4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

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4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』(しがつのあるはれたあさに ひゃくパーセントのおんなのこにであうことについて)は、村上春樹短編小説

概要[編集]

初出 『トレフル』1981年7月号
収録書籍 カンガルー日和』(平凡社、1983年9月)

1991年1月刊行の『村上春樹全作品 1979〜1989』第5巻(講談社)に収録される際、大幅に加筆修正がなされ、タイトルの「4月」は漢数字の「四月」に改められた。

『村上春樹全作品』付録「自作を語る」の中で、本短編が書かれることになったきっかけが語られている。

「この話は僕が満員の山手線の車中である広告ポスターを見かけたことが原形になっている。そのポスター(何の商品の広告だったのかどうしても思いだせない)のモデルになっていた女の子に、僕は理不尽なくらい激しく惹かれた。胸がいっぱいになって、胸が震えた。それは今思いおこしても本当に運命的な出会いだったのだ」[1]

村上は、『ニューヨーク・タイムズ』2011年10月23日号が行ったインタビューに対し、長編小説『1Q84』(2009年 - 2010年)は本短編から派生した物語であると答えている[2]

2015年11月28日~29日に郡山市で開催された文学講座「ただようまなびや 文学の学校」に村上は予告なしでゲスト出演。会場で本短編の朗読を行った[3][4]

英訳[編集]

タイトル On Seeing the 100% Perfect Girl One Beautiful April Morning
翻訳 ジェイ・ルービン
初出 The Elephant Vanishes』(クノップフ社、1993年3月)

あらすじ[編集]

4月のある晴れた朝、原宿の裏通りで「僕」は100パーセントの女の子とすれ違う。50メートルも先から「僕」には、彼女が100パーセントの女の子であることがちゃんとわかっていた。正直に切り出した方がいいのかもしれないが、あなたにとって私が100パーセントの女の子だとしても、私にとってあなたは100パーセントの男じゃないのよ、と彼女は言うかもしれない。

花屋の店先で、「僕」は彼女とすれ違う。彼女はまだ切手の貼られていない白い角封筒を右手に持っていた。彼女はひどく眠そうな目をしていたから、あるいは一晩かけてそれを書き上げたのかもしれない。

振り返った時、彼女の姿は既に人混みの中に消えていた。

映画[編集]

『100%の女の子』[編集]

本短編を原作とした日本の短編映画。1983年製作。上映時間12分。第7回「ぴあフィルムフェスティバル」PFFアワード入選作品[5]

『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』[編集]

本短編を原作とした日本の短編映画。2008年製作。上映時間30分。CON-CAN ムービーフェスティバル出品作品[6]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 山川は同時期に村上春樹の別の短編も映画化している。「パン屋襲撃」(1981年)を原作として同名の映画を製作した。

出典[編集]

関連項目[編集]