黒海

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黒海(Black Sea)の地図
黒海の衛星写真

黒海(こっかい)は、ヨーロッパアジアの間にある内海マルマラ海を経てエーゲ海地中海に繋がる。

バルカン半島アナトリア半島カフカースと南ウクライナクリミア半島に囲まれており、ドナウ川ドニエストル川ドニエプル川などの東ヨーロッパの大河が注ぐ。アナトリアとバルカンの間のボスポラス海峡マルマラ海ダーダネルス海峡を通じて地中海に繋がっており、クリミアの東にはケルチ海峡を隔ててアゾフ海がある。

黒海に面する国は、南岸がトルコで、そこから時計回りにブルガリアルーマニアウクライナロシアグルジアである。

黒海に面する有名な港湾には、イスタンブルビュザンティオンコンスタンティノープル)から時計回りにブルガスヴァルナコンスタンツァオデッサセヴァストポリヤルタガグラバトゥミトラブゾンサムスンなどがある。

目次

[編集] 名称

日本語では専ら黒海(こっかい)と呼ばれる。英語ではBlack Seaトルコ語ではKaradeniz、ロシア語ではЧёрное мореウクライナ語ではЧорне мореとなる。どれも「黒い海」という意味では同じである。

古くは、古代ギリシア名としてPontos Axeinos(the dark or somber sea)とも呼称されていた。ビザンツ帝国の文書内ではPontosとだけ記述されている場合が多い。中世アラブやオスマンの文献では、多数の名称が用いられている(ローマの海、偉大なる海、トラブゾンの海、等)。黒海という名称が文献に現れ始めるのは、オスマン帝国初期である。しかし、なぜ「黒」と形容されたのかについてはいくつかの仮説はあるものの明らかになっていない[1]

[編集] 概要

面積は436,400 km2ある。最大水深は2,206m。名称は黒味を帯びた海水に由来し、この黒味の原因は硫化鉄であるとする説と、地中海よりも豊富な微小藻類であるとする説がある。前者は次のように説明される。黒海の海水は水深200mを境として冷たく塩分の薄い表層水(河川から流入し、地中海へ流出)と、暖かく塩分の濃い深層水(地中海から流入)が層を成して混合しない。このため深層水では酸素が欠乏し嫌気性バクテリアによって硫化水素が発生し、海水中のイオンと結合し黒色の硫化鉄を生成する。表層水は充分な酸素を含むため豊かな生態系を擁しており、漁業も行われている。

[編集] 歴史

南西にイスタンブルがあり、古くからビザンツ帝国オスマン帝国の首都があったかことから、黒海地域の歴史は複雑である。オスマン帝国時代には対ウクライナなどの黒海貿易もあった[2]。黒海が位置するのがアジアとヨーロッパの境界線上であるため、中東史、ヨーロッパ史、ロシア史のどの分野でも記述される機会が少なかったが、少しずつ黒海周辺を一つの地域として黒海歴史研究をする学者が出てきている[3]

[編集] 政治

地政学的に黒海を考える時に、北にウクライナ、南にトルコ、東にグルジアという欧州を代表する国際機構、NATO(トルコは加盟)、EUへの加盟を目指しつつも実現出来ていない国々があることから、近年「黒海地域」という黒海周辺国家をヨーロッパの境界線上のようにとらえる研究が出てきている。上記の国々が所属する国際機構、黒海経済協力機構(BSEC)やGUAM(トルコはオブザーバー)は、最終的な目標として「欧州との統合」を掲げている点が共通している。その点から、欧州とは何か、「ヨーロッパ性(Europianity)」とは何かを考える際に、黒海が一つの地域(Black Sea Zone)として再定義されている[4]

[編集] 地質と海底地形

黒海の成因は白亜紀の火山弧が分離したことと新旧テーチス海の沈降によるところが大きいがそれらの時期については議論がある。形成初期から圧縮力が働き盆地として沈降したが、火山活動造山運動も無数に生じ、コーカサス、クリミア、バルカンなどの山地が形成された。

現在も続くアフリカプレートユーラシアプレートの衝突と、北および東アナトリア断層に沿ってアナトリア地塊が西へ動くことが、黒海を沈降させアナトリア地域で火山が活発化する原因である。これら地質メカニズムが長期にわたって黒海を他の海洋から隔離したと言える。いまの海底地形の特徴としてクリミア半島から南に延びる盛り上がった部分がつくる浅い陸棚があり、190kmの広がり見せる。黒海の中央部は嫌気性の深海平原で最大水深はヤルタの南で2,206mになる。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ


[編集] 脚注

  1. ^ Charles King"The Black Sea: A History", Oxford University Press, 2004
  2. ^ 「オスマン帝国−イスラム世界の「柔らかい専制」−」鈴木董著(講談社、1992)
  3. ^ Charles King"The Black Sea: A History", Oxford University Press, 2004
  4. ^ Charles King"The Black Sea: A History", Oxford University Press, 2004


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