10秒の壁

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電動計時による平地記録で初めて10秒の壁を破ったカール・ルイス

10秒の壁(じゅうびょうのかべ、英:10-second barrier)は、陸上競技男子100メートル競走において達成困難と考えられていた9秒台に対する記録の壁である。その壁を越えた記録は偉大な短距離選手の証明と見なされている。一方、トレーニング方法や外部環境要因の改善によって1990年代以降9秒台の自己記録を持った選手が増加し、その意義は以前ほど特別なものとは見なされなくなりつつある[1][2]

歴史[編集]

1960年6月に西ドイツアルミン・ハリーによって10秒0が記録され、これが更新されるまで8年の年月を要した。最初の9秒台は1968年6月20日、ストップウォッチによる手動計時によって記録された。その後、より精密な計測方法の電動計時が採用される過渡期にあった1968年10月14日、アメリカ合衆国のジム・ハインズによって10秒の壁は破られた。ハインズはメキシコオリンピック男子100mで優勝し、この時世界新記録を樹立する9秒95で走破した。この後1977年8月11日シルビオ・レオナルドが9秒98を記録するまで、2度目の9秒台が記録されるのにおよそ9年を要した。これら2つの成績はいずれも高地記録(high altitude)として記録された。

1983年5月14日9秒97を記録したカール・ルイスが、平地で9秒台を達成した最初の短距離選手となった。ルイスに続いてカルヴィン・スミスが1983年7月3日に9秒93の世界新記録を樹立。同年8月にも9秒台を記録し、10秒の壁を2度越えた最初の短距離選手になった。その後1980年代に多くの選手が10秒の壁を破った。そして1991年世界陸上競技選手権大会男子100m決勝は、6人の選手が9秒台の自己新記録で走破し、優勝したルイスが9秒86に世界記録を縮めるなど、10秒の壁が破られた後の新しい世界の頂点を象徴するものとなった[3]。2013年9月現在、ロブソン・ダ・シルバが10秒00の大陸記録を保持する南米を除いた5つの地域陸連の選手によって、10秒の壁は破られ続けている[4]

10秒の壁が破られた背景には、選手の努力やトレーニング方法の改良とともに、用具や環境の変化が大きな影響を及ぼしたと考えられている。

IAAFは、指定した競技規則に従い超音波風速風向計により計測された追い風2.0m/秒以下の条件下で、電動計時により計測され[N]、かつドーピングによらない成績だけが公認されるとしている[5][N]。風速計の不調やルール違反により選手の記録が無効とされることがある[6][7][N]。1964年東京オリンピック前後から電子計時、1972年ミュンヘンオリンピックからスリットカメラ1991年世界陸上競技選手権大会ではスリットビデオがそれぞれ導入され、科学的でより正確な判定が行なわれるようになった[8][9]

1991年世界陸上競技選手権大会では50台以上のビデオカメラが使用され、選手のフォーム、スピードの変化、ストライド、が計測された[7]。このような計測結果をもとに科学的な研究が進み、トレーニング方法は改良されてきた。東京大学大学院の深代千之教授は2008年6月24日付毎日新聞で、1991年世界陸上競技選手権を分析した結果、股関節周辺の筋肉の重要性と脚全体をしならせる動きが速く走るために必要な条件であると解説した[1]。男子110mハードルの日本記録保持者で筑波大学大学院の谷川聡講師は2008年6月24日付毎日新聞のウサイン・ボルトの世界記録更新の話題の中で精神面が記録に及ぼす影響に指摘し、記録を求めようとすると逆に全力を発揮できない可能性について言及した[1]

全天候トラックの導入[編集]

