) 日比野2号ソロ(4回大島)

[審判]セ筒井(球)パ横沢、セ国友、パ苅田(塁)セ円城寺、パ長谷川(外)

平和台球場に舞台を移した第3戦、西鉄は河村英文、中日は大島信雄の先発。西鉄は初回、高倉照幸、中西の連続四球のあと大下弘がライト前へクリーンヒット。高倉が生還し、西鉄が先制。4回には日比野の2号ソロ本塁打、8回には1死から河村が敵失で出塁あと、仰木彬、河野、高倉の3連打で3点を追加し、勝負を決めた。河村が2安打完封。

第4戦[編集]

11月3日 平和台球場 入場者数:25185人

中日 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
西鉄 0 0 0 2 1 0 0 0 X 3
(中) ●杉下(1勝1敗) - 河合保
(西) ○川崎(1勝) - 日比野

[審判]パ二出川(球)セ津田、パ苅田、セ円城寺(塁)パ長谷川、セ国友(外)

西鉄・川崎、中日・杉下の先発でプレイボール。ここまで1失点だった杉下だったが、4回2死から関口、豊田泰光、仰木の連打で2点を失い、さらに7回にもエラー、四球、ヒットで満塁のあと中西にタイムリーヒットを浴び、計3失点。中日は打線が全く振るわず、連続完封負け。

第5戦[編集]

11月4日 平和台球場 入場者数:19771人

中日 1 0 0 0 0 0 0 1 1 3
西鉄 0 1 0 0 0 0 0 0 1 2
(中) ○杉下(2勝1敗)- 野口明、河合保
(西) 大津、西村、●河村(1勝1敗) - 日比野
本塁打
(西) 日比野3号ソロ(9回杉下)

[審判]セ筒井(球)パ苅田、セ円城寺、パ横沢(塁)セ津田、パ長谷川(外)

中日は前日発表のメンバーを入れ替え、杉下を連続先発させた。短いイニングで降板したならともかく前日完投している杉下の連続先発は当時でも奇策と言えたが、杉下は起用に応える力投。試合は中日が本多逸郎の二塁打と足技で先取点。西鉄は2回裏豊田のタイムリーヒットで追いつくが、8回、河合保彦が西鉄の3番手・河村をとらえ、右中間を破る長打。河合は一気にホームを狙った。暴走に見えたが、中継に入った豊田の悪送球で生還(記録は三塁打とエラー)、中日が勝ち越した。さらに9回、西沢のタイムリーヒットで貴重な追加点。その裏、日比野の3号ホームランが出ただけにこの追加点は値千金だった。杉下は2試合連続完投。中日が日本一に王手をかけ、舞台は再び名古屋へ。

第6戦[編集]

11月6日 中日球場 入場者数: 27776人

西鉄 0 0 0 0 0 3 1 0 0 4
中日 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
(西) 川崎、河村、○大津(1勝1敗) - 日比野
(中) ●石川克(1勝1敗)、空谷 - 野口明、河合保

[審判]パ二出川(球)セ国友、パ横沢、セ津田(塁)パ長谷川、セ円城寺(外)

3回、中日が本多のタイムリー二塁打で先制。中日先発の石川克は5回まで無失点だったが、6回、西鉄は1死から中西、大下、日比野の3連打で同点。2死後、豊田のタイムリー二塁打で2点を勝ち越した。さらに7回にも中西の犠牲フライで追加点。5回途中から登板した大津が無失点の好投、対戦成績を3勝3敗とした。

第7戦[編集]

11月7日 中日球場 入場者数:23215人

西鉄 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
中日 0 0 0 0 0 0 1 0 X 1
(西) ●河村(1勝2敗)、川崎、西村 - 日比野
(中) ○杉下(3勝1敗)- 河合保

[審判]セ筒井(球)パ横沢、セ津田、パ苅田(塁)セ国友、パ長谷川(外)

中日は杉下が5試合目の登板(先発は4度目)。西鉄・河村とともに息詰まる投手戦を繰り広げ、最終戦にふさわしい緊迫した試合展開になった。均衡が破られたのは7回。中日はヒットの河合を1塁において、井上登がタイムリー三塁打。ここまですでに3完投していた杉下は疲労困憊だったが、気力で投げ切り、この1点を守り切り完封。今もシリーズ記録となるシリーズ4度目の完投が同時に中日の日本一を決める瞬間でもあった。ゲームセットの瞬間、杉下はもはや立つことすらままならないほど疲労しきっており、西沢ら中日ナインが殊勲のエースの肩を抱きかかえて勝利の喜びに浸った。

最終打者は塚本悦郎。三ゴロだった。

表彰選手[編集]

テレビ・ラジオ中継[編集]

テレビ中継[編集]

ラジオ中継[編集]

  • NHKラジオ第2
  • 朝日放送(・ラジオ東京予備カード) 実況:村上守(朝日放送) 解説:大和球士
  • 文化放送・中部日本放送・新日本放送 実況:原和男(文化放送) 解説:杉浦清
  • NHKラジオ第2
  • ラジオ東京・朝日放送・ラジオ九州 実況:寺田精作(ラジオ九州) 解説:大和球士
  • 文化放送・新日本放送 解説:中澤不二雄
  • NHKラジオ第2
  • ラジオ東京・朝日放送 実況:中村鋭一
  • 文化放送・新日本放送 実況:田中アナウンサー 解説:中澤不二雄
  • 日本短波放送
  • NHKラジオ第2
  • ラジオ東京・朝日放送 実況:近江正俊(ラジオ東京) 解説:大和球士
  • 文化放送・新日本放送 実況:香西正重(新日本放送) 解説:中澤不二雄
  • NHKラジオ第2
  • 朝日放送(・ラジオ東京予備カード) 実況:西村一男(朝日放送) 解説:大和球士
  • 文化放送・中部日本放送・新日本放送 実況:大庭俊司(文化放送) 解説:中澤不二雄、杉浦清
  • NHKラジオ第2
  • 朝日放送(・ラジオ東京予備カード) 実況:近江正俊(ラジオ東京) 解説:大和球士
  • 文化放送・中部日本放送・新日本放送 実況:宇井昇(中部日本放送) 解説:中澤不二雄、杉浦清
    • 現在までに日本短波放送(→ラジオたんぱ→現・ラジオNIKKEI)が日本シリーズを中継したのはこの第4戦だけである。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]