黒岩悠

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黒岩悠
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 高知県香美郡野市町
(現・香南市
生年月日 (1983-10-26) 1983年10月26日(40歳)
身長 164cm
体重 48kg
血液型 AB型
騎手情報
所属団体 JRA
所属厩舎 フリー
初免許年 2002年
免許区分 平地・障害[1]
経歴
所属 吉岡八郎(2002.3.1 - 2005.2.28)
フリー(2005.3.1 - 2007.6.20)
坂口正則(2007.6.21 - 2007.12.31)
フリー(2008.1.1 - 2010.6.30)
吉岡八郎(2010.7.1 - 2011.1.20)
フリー(2011.1.21 - )
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黒岩 悠(くろいわ ゆう、1983年10月26日 - )は、JRA栗東トレーニングセンターに所属している騎手高知県出身。

来歴[編集]

父に高知競馬場へ連れて行ってもらったのを機に競馬に興味を持ち、中学の頃に騎手を目指した。

競馬学校18期生で、同期には田辺裕信五十嵐雄祐柴原央明高野容輔南井大志らがいる。2002年に栗東・吉岡八郎厩舎からデビュー。本来は同じ高知出身の福永甲厩舎に入る予定だったが行き違いがあり、同期の高野容輔が福永厩舎に入ったという[2]

1年目より平地競走のほか、障害競走にも騎乗。2年目の2003年には自己最高となる17勝をマークし、平地・障害双方の重賞競走への初騎乗も記録。この年ナムラエキスプレスにて障害初勝利を達成、同馬で小倉サマージャンプに参戦し3着という結果を残している。

2004年1月25日の京都競馬第5競走の障害戦で落馬し骨盤骨折の大怪我を負い、半年間の長期休養を余儀なくされた。

見習騎手から外れる2005年以降、平地での騎乗機会は減少するも障害競走へと活躍の場を移し、デビュー7年目となる2008年にはドールリヴィエールに騎乗し三木ホースランドジャンプステークスを制し初の特別競走勝ちを記録、翌2009年には同馬にてJ・GI初騎乗も果たしている。

2009、10年は未勝利に終わり引退も考えたが、清水久詞調教師から声をかけられ調教を任されるようになり、その中の1頭トウケイヘイローが重賞4勝を挙げた[3]。その後も清水厩舎で調教を任され、デビュー当初から調教に携わったキタサンブラックがGI7勝、獲得賞金歴代1位の記録を作り、主戦の武豊からも「彼に任せておけば問題ない」と信頼を寄せられた[4]。ラストランとなった有馬記念のレース終了後に行われたキタサンブラックのお別れセレモニーにも登壇し、武豊から「黒岩君の指示通り乗って勝てました」というコメントを送られた[5][6]

2021年5月22日には新潟で障害競走2鞍に騎乗し、1Rでは12番人気サトノファイターで勝利、4Rでは清水久詞厩舎の5番人気ホッコーメヴィウスで勝利し、デビュー2年目以来となる1日2勝を記録した[7]。ホッコーメヴィウスとのコンビで挑んだ同年の東京ジャンプステークスでは最後の直線で伸び一時先頭に立ったが、ゴール寸前でスマートアペックスにハナ差かわされ2着となり重賞初制覇を逃した。レース後、「悔しいです。ここまで行ったら勝ち切りたかったです」とコメントした[8]

その後も重賞で2着や3着が続いていたが、2022年7月30日、新潟ジャンプステークスをホッコーメヴィウスで勝利しデビュー21年目で重賞初制覇を果たした。ゴールの瞬間ガッツポーズはなかったが、「ちょっと拳を握りました(笑)。そんな派手に喜べるような成績の騎手ではないので。」と語っている[9]。次戦の阪神ジャンプステークスでは単勝1.4倍の1番人気に支持され重賞連勝を飾った。さらに同馬で京都ジャンプステークスも制するなど、この年障害重賞3勝を挙げ、障害競走騎乗開始後障害戦でキャリアハイとなる9勝を挙げた。

2023年4月15日、中山グランドジャンプではイロゴトシに騎乗し単勝6番人気ながら、2着のミッキーメテオに3.1秒の大差を付ける圧勝劇で、人馬とも初GI(J・GI)競走初制覇を果たした[10]

2024年4月13日、昨年に引き続きイロゴトシとのコンビにて中山グランドジャンプを連覇する。

エピソード[編集]

  • 吉岡八郎と兄弟弟子の坂口正則厩舎に短期間所属していた時期もあり、坂口厩舎のエイシンヒカリの調教も担当していた。気性面で難しいところがあり、緊張したのはキタサンブラックよりもエイシンヒカリだったという[11]
  • 趣味は麻雀で、片山まさゆき主催の麻雀大会「GPC関西著名人リーグ」に参戦し、2015年に総合成績2位になったことがある[12]。2021年にはMリーグU-NEXT Piratesのユニフォームを着用した姿でスポーツ報知の取材を受けている[13]。2022年には魚谷侑未から贈られたサイン入りのセガサミーフェニックスのユニフォームを着用しインタビューを受けている[14][9]
  • 後輩である藤岡康太について、合同葬後の自身のSNSにて「本人はどうか知りませんが、僕の中では康太はこの世界で唯一と言ってもいい、何も気にしないで話せる気の置けない存在でした。」「先日のレースも直線に入ってから、間違いなくあいつの声が聞こえました。」と2024年の中山グランドジャンプの連覇は康太の後押しがあったからだと記している[1]

主な騎乗馬[編集]

太字はGI級競走を示す

騎乗成績[編集]

