11ぴきのねこ
『11ぴきのねこ』は、馬場のぼるが著作した絵本シリーズ。およびそのシリーズの第1作目のタイトル。
概要
11ぴきのねこたちが力を合わせ怪魚を捕まえる物語。かわいらしい絵と意外なストーリー展開が特徴。シリーズ全般に子ども向けでありながら、11ぴきいることによる集団心理、団結することによる効果、「とらねこたいしょう」によるリーダーシップなどが描かれている。
1967年に「11ぴきのねこ」がこぐま社より刊行され、翌年第15回サンケイ児童出版文化賞を受賞。以後6作に渡って『11ぴきのねこ(と)~』の題名にて出版された。「11ぴきのねことあほうどり」は文藝春秋漫画賞、「11ぴきのねこ マラソン大会」はボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞している。
1980年と1986年にはアニメ映画化もされている。アニメ映画のリバイバル上映は一切無いがカートゥーン ネットワークなどで放送されたことがある。
シリーズ作品
- 「11ぴきのねこ」(1967年)
- 「11ぴきのねことあほうどり」(1972年)
- 「11ぴきのねことぶた」(1976年)
- 「11ぴきのねこ ふくろのなか」(1982年)
- 「11ぴきのねことへんなねこ」(1989年)
- 「11ぴきのねこ マラソン大会」(1992年、絵巻えほん)
- 「11ぴきのねこ どろんこ」(1996年)
他に、「11ぴきのねこ かるた」(1994年、かるた)など。
戯曲
1969年に井上ひさしの脚色で人形劇がつくられ、NHKで放送された。1971年には二幕もののミュージカルに発展、1989年には『決定版 十一ぴきのネコ』が劇団こまつ座によって上演された。馬場のぼるの原作のイメージをこえ、井上戯曲独特の世界がつくりあげられている。
登場人物
- とらねこたいしょう
- 11匹のリーダー。白体色に青い縞模様がある。「諸君!」と他の10匹を呼ぶ、みんなのまとめ役で常に先頭に立つ。OAVでのオープニングでは模様が異なり、黄色で黒の縞模様だった。
- ねこたち
- とらねこたいしょうの部下たち。顔も姿、性格もそっくりなネコたち。兄弟でも家族でもないらしい。大将とは出会った時から、仲間だった。映画では一人一人、声や性格が異なっており、メンバーの一人は3羽目の娘あほうどりと恋に落ちた。
- 市長
- ネコの町の市長。黄色でめがねを掛けている。11匹の猫たちが町を騒がしくしてばかりいるあまりに苦情の手紙が住民から届き、怒ることもある。
- 警察署長
- ネコの警察官。色はグレー。いつも市長に怒られてばかりだが、11匹の猫に対し、怒鳴り散らした。
- ヒゲ長じいさん
- その名の通り、ヒゲの長い老人ネコ。11匹に巨大魚の在り処を教えてくれた。しかし町の皆や市長達は信じようとはしなかった。原作では長老ねこがありかを教える
- 巨大魚(きょだいぎょ)
- クジラぐらいの大きさの魚。湖の小島で寝っころがるので肺魚の一種と思われる。特技は子守唄でねこ達を食おうとする。弱点も子守唄でねこたちに捕らわれてしまい、沖にたどり着く内に、ねこ達に食べられてしまった。
- ネコの魚屋さん
- 魚屋で働く職人。11匹のネコに魚を盗み食い(厳密にはねこ達を追いかけようとして魚屋が落とした魚)されたことで警察署長に抗議した。
- あほうどり
- アホウドリ島からやってきたあほうどり。ねこの作るコロッケが大好物で映画では11ぴきのねこに勧められ、店のコロッケを全部平らげるほど。コロッケにあきあきしたねこ達に食べられそうになるも最後まで気づくことはなかった。3までしか数えられなかったり、どこか抜けているところがある。
- 山猫たち
- あほうどりを誘拐して捕われにした悪い猫たち。
- 巨大あほうどり(11羽目)
- 小さいほうのあほうどりのお兄さん。他のあほうどりより明らかに大きく「11わあっ」と勢いよく出て来る。あまりの巨大さにねこ達は逃げ出してしまうが・・・。とっても人が良く面倒見がいい。映画ではたくさんのコロッケをご馳走してくれた11ぴきのねこ達に空の散歩に連れて行ったり、島の料理をご馳走してくれた。
- ウヒアハ
- 巨大な怪物。ねこを袋にいれ、城でこき使っていたが彼らの罠にはまり、退治された。
- 豚
- 伯父が住んでいた家を探していた豚。既に訪れていた11ぴきのねこの家に変えられてしまう。のんびりとした性格で11ぴきのねこ達に理不尽な目に遭わされても気にしない。
- へんなねこ
- ねこ達とは少々雰囲気や模様が水玉で黒い長靴を履いてるねこ。気分によって模様の色が変わる。ねこ達を「いいひと」と呼んでいるが、当のねこ達は捕まえた魚目的だったが花火に夢中になり、魚を忘れたため、へんなねこはプレゼントしたのと勘違いしたまま、宇宙へと旅立った。
- きょうりゅう
- 崖の穴に落ちていた恐竜。ねこたちに助けられる。泥沼に入るのが好きだが、ねこは嫌っていた。
劇場版アニメ
11ぴきのねこ
1980年7月19日に公開されたグループ・タック製作による映画。(同時上映:イギリス映画「かわうそタルカの冒険」)
- スタッフ
- 制作:グループ・タック
- 企画・制作 : 田代敦巳・古川博三
- 演出:藤本四郎
- アニメーション監督:前田庸生
- 脚色:鈴木良武
- 文芸協力:松本茂雄
- 音楽:小室等
- チーフアニメーター:上口照人
- 美術:青木稔
- 音響:田代敦巳
- 撮影:森山一
- 編集:古川雅士
- 作詞:佐藤信
- 音響効果:柏原満
- 制作主任:藤田健
- プロデューサー:宇田川東樹
- 声の出演
- トラネコ大将:郷ひろみ
- 市長:納谷悟朗
- 警察署長:二見忠男
- ヒゲ長じいさん:槐柳二
- ネコA、巨大魚:阪脩
- ネコB:池水通洋
- ネコC:沢りつお
- ネコD:山下啓介
- ネコE:八代駿
- ネコF:牧野和子
- ネコG:丸山裕子
- ネコH:林一夫
- ネコI:曽我部和恭
- ネコJ:安西正弘
- 町のネコA:倉田佳三
- 町のネコB:伊沢弘
- 町のネコC:永井寛行
- 町のネコD:山口滋樹
主題歌
11ぴきのねことあほうどり
上記映画の続編。1986年上映。
詳細は「11ぴきのねことあほうどり#映画」を参照