オリンピックでは1936年のベルリンオリンピックごろからすでにアンツーカーを表層材に用いたトラックが採用されており、1964年東京オリンピックまでこれが用いられていた。1968年メキシコシティオリンピック以降は表層にポリウレタン舗装が施された全天候トラックが採用された[10]。アンツーカーはスパイクで掘れて入力が分散してしまう上に、多量の水分を含むと軟弱化し、安定して記録を生み出せる走路ではなかった[11]。これに比べてウレタン素材は弾力性に富み反発が得られるために選手のストライドを広げることに貢献し、アンツーカーと比較して記録が2%向上したと言われる[11]1991年世界陸上競技選手権大会の実施会場である国立競技場硬度60度のウレタンが使用され、100m決勝では6人の選手が自己記録を更新して9秒台を記録した[12]

シューズの改良[編集]

1960年ごろから選手専用のスパイクシューズが開発されはじめ、記録の更新に貢献した。1960年代後半以降の全天候トラックの普及に伴い、スパイクピンの形状変更など路盤に対応する改良が施され、選手に合った素材・形状の追求が進められた。

カール・ルイスは世界陸上競技選手権ローマ大会で市販モデルに一部変更を施した片足190gのシューズを使用し、世界記録タイの9秒93を記録した。この後耐久性と市販化をあきらめた選手専用スパイクとして軽量化にこだわり、115gまで重量を落とした結果、世界陸上競技選手権東京大会で9秒86の世界新記録を樹立している[13]。その他、フランク・フレデリクスバイオメカニクス理論を追究し軟らかめの素材を用いた140gのシューズを、モーリス・グリーンは反発力と弾力性を重視した196gのシューズを愛用するなど、選手の性質と嗜好に合わせた開発が進められた[14]

2009年世界陸上競技選手権にて
左からトンプソンパウエルゲイボルト

選手のプロ化[編集]

1970年前後からスポーツ界のアマチュア規定の議論が進むとともにこれが緩和された[15]。最大の陸上競技大会の1つであるオリンピックの商業化とともにロサンゼルスオリンピック前から選手のプロ化が容認され、広告収入を得た選手でもオリンピックに出場ができるようになった。それまではボブ・ヘイズジム・ハインズプロフットボールに道を求めるなど、100m金メダリストであっても職業として陸上を続けることは不可能だったが、商業化に伴いスポンサーを得ることによって陸上に専念できる環境が整うようになった[16]

人種[編集]

9秒台を記録した80人余りの選手のうち、白色人種とアボリジニのハーフであるオーストラリアパトリック・ジョンソンと白色人種であるフランスクリストフ・ルメートルを除く選手がアフリカにルーツを持つ黒色人種であり、その身体的特徴が短距離走に適していると考えられている[17][18]ジミー・ビコーフランス語版はフランス出身の父とコートジボワール出身の母を持つ[19][20][21]。黄色人種では日本の伊東浩司、中国の張培萌が記録した10秒00が最高記録である。日本陸上競技連盟科学委員長を務める阿江通良筑波大学助教授は1999年6月23日付読売新聞の解説の中で、「おしりが大きく、ももが太くて短く、ひざから下は細くて長い体形」[11]と、身体的なエネルギー効率の良さを指摘し黒色人種の優位性を説いた。他方、欧米では非黒色人種の優秀な短距離選手が熾烈な競争を避けて中距離走へと転向していることが、人種的な差異の原因になっていると考える説も存在する[11]

電動計時による記録[編集]

