(190721) 2001 OK23
(190721) 2001 OK23 | ||
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2001 OK23の軌道
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仮符号・別名 | 2001 OK23 | |
小惑星番号 | 190721 | |
見かけの等級 (mv) | 18.4-22.2[1] | |
分類 | 小惑星 | |
軌道の種類 | 小惑星帯 | |
軌道要素と性質 元期:TDB 2459800.5 (2022年8月9.0日)[2] | ||
軌道長半径 (a) | 2.31461703899433 au[2] | |
近日点距離 (q) | 2.015942127884629 au[2] | |
遠日点距離 (Q) | 2.613291950104031 au[2] | |
離心率 (e) | 0.1290385865471166[2] | |
公転周期 (P) | 1286.225589512282 日 (3.521493742675653 年)[2] | |
平均軌道速度 | 0.2798886936594899 度/日[2] | |
軌道傾斜角 (i) | [2] | 7.542280035550271 度|
近日点引数 (ω) | 326.1041708542351 度[2] | |
昇交点黄経 (Ω) | 18.55571968603934 度[2] | |
平均近点角 (M) | 319.0163457870352 度[2] | |
前回近日点通過 | JED 2459237.853564411006 (2021年1月23日)[2] | |
ティスラン・パラメータ (T jup) | 3.559 | |
物理的性質 | ||
直径 | 1.965km[3][注 1] | |
絶対等級 (H) | 16.65[2] | |
発見 | ||
発見日 | 2001年7月22日[4] | |
発見者 | NEAT[4] | |
発見方法 | 自動検出 | |
他のカタログでの名称 | ||
190721 2001 OK23 |
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■Template (■ノート ■解説) ■Project |
(190721) 2001 OK23 は、太陽系の小惑星帯に位置する小惑星の1つである。2001年7月22日に発見され、その後の7年間以上にわたる追跡観測で軌道が確定した結果2008年9月17日に小惑星番号190721番が与えられた[5]。その後2022年現在まで命名が無いため、発見時に与えられた仮符号2001 OK23(2001年の7月後半に発見された586番目の小惑星という意)のまま呼ばれている。
発見とその後の観測
NEATサーベイによる小惑星捜索
NEATは1995年12月から2007年4月の間、NASAとジェット推進研究所によって運営されていた地球に衝突する危険のある小惑星を早期発見する天文サーベイで、副産物として地球に衝突する危険のないような小惑星・彗星も数多く発見してきた。NEATはNASAとアメリカ空軍がハワイ・ハレアカラ山頂で行っていた空軍マウイ光学・スーパーコンピューティング観測所 (AMOS)にある1.2m望遠鏡と[6]、アメリカカリフォルニア州サンディエゴのパロマー天文台のサミュエル・オシン望遠鏡[7]を用いて捜索を行っていた。
このサーベイは当初はAMOSのそばにある米国宇宙監視ネットワークで使われていたGEODSS(Ground-based Electro-Optical Deep Space Surveillance)の1m望遠鏡だけを用いて捜索を行っていたが、2000年2月にAMOSの望遠鏡に引き継がれた。そして2001年4月にサミュエル・オシン望遠鏡にNEAT専用の4000ピクセル×4000ピクセルのCCDイメージセンサを3枚並べたカメラが設置され、捜索に加わった[8]。このカメラは2003年にクエーサー赤道サーベイチーム(QUEST)による2400ピクセル×600ピクセルのCCDを112枚並べた当時世界最大のカメラに置き換えられるまでの期間使用された[9]。
NEATはこの2観測所体制で小惑星捜索を続け、一方が発見した天体をもう一方がフォローアップ観測で確認するという体制がとられた[10]。
2つのうち2001 OK23を発見したほうの望遠鏡であるサミュエル・オシン望遠鏡は有効口径48インチと世界最大級のシュミット式望遠鏡であり、1937年の建設決定・翌年の建設開始から10年経った1948年に完成した[11]。その後、パロマー天文台スカイサーベイ(POSS)での全天の写真星図の撮影や、4回に及ぶパロマー・ライデンサーベイで数千個の小惑星を発見するなどの成果を出してきた。
1980年台半ばに望遠鏡の装置が大幅にアップグレードされ、その資金を提供した起業家・慈善家のサミュエル・オシンにちなんで現在の望遠鏡名が付けられた。 2000年から2001年の2年間で、自動制御が可能なように望遠鏡が改造され、NEATで行う晴れた夜に常時観測を実施する体制が実現できるようになった。
