魔城伝説

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魔城伝説
Knightmare
ジャンル シューティングゲーム
対応機種 MSX
発売元 コナミ
メディア ROMカートリッジ
発売日 1986年3月
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
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魔城伝説』(まじょうでんせつ、英題: Knightmare )は、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)より1986年MSX用に発売されたトップビューの縦スクロールシューティングゲーム

コナミアンティークスMSXコレクション』(プレイステーションセガサターンゲームアーカイブス)にも収録され、近年には携帯電話、i-revoWiiWii UバーチャルコンソールプロジェクトEGGでも配信された。

概要[編集]

当時のシューティングゲームとしては珍しいファンタジー路線で、主人公ポポロンがヒュドノスにさらわれた・アフロディテを助けるというストーリーとなっている。ポポロンは弓矢を使い、襲い来る魔物を倒していく。

続編も発売されている。『魔城伝説II ガリウスの迷宮』(ファミリーコンピュータ版は『魔城伝説II 大魔司教ガリウス』)はサイドビューのアクションRPG、完結編である『シャロム 魔城伝説III 完結編』はRPG風のアドベンチャーゲームになっており、シリーズの各作品のゲームジャンルがそれぞれ異なっている。

なお、本作の主人公ポポロンは後にMSX版『パロディウス』に魔物退治と称して参加している。

ゲームシステムではアーケードゲームである『ファイナライザー』と武器やパワーアップシステムで共通する部分が多い。

同社が発売した『悪魔城伝説』はこのシリーズとは関係無く、悪魔城ドラキュラシリーズの続編作品である。

システム[編集]

縦スクロールシューティングゲームである。主人公はポポロンとなり、ヒュドノスを倒すために8つのステージをクリアしていく。

各ステージの地面には、クエスチョンマークのついた物体が配置されている。これはアフロディテが残した道標という設定になっている。武器を当てるとチェスの駒をモチーフにしたジュエルが表示され、取ると得点が増えたり特殊効果が発動したりする。まれに障害物になるものもある。

また、所定の位置に来ると、パワークリスタルおよびウェポンクリスタルが画面上部より現れる。前者によってポポロンはスピードアップや透明化などのパワーアップをすることが可能となる。後者では新しい武器を選択することができる。

各ステージの最後にはボスキャラがおり、次のステージへのゲートを守っている。ステージによっては、川に橋がかかっていないこともある。そのときは川に向かって武器を撃ちながら探す必要がある。

画面の両端に地形があり、スクロールに挟まれるとプレイヤーアウトになる。地形のないところでは左右が繋がっていてワープできる箇所がある。

ステージ構成[編集]

ステージ1
神殿。
ステージ2
森。川はない。
ステージ3
砂漠。
ステージ4
赤く染まった神殿。
ステージ5
城の内部。左右の壁は青いレンガになっている。
ステージ6
荒れ地。
ステージ7
川。水の上に建設された橋の上で戦う。ところどころ橋が架かっていないところがあるが、クエスチョンマークのパネルに武器を当てると現れる。
ステージ8
ヒュドノスのいる神殿の内部。

キャラクター[編集]

主人公側[編集]

ポポロン
主人公(プレーヤー)。水色のを身にまとっている。初期装備は2連射の弓矢
アフロディテ
ヒュドノスにとらわれたグリーク王国の姫。

敵ボスキャラ[編集]

メデューサ
1面のボス。部下にクラウドを従えている。直線的に飛ぶ呪文を放つ。
デス
2面のボス。死神。複雑な動きをするを多量に投げてくる。鎌は主人公の武器で消せる。攻撃すると顔の色が変化する。
サタン
3面のボス。左右に飛びながら放射状に弾を吐く。翼を閉じているときには攻撃できない。攻撃すると目などの色が変化する。
エルダー
4面のボス。長老。顔の中央に巨大な目が一つだけあり、顔全体は白い毛で覆われている。地面でしばらく燃える炎を出す。攻撃すると目の色が変化する。
ソードマン
5面のボス。赤い甲冑をまとった巨大な戦士。両手から斧を投げる。兜の庇が上がっているときしか攻撃できない。
ジャイアント
6面のボス。巨人。足を踏みならすことで地割れを生じさせる。
ホワイトナイト
7面のボス。ブルーナイトをしたがえて登場する。大きさはポポロンと同じ。攻撃すると青あるいは赤に点滅する。画面下まで去ると、再びゲートの中から現れる。
ヒュドノス
8面のボス。アフロディテをさらった怪物。全身に6つの目があり、それぞれから多量の弾を撃つ。クラウドに守られている。

その他の敵[編集]

[*]の敵は、編隊で登場した場合の全滅ボーナスあり。

プト
シットルケの化身。黒スライムのような単細胞。弾をばら撒きながらゆっくり前進する。
バット[*]
吸血コウモリ。弾をばら撒きながら決められたコースを飛行する。飛行パターンは3種類ある。
ブルーナイト[*]
鎧をまとった騎士。耐久力があり、貫通しない武器は4発当てないと倒せない。
エンジェル[*]
堕天使。直進で飛行して途中で方向を変えてプレイヤーに向かってくる。
クラウド
画面上部を漂う。攻撃が当たるとポポロンに突進してくる。
ボーン
骸骨。骨を飛ばして攻撃してくる。攻撃しても3回までは頭と胴体が別々になるだけで元に戻り、そのたびに速度を増す。
サンダー
稲妻弾。高速で画面を通過していく。体当たりされやすい。
デビル(小)
雲に包まれて登場して、途中で姿を現して扇状に呪文を吐いて去って行く。
ファイヤー[*]