# 記録年月日 競技者氏名 記録000
(s)
風速
m/s
記録時
年齢
国籍 大陸 個人記録
(記録年)
備考
1 1968年10月14日 ハインズ, ジムジム・ハインズ 9.95 (A)[N] +0.3 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (1968)
2 1977年8月11日 レオナルド, シルビオシルビオ・レオナルド 9.98 (A) +0.6 21 キューバの旗 キューバ 北中米 9.98 (1977)
3 1983年5月14日 ルイス, カールカール・ルイス 9.97 +1.5 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.86 (1991)
4 1983年7月3日 スミス, カルヴィンカルヴィン・スミス 9.93 (A) +1.4 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (1983)
5 1984年5月5日 ラッタニー, メルメル・ラッタニー 9.96 +0.1 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (1984)
6[N] 1988年9月24日 クリスティ, リンフォードリンフォード・クリスティ 9.97 +1.1 28 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.87 (1993)
7 1989年5月20日 スチュワート, レイモンドレイモンド・スチュワート 9.97 +1.0 24 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.96 (1991)
8 1989年6月16日 バレル, リロイリロイ・バレル 9.94 +0.8 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.85 (1994)
9 1991年8月25日 ミッチェル, デニスデニス・ミッチェル 9.99 +1.1 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.91 (1991)
10 1991年8月25日 フレデリクス, フランクフランク・フレデリクス 9.95 +1.2 23 ナミビアの旗 ナミビア アフリカ 9.86 (1996)
11 1991年9月11日 ケーソン, アンドレアンドレ・ケーソン 9.99 +1.5 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1993)
12 1992年4月4日 アデニケン, オラパデオラパデ・アデニケン 9.97 +1.2 22 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.95 (1994)
13 1992年4月18日 マーシュ, マイクマイク・マーシュ 9.93 -0.6 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (1992)
14 1992年4月18日 エジンワ, デビトソンデビトソン・エジンワ 9.96 -0.6 20 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.94 (1994)
15 1993年5月21日 エフィオン, ダニエルダニエル・エフィオン 9.99 +1.0 20 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.98 (1993)
16 1994年7月22日 ドラモンド, ジョンジョン・ドラモンド 9.99 +1.9 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1997)
17 1995年4月22日 ベイリー, ドノバンドノバン・ベイリー 9.99 +0.9 27 カナダの旗 カナダ 北中米 9.84 (1996)
18 1995年6月15日 スリン, ブルニーブルニー・スリン 9.97 +1.3 27 カナダの旗 カナダ 北中米 9.84 (1999)
19 1996年4月21日 ボルドン, アトアト・ボルドン 9.93 +1.3 22 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.86 (1998)
20 1997年6月12日 グリーン, モーリスモーリス・グリーン 9.96 +1.5 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.79 (1999)
21 1997年6月12日 ストリート=トンプソン, カリームカリーム・ストリート=トンプソン 9.96 +0.8 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (1997)
22 1997年6月12日 モンゴメリ, ティムティム・モンゴメリ 9.96 +1.6 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1997)
23 1997年6月20日 スペンサー, パーシバルパーシバル・スペンサー 9.98 +1.4 22 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.98 (1997)
24 1997年7月13日 オグンコヤ, セウンセウン・オグンコヤ 9.97 +1.5 19 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.92 (1998) [22]
25 1998年8月9日 ヘンダーソン, ヴィンセントヴィンセント・ヘンダーソン 9.95 +0.8 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (1998)
26 1998年9月11日 トンプソン, オバデレオバデレ・トンプソン 9.87 (A) -0.2 22 バルバドスの旗 バルバドス 北中米 9.87 (1998)
27 1999年6月5日 マイルズ=ミルズ, レオナードレオナード・マイルズ=ミルズ 9.98 +1.6 26 ガーナの旗 ガーナ アフリカ 9.98 (1999)
28 1999年6月13日 チェンバース, ドウェインドウェイン・チェンバース 9.99 +1.1 21 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.97 (1999)
29 1999年7月2日 ガードナー, ジェイソンジェイソン・ガードナー 9.98 +0.4 23 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.98 (1999)
30 1999年7月5日 ハーデン, ティムティム・ハーデン 9.92 +1.0 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.92 (1999)
