12弦ベース

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12弦ベース(HAMER社 B12S)
12弦ベースの音色/クリーンサウンド
12弦ベースの音色/ディストーションサウンド

12弦ベース(じゅうにげんベース、12 string bassTwelve-string bass)とは、単弦あるいは複弦からなる12本の弦で構成されるエレクトリックベースの一種。

概要[編集]

多くの場合、よく知られている4コース英語版12弦(3×4弦)の複弦エレキベースを指し、このタイプは12ver、12er(トゥウェルバー)という愛称でも呼ばれる。

通常の4弦ベースの各弦に1オクターブ上の複弦を2本ずつ加えて3本の弦を1コースとしている。8弦ベースの拡張版。ベースとギターを同時に弾いているようなオクターバーの効果と、コーラス効果が得られる。オーバードライブを利用した音色は「バイクのエンジン音のよう」と形容され、同時発音する弦が多いことから少ない歪みでもディストーションがかかったような分厚い音像が得られる。フィンガー・ピッキングピックスラッピングタッピング等、通常のエレキベース、エレキギターと同じ奏法で演奏が可能。8弦ベースがほとんど製造されなくなる一方、12弦ベースは複数のメーカーに製造され続けている。

12弦ベースの考案と製作[編集]

1970年代にアメリカロックバンドチープ・トリックベーシストであるトム・ピーターソン英語版リック・ニールセン英語版Hamer GuitarsのルシアーであるJol Dantzigらのディスカッションにより考案された。ハグストロム社の8弦ベースに不満があったピーターソンがこのベースの改良版を求めたことがきっかけであった。Dantzig は南米の Tiple英語版という10弦や12弦からなる複弦ギターから着想を得て、高音側の2コースのみを3弦、低音側2コースを2弦とした10弦ベースと、4コース12弦のベースを制作した。[1] 当初は1コースの弦ごとに出力できるよう、セイモア・ダンカン製の4つのピックアップと小さなミキサーがベース本体に内蔵されており(4ch出力/クアドロフォニック)、そのためにこのベースは「クワッド」と呼ばれた。[2]

著名な使用者[編集]

その他の12弦ベース[編集]

6コースの12弦ベース
6弦ベースの各弦に1本の複弦を加えたもの。レッド・ツェッペリンジョン・ポール・ジョーンズが使用していた。
単弦12弦ベース
12本の単弦のあるベース。カスタムメイドで製作されることがある。10本以上の弦があるエレキベースをなんとなく「12弦ベース」と呼んでいるに過ぎない場合も多い。

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]