日付 競馬場・開催 競走名 馬名 頭数 人気 着順

初騎乗 2002年3月2日 1回中京1日3R 3歳未勝利 キシュウミカン 16頭 9 15着
初勝利 2002年7月14日 2回小倉2日1R 3歳未勝利 マヤノフォーティ 15頭 5 1着
重賞初騎乗 2003年2月9日 2回京都4日11R シルクロードステークス キシュウファンタジ 14頭 12 11着

初騎乗 2002年7月20日 2回小倉3日5R 障害3歳上未勝利 マリアエレナ 12頭 10 12着
初勝利 2003年3月29日 2回阪神1日5R 障害4歳上未勝利 ナムラエキスプレス 14頭 2 1着
重賞初騎乗 2003年5月17日 3回京都7日9R 京都ジャンプステークス アグネスストーム 14頭 11 7着
重賞初勝利 2022年7月30日 2回新潟1日8R 新潟ジャンプステークス ホッコーメヴィウス 14頭 3 1着
JGI初騎乗 2009年4月18日 3回中山7日11R 中山グランドジャンプ ドールリヴィエール 15頭 9 5着
JGI初勝利 2023年4月15日 3回中山7日11R 中山グランドジャンプ イロゴトシ 10頭 6 1着
年度 平地競走 障害競走
1着 2着 3着 騎乗数 勝率 連対率 複勝率 1着 2着 3着 騎乗数 勝率 連対率 複勝率
2002年 2 2 5 139 .014 .029 .065 0 0 0 6 .000 .000 .000
2003年 13 12 21 302 .043 .083 .152 4 3 4 33 .121 .212 .333
2004年 3 10 6 142 .021 .092 .134 1 0 2 8 .125 .125 .375
2005年 2 2 3 85 .024 .047 .082 0 0 2 15 .000 .000 .133
2006年 0 0 0 43 .000 .000 .000 1 2 2 32 .031 .094 .156
2007年 0 0 2 18 .000 .000 .111 2 0 1 30 .067 .067 .100
2008年 1 1 1 31 .032 .065 .097 6 2 0 32 .188 .250 .250
2009年 0 0 0 10 .000 .000 .000 0 0 5 42 .000 .000 .119
2010年 0 1 0 16 .000 .063 .063 0 1 4 41 .000 .024 .122
2011年 0 0 0 8 .000 .000 .000 2 1 2 39 .051 .077 .128
2012年 0 0 0 6 .000 .000 .000 5 0 5 60 .083 .083 .167
2013年 0 0 0 8 .000 .000 .000 2 2 1 60 .033 .067 .083
2014年 0 0 0 2 .000 .000 .000 4 0 2 42 .095 .095 .143
2015年 0 0 0 3 .000 .000 .000 1 2 1 44 .023 .068 .091
2016年 0 0 0 3 .000 .000 .000 2 0 1 27 .074 .074 .111
2017年 0 0 0 4 .000 .000 .000 1 0 3 37 .027 .027 .108
2018年 0 0 0 7 .000 .000 .000 0 1 0 27 .000 .037 .037
2019年 0 0 0 4 .000 .000 .000 3 5 2 33 .091 .242 .303
2020年 0 0 0 5 .000 .000 .000 0 3 3 36 .000 .083 .167
2021年 0 1 0 9 .000 .111 .111 4 5 5 57 .070 .158 .246
2022年 0 0 1 7 .000 .000 .143 9 2 2 45 .200 .244 .289
2023年 0 0 0 13 .000 .000 .000 5 0 5 62 .081 .081 .161
中央 21 29 39 865 .024 .057 .102 52 29 52 580 .089 .139 .229
地方 0 1 0 10 .000 .100 .100  

出典[編集]

  1. ^ 平成28年度 騎手免許試験合格者” (PDF). 日本中央競馬会 (2016年2月11日). 2016年4月6日閲覧。
  2. ^ 【陰のヒーロー】黒岩悠騎手(2)『デビュー3年目の大ケガ 歩けないかもしれないという宣告』
  3. ^ G1の裏でひっそり勝利したある若いジョッキーのこれまでと、これからに懸ける物語
  4. ^ 武豊が「絶大な信頼」を寄せる黒岩悠とは一体何者? 現役最強馬キタサンブラックを誰よりも知る「影の主戦騎手」の正体
  5. ^ キタサン有終V!最後は“キタサンまつり”で盛大にフィナーレ
  6. ^ 【有馬記念】調教パートナー黒岩「ゴールの瞬間はホロっと」
  7. ^ 2021年05月22日のレース情報
  8. ^ 【東京ジャンプSレース後コメント】スマートアペックス中村将之騎手ら
  9. ^ a b 【黒岩悠騎手】キタサンブラック陰の立役者が重賞初制覇! 清水久詞師の夢の実現へホッコーメヴィウスと挑む
  10. ^ 【中山グランドJ】イロゴトシが障害G1初V 黒岩悠騎手も初ビッグタイトル「実感わかない」 - スポーツ報知 2023年4月15日
  11. ^ 【陰のヒーロー】黒岩悠騎手(4)『緊張したのはキタサンブラックよりもエイシンヒカリ』
  12. ^ 関西著名人リーグ2015 成績一覧
  13. ^ 【新潟ジャンプS】キタサンブラック調教担当した黒岩騎手、同厩馬ホッコーメヴィウスで20年目悲願タイトルだ
  14. ^ 黒岩悠 on Twitter
  15. ^ ホッコーメヴィウス|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年7月30日閲覧。
  16. ^ イロゴトシ”. JBISサーチ. 公益財団法人日本軽種馬協会. 2023年4月15日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]