31 2000年6月2日 ミラー, コビーコビー・ミラー 9.98 +0.4 23 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.98 (2000)
32 2000年6月2日 ウィリアムズ, バーナードバーナード・ウィリアムズ 9.99 +0.4 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.94 (2001)
33 2000年7月5日 オビクウェル, フランシスフランシス・オビクウェル 9.97 +1.0 21 ナイジェリアの旗 ナイジェリア[N] アフリカ 9.86 (2004)
34 2002年4月12日 クロフォード, ショーンショーン・クロフォード 9.99 +0.6 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.88 (2004)
35 2002年4月21日 ジョンソン, ジョシュアジョシュア・ジョンソン 9.95 +1.8 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2002)
36 2002年5月4日 ルイス, ブライアンブライアン・ルイス 9.99 +0.5 27 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2002)
37 2002年7月27日 コリンズ, キムキム・コリンズ 9.98 +0.2 26 セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス 北中米 9.97 (2013)
38 2003年5月5日 ジョンソン, パトリックパトリック・ジョンソン 9.93 +1.8 30 オーストラリアの旗 オーストラリア オセアニア 9.93 (2003)
39 2003年7月19日 アリウ, デジデジ・アリウ 9.98 0.0 27 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.95 (2003)
40 2003年8月15日 カペル, ジョンジョン・カペル 9.97 +1.3 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2004)
41 2003年8月15日 ガトリン, ジャスティンジャスティン・ガトリン 9.97 +1.3 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.79 (2012)
42 2003年8月15日 グリメス, ミッキーミッキー・グリメス 9.99 +1.5 26 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2003)
43 2003年10月12日 エメドル, ウチェナウチェナ・エメドル 9.97 +0.6 27 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.97 (2003)
44 2004年6月12日 パウエル, アサファアサファ・パウエル 9.99 +1.8 21 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.72 (2008)
45 2005年6月14日 ザカリ, アジズアジズ・ザカリ 9.99 +1.6 28 ガーナの旗 ガーナ アフリカ 9.99 (2005)
46 2005年6月25日 バーンズ, マルクマルク・バーンズ 9.96 +1.0 22 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.96 (2005)
47 2005年6月25日 ブラウン, ダレルダレル・ブラウン 9.99 +1.0 20 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.99 (2005)
48 2005年7月5日 ポニョン, ロナルドロナルド・ポニョン 9.99 +1.8 22 フランスの旗 フランス ヨーロッパ 9.99 (2005)
49 2005年7月22日 スコット, レオナルドレオナルド・スコット 9.94 +1.0 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.91 (2006)
50 2006年5月12日 ファスバ, オルソジオルソジ・ファスバ 9.93 +1.1 21 ナイジェリアの旗 ナイジェリア アフリカ 9.85 (2006)
51 2006年7月25日 ゲイ, タイソンタイソン・ゲイ 9.97 +0.2 23 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.69 (2009)
52 2006年8月18日 ブルンソン, マーカスマーカス・ブルンソン 9.99 +1.0 28 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2006)
53 2007年4月28日 アトキンス, デリックデリック・アトキンス 9.98 +2.0 23 バハマの旗 バハマ 北中米 9.91 (2007)
54 2007年6月8日 ディックス, ウォルターウォルター・ディックス 9.93 0.0 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.88 (2010)
55 2007年7月26日 フランシス, サミュエルサミュエル・フランシス 9.99 +0.9 20 カタールの旗 カタール アジア 9.99 (2007)
56 2007年9月28日 スピアモン, ウォーレスウォーレス・スピアモン 9.96 0.0 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2007)
57 2008年5月10日 パジェット, トラビストラビス・パジェット 9.96 +1.2 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.89 (2008)
58 2008年5月3日 ボルト, ウサインウサイン・ボルト 9.76 +1.8 21 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.58 (2009) 世界記録
59 2008年5月18日 トンプソン, リチャードリチャード・トンプソン 9.93 -0.1 22 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.85 (2011)
60 2008年6月28日 マーティン, ロドニーロドニー・マーティン 9.95 +1.6 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2008) [23]
