高経済性単純化沸騰水型原子炉

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ESBWRの原子炉構造

高経済性単純化沸騰水型原子炉英語: Economic Simplified Boiling Water ReactorESBWR)は受動的安全システムを備えた第3世代+原子炉である。沸騰水型原子炉の一形式であり改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)や単純化沸騰水型軽水炉(Simplified Boiling Water Reactor、SBWR) の改良型である。設計はGE日立ニュークリア・エナジーによって行われた。

受動安全構造[編集]

ESBWRの受動的安全システムは、従来型の沸騰水型炉に使われているポンプのうちのいくつかを採用しておらず、これによって設計的に安全性、保全性、信頼性が向上しており、同時に原子炉コスト全体を削減している。原子炉圧力容器の冷却材である軽水の再循環には自然対流を利用しており、この結果、循環維持のために必要なシステムが少なくなっている。システムは原子炉冷却材再循環ポンプやそれに連なる配管(原子炉再循環系統)、電源供給、熱交換器、計器装備、制御などを必要としない。

ESBWRの受動安全システムには非常用復水器系(ICS)、重力駆動冷却系(GDCS)、静的格納容器冷却系(PCCS)の三方式のシステムが組み合わせられており、これによって原子炉からの圧力容器外部のプールの水に崩壊熱の効率的な転換ができる。これらのシステムは原子炉内部の水量を維持しながら崩壊熱を格納容器外部に転換するために単純な物理法則に基づいた自然循環を利用しており、核燃料が水に浸かった状態と十分な冷却が維持される。

原子炉冷却材圧力境界が無傷の場合、熱の原子炉内から格納容器外への移動には非常用復水器系(ICS)が利用される。ICSは閉ループ系であり、圧力容器と原子炉建屋上部に位置する熱交換器を繋いでいる。原子炉から出た蒸気は配管を通ってプールの水に浸されたICS熱交換器へ向かう。蒸気は熱交換器で凝縮され、密度が大きくなって重くなった凝縮物、つまり水滴は管壁を滴り落ちて原子炉に流れ戻ることで冷却環が構成される。原子炉冷却材は継続的な冷却を提供し、炉心に水を保つためにこの流路を通して再利用される。

原子炉冷却材圧力境界が完全に維持できず、原子炉内にためられたが失われたとき、静的格納容器冷却系(PCCS)と重力駆動冷却系(GDCS)が一斉に働き原子炉内の水量を維持し、崩壊熱を原子炉内部から格納容器外部に放出する。水の在庫の喪失によって圧力容器内部の水の量が予定された水面位置よりも低くなった場合、原子炉は減圧され、重力駆動冷却系(GDCS)が働き始める。これは格納容器内部の巨大なプールであり、原子炉より上部に位置し、圧力容器につながっている。GDCSが動き始めると、重力によって水が原子炉の中に流れ込む。プールは核燃料を浸すのに十分な量の水を提供するためにあわせて作られている。原子炉が減圧された後、崩壊熱は原子炉内部の水を沸騰させ、蒸気となって圧力容器内部から格納容器に移動される。静的格納容器冷却系(PCCS)は原子炉建屋の上部の熱交換器から構成される。原子炉からの蒸気は格納容器を通ってPCCS熱交換器に送り込まれ、ここで蒸気は凝縮され水に戻る。凝縮された水はPCCS熱交換器から排水され、重力駆動冷却系のプールに送り込まれ、これでサイクルが完了し、再び圧力容器に注水される。

非常用復水器系と静的格納容器冷却系の熱交換器は72時間にわたって原子炉崩壊熱除去能力を提供するのに十分な大きさのプールの水に浸されている。このプールは格納容器の外にあり、さらに大気との通気もされている。これらの組み合わせによってプールが低圧水源と仮パイプ接続で水を簡単に補充することが可能となっている

炉心の長さは従来のBWRプラントに比べ短い。圧力容器内の水は原子炉の減速材と冷却材を構成する主要な材料であるが、それが沸騰しながら燃料棒の間を蒸気泡と熱水の二相流になり流れる時は、燃料棒が水の移動を邪魔し、圧力低下損失をもたらす。ESBWRは強制循環では無く、自然対流を利用しているため、再循環ポンプのような、流体に圧力をかけて能動的に再循環をさせる仕組みが備わっていない。短い燃料棒で炉心を構成することで、間を流れる水の圧力損を減らすことができ、それによって自然な循環を可能にする。そこに1132本の燃料棒束があり、その熱出力は標準的なSBWRで4500MWである。一般的な夏期の出力はおおむね1,575-1,600 MWeであり、プラント全体のカルノー効率は最大で35%である[1]

事故がおきた場合、ESBWRは運用者による操作や外部電源無しに72時間安定と安全を維持できる。容器の下には、大事故に陥った場合にも炉心の冷却を可能にする配管構造があり、これらの配管は上下の溶融した炉心と水の冷却を容易にするとされる。GEHの確率論的リスク解析では炉心損傷事故は5900万年に1度の頻度以上には起こらないとしている[要出典]

NRCによる設計評価[編集]

WSBWRは前向きな安全評価報告を受け[2]、最終設計認可[3]は2011年3月9日に行われた。2011年6月7日、NRCは公的評価期間を終えた。[4] 最終設計証明は2012年の5月に予定されている[5]

現状[編集]

現在、GEHはフィンランドテオリスーデン・ヴォイマ社にこの形式の原子炉を入札している[6]

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  1. ^ ESBWR Overview”. 2012年3月14日閲覧。
  2. ^ NRC: Package ML103470210 - ESBWR FSER Final Chapters”. Pbadupws.nrc.gov. 2012年3月14日閲覧。
  3. ^ ESBWR FSER Final Chapters”. 2012年3月14日閲覧。
  4. ^ NRC’s Public Comment Period Ends on GE Hitachi Nuclear Energy’s Application for ESBWR Reactor Certification : Press Releases : News : GE”. Genewscenter.com. 2012年3月14日閲覧。
  5. ^ NRC: ESBWR Application Review Schedule”. Nrc.gov (2012年3月29日). 2012年4月29日閲覧。
  6. ^ [1]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]