火の玉。画面を一周して去って行く。

ゴースト[*]
画面の両端からUの字で飛行してくる。横から体当たりされやすい。
ソーサラーA[*]
黄色い顔をした魔法使い。呪文を吐きながら画面上を周回する。
ゾンビ
攻撃を受けると小型の2体に分裂する。キャラクターオーバーの場合は小型化するだけ。
シットルケ
黒装束に身を包んだ妖怪人間。両手を挙げたまま歩いてくる。6方向弾で攻撃してくる。
ソーサラーB
ゆらゆらと飛空しながら近づいてくる。プレイヤーが弾を撃つと姿が消える。出現中はチャイムのような効果音が鳴り続ける。

アイテム[編集]

ジュエル[編集]

クエスチョンマークを撃つことで以下のいずれかになる。背景に隠れており、隠されている場所を撃つことによって出現するものもある。

ルーク
水色。取ると500点。
ナイト
青。敵を全滅させる。
クイーン
赤。10秒間だけ時間を止める。
キング
黄色。残機が増える。
オブスタクル
金属光沢のある障害物。通過できない。
ワープホール
EXITと書かれた穴で入ると先のステージにワープする。一度そのステージまで進んでゲームオーバーになっていることが出現条件。

パワークリスタル[編集]

画面上から出現するPマークの物体で、武器を当てる毎に色が変化していく。何発か武器を当てると横に蛇行し始める。

黒(ボーナス)
1000点加算。
青(スピード)
スピードアップ。最大4段階。
水色(シールド)
前方にを装備して敵の弾を防ぐ。ダメージが蓄積すると盾の色が変化し、30発受けると消える(ボスの弾は4発分消費する)
白(トランスペアランス)
一定時間透明になり無敵になる(透明状態でもボスに体当たりすると死ぬ)。なお、シールドを取るとその時点で終了する。
赤(クラッシュ)
一定時間体が赤くなり、体当たりで敵を倒せる。ただしこの時は武器が撃てない。

ウェポンクリスタル[編集]

画面上から出現して、武器を当てることでデザインが変化する。同じ武器を連続で取ると2段階まで強化する。

無地
1000点加算。
ツインアロー
矢が2本になる。2段階目は2連射から3連射になる。
ファイヤー
単射だが3方向に貫通力のある火の玉が出る。2段階目は3列平行になる。
ブーメラン
貫通力のあるブーメランを投げる。途中まで飛ぶと手元に戻ってきて射程は短い。2段階目は2連射から3連射になる。
ソード
貫通力はないが速度が早く、3連射できる刀を投げる。2段階目でソードが2本になり当たり判定が広くなる。
ファイヤーアロー
火のついた矢で貫通力がある。2段階目は2連射から3連射になる。

幻の続編[編集]

PC-8801mkIISR及びX1用で『魔城伝説II 〜ポポロン激闘編〜』の発売が予定され、雑誌で開発中画面が紹介されたりもしたが[1][2]未発売に終わった。内容はMSX版『魔城伝説』をベースにRPG要素を追加したもので[1]、MSXで発売された『魔城伝説II ガリウスの迷宮』とは大きく異なる。

当時の紹介記事をまとめると、以下のような特徴があったとされる。

  • 残りプレイヤー数の他にライフゲージが存在する[1]
  • 経験値が存在する[1]。経験値が増えるとレベルが上がりポポロンの攻撃力が上がる。
  • 武器は投げ武器の他に、竹やりこん棒などの手持ち武器があり、SHIFTキーで切り替え選択して使用できる[1]
  • 武器には威力を表すSTR値がある[1]
  • ゲーム進行に有効なアイテム(食料、鍵、竹馬など)が追加[1]
  • 盾や鎧の防具が存在する[1]
  • 攻撃してはいけない敵(市民キャラクター)がいて、攻撃するとポポロンの経験値が下がる[1]
  • 武器、防具、アイテムは持てる数に制限がある[1]
  • シューティングシーンは強制縦スクロールに加えて、画面切り替えで左右に移動できるステージがある。
  • 街や城内に入ると画面切り替え方式に変わる[1]。ポポロンの向きや攻撃方向も変わるのかは不明。
  • キャラクターの大きさは縦のドット数が倍になり4頭身相当となる。

その他[編集]

韓国では1987年7月までコンピュータプログラムの著作権保護法が設けられていなかったため、Zemina社によって韓国MSXとセガ・マスターシステム向けにコンバート移植されたクローンの『The Three Dragon Story(용의 전설)』(海賊版)が存在する。グラフィックの他にプレイヤーがライフゲージ制、使用する武器に時間制限があるなどの違いがある。

F1キーでポーズをかけるとポポロンは布団に入って鼻提灯を膨らませる。ポーズシーンにおいてこのような「遊び」が導入されたのはコナミのMSXゲームでは本作が初である。

参照[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k YK-2「魔城伝説II 開発中をスクープ! ポポロン激闘編」『マイコンBASICマガジン』1987年2月号(第6巻第2号)、電波新聞社、1987年2月1日、244 - 245頁。
  2. ^ アスキー 月刊ログイン 1987年3月号 P.196

外部リンク[編集]