61 2008年6月28日 ジェルクス, マークマーク・ジェルクス 9.99 +1.6 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2008) [23]
62 2008年6月28日 パットン, ダービスダービス・パットン 9.89 +1.6 30 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.89 (2008) [23]
63 2008年6月28日 ウィリアムス, アイボリーアイボリー・ウィリアムス 9.94 +1.6 23 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.93 (2009) [23]
64 2008年7月22日 カーター, ネスタネスタ・カーター 9.98 +1.0 22 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.78 (2010)
65 2008年8月15日 マルティナ, チュランディチュランディ・マルティナ 9.99 -0.1 24 オランダ領アンティルの旗 アンティル/
オランダの旗 オランダ(2010年10月10日以降)
北中米 9.91 (2012)
66 2008年8月16日 フレイター, マイケルマイケル・フレイター 9.97 0.0 25 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.88 (2011)
67 2009年5月24日 ベイリー, ダニエルダニエル・ベイリー 9.99 -0.3 22 アンティグア・バーブーダの旗 アンティグア・バーブーダ 北中米 9.91 (2009)
68 2009年6月7日 ロジャース, マイクマイク・ロジャース 9.94 +1.7 24 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.85 (2011) [24]
69 2009年7月10日 ブレーク, ヨハンヨハン・ブレーク 9.96 +0.4 19 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.69 (2012) [25]
70 2009年8月28日 クラーク, レローンレローン・クラーク 9.99 +0.4 28 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.99 (2009)
71 2010年7月9日 ルメートル, クリストフクリストフ・ルメートル 9.98 +1.3 20 フランスの旗 フランス ヨーロッパ 9.92 (2011)
72 2010年8月19日 キモンス, トレルトレル・キモンス 9.95 -0.8 25 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.95 (2010)
73 2010年8月29日 Ryan Bailey 9.95 +0.9 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.88 (2010)
74 2010年8月29日 フォーサイス, マリオマリオ・フォーサイス 9.99 +0.9 24 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.95 (2010)
75 2011年4月16日 マリングス, スティーブスティーブ・マリングス 9.90 +2.0 28 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.80 (2011)
76 2011年4月23日 マクシャ, ヌゴニザシェヌゴニザシェ・マクシャ 9.97 +2.0 24 ジンバブエの旗 ジンバブエ アフリカ 9.89 (2011)
77 2011年6月4日 アシュミード, ニッケルニッケル・アシュミード 9.96 +1.1 21 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.90 (2013)
78 2011年6月4日 ブレドマン, ケストンケストン・ブレドマン 9.93 +1.0 23 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 北中米 9.86 (2012)
79 2011年6月10日 サラーム, ラキームラキーム・サラーム 9.97 +1.3 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.97 (2011)
80 2011年6月30日 ンドゥレ, ジェイスマジェイスマ・ンドゥレ 9.99 +1.0 26 ノルウェーの旗 ノルウェー ヨーロッパ 9.99 (2011)
81 2012年6月6日 アダムス, ハリーハリー・アダムス 9.96 +1.4 22 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2012)
82 2012年7月7日 ハイマン, ケマーケマー・ハイマン 9.95 +1.8 22 ケイマン諸島の旗 ケイマン諸島 北中米 9.95 (2012)
83 2012年9月7日 ベイリー=コール, ケマーケマー・ベイリー=コール 9.97 +0.3 20 ジャマイカの旗 ジャマイカ 北中米 9.93 (2013)
84 2013年5月23日 ヤング, アイザイアアイザイア・ヤング 9.99 +0.3 23 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.99 (2013)
85 2013年6月5日 Dentarius Locke 9.97 +1.9 23 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.96 (2013)
86 2013年6月8日 ムブムブレ, ガブリエルガブリエル・ムブムブレ 9.98 +1.9 25 ジンバブエの旗 ジンバブエ アフリカ 9.98 (2013)
87 2013年6月21日 シルモン, チャールズチャールズ・シルモン 9.98 +1.1 21 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 北中米 9.98 (2013)
88 2013年7月13日 ダサオル, ジェームズジェームズ・ダサオル 9.91 +1.1 25 イギリスの旗 イギリス ヨーロッパ 9.91 (2013)
89 2013年7月13日 ヴィコー, ジミージミー・ヴィコー 9.95 +0.9 21 フランスの旗 フランス ヨーロッパ 9.95 (2013)
90 2014年4月12日 マガクウェ, サイモンサイモン・マガクウェ 9.98 (A) +1.4 27 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 アフリカ 9.98 (2014)