パロマー天文台でのNEATサーベイは2001年から2007年まで行われ、このうち2003年以降はQUESTと並行して行われた。NEATが観測を終了して以降、2008年までQUESTは観測を行った。2009年にはもともとハワイ・マウナ・ケア山にあるカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡に搭載されていた2048ピクセル×4096ピクセルのCCDを12枚並べたカメラ「CFH12K」をサミュエル・オシン望遠鏡に取り付け[12]、PTF(Palomar Transient Factory)という新しいサーベイを始めた。その後はiPTFと呼ばれるPTFの中間となるプロジェクトを経て、2017年からは6000ピクセル×6000ピクセルのCCDを16枚並べた超広視野カメラを用いたZTF(Zwicky Transient Facility)が始まり、小惑星を含む多くの天体の発見や追観測を行っている。2001 OK23もサミュエル・オシン望遠鏡での発見から18年後に、この最新の観測装置を備え生まれ変わったサミュエル・オシン望遠鏡によって追観測を受けている。
発見と過去の観測からの検出
2001 OK23は、前述のパロマー天文台に設置された地球近傍小惑星追跡(NEAT)プロジェクトが用いるサミュエル・オシン望遠鏡が2001年7月22日6時27分~7時00分(世界標準時)に撮影した画像から、けんびきょう座北部に18.7等級でいるところを発見された[4]。
当時から世界中で行われている小惑星捜索のサーベイ観測に発見前の2001 OK23が写っていなかったが調べられた。
まず2001年8月4日の発表では、パロマー天文台の観測データを遡った結果発見8日前の7月14日に、発見時の位置から2度ほど東に20.1等級で写っているのが確認された [13]。
さらに同年9月2日の発表では、さらに発見の約1か月前である6月23日にもパロマー天文台で撮影した画像中に写っていたことが公表された[14]。これ以降、パロマー天文台内外でこの小惑星の発見前観測は見つかっていない。
追観測
軌道を精密に求められるように観測期間をより長くするため、発見前の記録を遡るだけでなく発見後も現在に至るまで追観測が続いている。
しばらくの間パロマー天文台が単独で追観測を行っていたが、2001年8月24日を最後に観測が途絶えた[4]。 次に追観測が再開したのは2005年10月1日のことで、アメリカ・アリゾナ州フラッグスタッフにあるローウェル天文台アンダーソンメサ観測所が行っている小惑星サーベイLONEOS(Lowell Observatory Near-Earth-Object Search)の60cmF1.8シュミット式望遠鏡での観測で約4年ぶりにその姿が検出された[15]。
以降、同年の観測は活発となり、10月のうちに
- アメリカ・ニューメキシコ州ソコロのホワイトサンズ・ミサイル実験場内にあるリンカーン研究所実験サイトで行われている小惑星サーベイ・LINIAR(LIncoln Near-Earth Asteroid Research)[16]。
- アメリカアリゾナ州ツーソンにあるキットピーク国立天文台で行われている小惑星サーベイ・スペースウォッチ[17]。
- アメリカ・アリゾナ州スチュワード天文台のカタリナ観測所で行われているカタリナ・スカイサーベイ[17]
の3観測所が立て続けに追跡を開始した。
2005年末より再びブランクが生まれるが2007年に再び追跡されるようになって以降は2013年を除き毎年追跡が行われている[4]。また追観測を行う観測所数も年々増えており、2007年にはアメリカ・アリゾナ州のレモン山天文台で行われているレモン山サーベイが[18]、2008年にはオーストラリア・ニューサウスウェールズ州のサイディング・スプリング天文台で行われているサイディング・スプリングサーベイが[19]、2012年にハワイ・ハレアカラ山頂のPan-STARRSの1台目の望遠鏡「PS-1」と[20]、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島にある欧州宇宙機関の地上観測所・ESA光学地上局(OGS望遠鏡)が[21]追観測に加わった。
さらに、2015年にはサイディング・スプリング天文台にある国際科学光学ネットワークのサイディング・スプリング観測所が[22]、2016年には当時アメリカ・ニューメキシコ州にあった宇宙監視望遠鏡と[23]中国・南京市の紫金山天文台が[24]、2019年にはパロマー天文台のZTF(Zwicky Transient Facility)と[25]、ハワイのATLASのマウナロア山頂にある望遠鏡とハレアカラ山頂にある望遠鏡[26]、さらにPan-STARRSの2台目の望遠鏡「PS-2」と[27]、モロッコ・マラケシュ=タンシフト=アルハウズ地方のウカイメデン天文台が[27]、2022年にはチリのサンペドロ・デ・アタカマにあるアマチュア天文家によるサーベイ[28]「MAP」が順次追観測に加わった[29]。
これらの望遠鏡によって2022年7月3日までに合計573回の観測がされている[4]。そのため現在求められている軌道の誤差は小さく、小惑星センターはこの小惑星の軌道の不確定性を10段階評価で最も精密な「U=0」と分類している[30]。軌道のフィッティング精度の残差は0.72[4]秒角と非常に小さい。