注釈[編集]

  • 1  標高1000メートル以上の地点において記録された高地記録
  • 2  フランシス・オビクウェルは2001年ポルトガル国籍を取得したが、最初に壁を打ち破ったのはナイジェリア時代のことであった。
  • 3  ベン・ジョンソンカナダ)は2度世界記録を更新するなど、10秒の壁を突破した6人目の競技者であったが、それらは全てドーピングによるものであった。
  • 4  マーク・ルイス=フランシス英国)は2001年世界陸上競技選手権で9秒97を記録したが、風速計の誤作動によるものとして公認されなかった。
  • 5  1977年1月、IAAF(国際陸上競技連盟)は電動計時を記録公認の条件として指定した。

種別記録[編集]

年次別記録
年度 記録者数
1968 1
1977 1
1983 2
1984 1
1988 1
1989 2
1991 3
1992 3
1993 1
1994 1
1995 2
1996 1
1997 5
1998 2
1999 4
2000 3
2002 4
2003 6
2004 1
2005 5
2006 3
2007 4
2008 10
2009 4
2010 4
2011 6
2012 3
国別記録
記録者数
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 40
ジャマイカの旗 ジャマイカ 12
ナイジェリアの旗 ナイジェリア 8
トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 5
イギリスの旗 イギリス 4
カナダの旗 カナダ 2
ガーナの旗 ガーナ 2
フランスの旗 フランス 3
ジンバブエの旗 ジンバブエ 2
キューバの旗 キューバ 1
ナミビアの旗 ナミビア 1
バルバドスの旗 バルバドス 1
セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス 1
オーストラリアの旗 オーストラリア 1
バハマの旗 バハマ 1
カタールの旗 カタール 1
オランダ領アンティルの旗 アンティル 1
アンティグア・バーブーダの旗 アンティグア・バーブーダ 1
ノルウェーの旗 ノルウェー 1
ケイマン諸島の旗 ケイマン諸島 1
地域陸連別記録
大陸 記録者数
アフリカ 13
アジア 1
ヨーロッパ 8
オセアニア 1
北中米カリブ海諸国 66
南アメリカ 0


手動計時による記録[編集]

手動計時において9秒9を記録した競技者を以下に掲載する。9秒9を記録すると同時に世界記録保持者となったが、その計時は完全に正確なものでなかったと推測される。1977年1月に電動計時による記録のみを公認とする変更がなされるまでは、手動計時による10分の1秒単位の記録が公認されていた[26]

記録年月日 競技者氏名 国籍 計時回数
1968年6月20日 ジム・ハインズ[27] アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2
1968年6月20日 スミス, ロニー・レイロニー・レイ・スミス アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1968年6月20日 グリーン, チャールズ・エドワードチャールズ・エドワード・グリーン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1972年6月21日 ウィリアムズ, スティーブスティーブ・ウィリアムズ アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 4
1972年7月1日 ハート, エドワードエドワード・ハート アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1972年7月1日 ロビンソン, レインナートレインナート・ロビンソン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 1
1975年6月5日 レオナルド, シルビオシルビオ・レオナルド キューバの旗 キューバ 1
1976年4月3日 グランス, ハーヴェイハーヴェイ・グランス アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2
1976年5月22日 クォーリー, ドンドン・クォーリー ジャマイカの旗 ジャマイカ 1

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 坂巻士朗, 小松やしほ「特集ワイド:ひとはどこまで速く走れるか 750年後、8秒76に!?」『毎日新聞』2008年6月24日東京夕刊、2頁、総合面。
  2. ^ Gardener, Jason(2008-08-09). Jason Gardener: I'm backing Tyson Gay to win one of the greatest 100 metres finals. The Daily Telegraph. 2010年5月12日閲覧。
  3. ^ World Championships: A History”. Sporting Life. 2011年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月12日閲覧。
  4. ^ 100 metres records. IAAF. 2010年5月12日閲覧。
  5. ^ 陸上競技ルールブック2010掲載内容 第3章 ドーピング防止 日本陸上競技連盟. 2010年5月13日閲覧。
  6. ^ 野村隆宏「[スポーツここが知りたい]陸上競技の追い風参考記録 大ジャンプ「消えた」例も」『毎日新聞』1995年6月2日東京夕刊、6頁、スポーツ面。
  7. ^ a b 芝田裕一「人間はどこまで速く走れるの? 100メートル男子9秒6も夢じゃない」『讀賣新聞』2005年8月6日東京夕刊、7頁、テクC面。
  8. ^ 「1000分の1秒にかけた人生 熱いドラマ支えた計時マン 間違えるのは人間だ」『讀賣新聞』1996年7月14日東京朝刊、39頁、社会面。
  9. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、670-672頁。
  10. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、661-663頁。
  11. ^ a b c d 小石川弘幸「男子100メートルで9秒79の世界新技術に改善余地(解説)」『讀賣新聞』1999年6月23日東京朝刊、16頁、解説面。
  12. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、662頁。
  13. ^ NHK「プロジェクトX」制作班(2000)、57-99頁。
  14. ^ 「[最近運動用具考現学]陸上競技用シューズ之巻 選手、種目で違う特徴」『讀賣新聞』1999年8月21日東京夕刊、6頁、スポーツ面。
  15. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会(1995)、293-295頁。
  16. ^ 小川勝(2008)、96頁。
  17. ^ Will Swanton and David Sygall, (2007-07-15). Holy Grails. Sydney Morning Herald. 2010年5月12日閲覧。
  18. ^ Athlete Profiles - Patrick Johnson. Athletics Australia. 2010年5月12日閲覧。
  19. ^ Yann Bouchez (2012-08-10). Lemaitre et Vicaut, un duo revanchard pour le relais 4 × 100 m Le Monde. 2013年7月23日閲覧
  20. ^ Jimmy Vicaut: "C'est Lemaitre, l'homme à abattre" Le Monde (2013-07-04). 2013年7月23日閲覧
  21. ^ Jimmy Vicaut (2011-08-19). Papa Vicaut ! Facebook. 2013年7月23日閲覧
  22. ^ 関幸生(2005). 世界陸上ヘルシンキ大会『世陸コラム「アフリカ大陸ふしぎ?発見!」』 TBS. 2010年5月12日閲覧。
  23. ^ a b c d US Olympic Trials Men 100 Meter Dash Quarter Finals. en:USA Track & Field (2008-06-28). 2010年5月12日閲覧。
  24. ^ Lee, Kirby (2009-06-08). Phillips sails 8.74m in Eugene for best Long Jump in world since 1991 – IAAF World Athletics Tour. IAAF. 2010年5月12日閲覧。
  25. ^ Ramsak, Bob (2009-07-10). Gay powers back with 9.77 in Rome – REPORT - ÅF Golden League. IAAF. 2010年5月12日閲覧。
  26. ^ 小川勝(2008)、77頁。
  27. ^ A History of World Records - Interactive Graphic NYTimes.com(2008-08-16). 2010年5月12日閲覧。

参考文献[編集]

  • 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟七十年史』 財団法人日本陸上競技連盟、1995年、1130頁。
  • ロベルト・L・ケルチェターニ著 財団法人日本陸上競技連盟監修 『近代陸上競技の歴史 1860-1991 誕生から現代まで〈男女別〉』 ベースボール・マガシン社、1992年、340頁。 ISBN 4-583-02945-4
  • 小川勝 『10秒の壁 ―――「人類最速」をめぐる百年の物語』 集英社〈集英社新書〉、2008年、203頁。 ISBN 978-4-08-720447-6
  • NHK「プロジェクトX」制作班編 『プロジェクトX 挑戦者たち 2 復活への舞台裏』 日本放送出版協会、2000年、300頁。 ISBN 4-14-080530-7

関連項目[編集]

外部リンク[編集]