特性
小惑星帯を真円に近い軌道で公転しているため現在の軌道では惑星への衝突可能性は無く、火星と最小で0.634auまで接近するのが理論上起こりうる惑星との最接近距離である[4]。地球とは最小でも1.01412auまでしか接近しないので、PHA(潜在的に危険な小惑星)に分類されていない[31]。また軌道の固有変化について、軌道のリアプノフ指数は2.9(1/Myr)であり[31]、統合期間は200万年と導出されている[31]。
この小惑星の直径を決めるうえで大きな要素となる絶対等級は、Minor Planets and Comets Orbit Supplement(MPO)のMPO695088では16.65等級とされている[32]。
2008年の番号登録から既に10年以上が経過しているため、規則により発見グループのNEATは専有の命名権を喪失しており、他者からの提案での命名が可能となっている[33]。
この小惑星による恒星食は2022年現在までに観測されておらず、直近で明るい恒星を隠すイベントも予報されていない[34]。小惑星が小さいことにより、予報できる位置の誤差が小惑星の直径と比べて著しく大きくなるため、この天体についての食の予報や観測は容易ではない。
関連項目
脚注
注釈
出典
- ^ “Horizons System”. 2022年6月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “Small-Body Database Lookup” (2021年8月25日). 2022年6月20日閲覧。
- ^ “Conversion of Absolute Magnitude to Diameter for Minor Planets”. 202-05-24時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “(190721) = 2001 OK23”. 2022年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月20日閲覧。
- ^ “MPC 63826” (2008年9月17日). 2017年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月15日閲覧。
- ^ “Near-Earth Asteroid Tracking (NEAT)”. Near Earth Object Program. NASA/JPL. 14 January 2004時点のオリジナルよりアーカイブ。9 February 2017閲覧。
- ^ “天文学辞典”. 2021年9月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月7日閲覧。
- ^ “World's Largest Astronomical CCD Camera Installed On Palomar Observatory Telescope”. 2019年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月9日閲覧。
- ^ Pravdo, S. H.; Helin, E.F.; Hicks, M; LAWRENCE, K (2006-12-17). “Near-Earth Asteroid Tracking (NEAT) Program”. Near-Earth Objects: The United Nations Conference 822 (1). doi:10.1111/j.1749-6632.1997.tb48329.x 2022年9月9日閲覧。.
- ^ Helin, ELEANOR F.; PRAVDO, STEVEN H.; RABINOWITZ, DAVID L.; LAWRENCE, KENNETH J. (2001-11). “Near-Earth Asteroid Tracking at Palomar and Maui”. Bulletin of the American Astronomical Society 33: 1148. Bibcode: 2001DPS....33.5901P 2022年9月9日閲覧。.
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- ^ “MPO 695088” (2022年5月20日). 2022年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月25日閲覧。
- ^ “小惑星Iruma(入間)誕生”. 2009年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月20日閲覧。
- ^ “OWCloud”. 2022年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月16日閲覧。
外部リンク
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