高田松原

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震災被害を受ける前の高田松原(2007年6月3日撮影)
震災前の高田松原と陸前高田市中心部周辺の空中写真。1977年撮影の4枚を合成作成。
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。

高田松原(たかたまつばら)は、岩手県陸前高田市気仙町にかつて存在した松原

概要[編集]

高田松原は江戸時代1667年寛文7年)、高田の豪商・菅野杢之助によって植栽され、仙台藩と住民の協力によって6,200本のクロマツが植えられた。その後、享保年間(1716年 - 1736年)には松坂新右衛門による増林が行われ、以来、クロマツとアカマツからなる合計7万本もの松林は、仙台藩・岩手県を代表する防潮林となり、景勝の一つであった。その白砂青松の景観は世に広く評価されていた。

国の名勝や陸中海岸国立公園(現・三陸復興国立公園)に地域指定され、様々な環境評価・施設評価の選定地となり、2009年平成21年)には104万人の観光客が訪れるなど観光地としても賑わっていた[1]

東日本大震災による被災[編集]

東日本大震災東北地方太平洋沖地震)の津波に耐えて残ったことで奇跡の一本松として復興のシンボルになった1本の松。背後に見えるのは被災した陸前高田ユースホステルの建物。2011年5月6日撮影。
東日本大震災後の2011年5月14日、気仙川の対岸から高田松原跡地を撮影。画面中央に「奇跡の一本松」が見える。

高田松原の防潮林はたびたび津波に見舞われてきた。近代以降で代表的なものとしては、1896年明治29年)6月15日明治三陸津波1933年昭和8年)3月3日昭和三陸津波1960年(昭和35年)5月24日チリ地震津波がある。これらの津波のたび、防潮林として市街地への被害を防いできた。

しかし、2011年平成23年)3月11日東日本大震災東北地方太平洋沖地震)では、10メートルを超える大津波に呑み込まれ、ほぼ全ての松がなぎ倒され壊滅した[1][2]

なお、文化庁は「地形が残っている」として名勝の指定を継続している[3]

奇跡の一本松[編集]

東日本大震災の際、約7万本あった中で奇跡的に1本の松が倒れずに残り[2]、この松は震災直後から復興のシンボルと捉えられ、「奇跡の一本松」「希望の松」「ど根性松」などと通称されるようになった[4][5]

しかし、この松の周囲の土壌は大地震による地盤沈下で海水がしみ込み塩分過多の状態になったため、同年4月末の時点では健康だったものの、徐々に生育状態が悪化していった[6]。新葉が出ず、葉の褐色化が進んだことから、5月20日には根元に活性剤を撒く処置がとられ[5]6月5日には傷ついた幹を保護するためにこも巻きが行われた[7]。しかし、一時は新芽も確認され回復の兆しが見られたものの、新芽の多くが変色し衰弱が進んだ[8]。2011年10月の調査では、海水で根がほとんど腐っており再生不可能と判断され、保護を事実上断念、接ぎ木を育てるなど苗木を移す計画が検討された[9]。2012年7月には一度切断して内部に防腐処理を施しつつ金属製の心棒を通すという形で保存することが発表された[10]

2012年9月12日、最後に残った松の木が伐採された[11]。切られた松は防腐処理を施した上で元の場所に戻す復元工事が行われ、2013年7月に完成式典が行われた。なおこの一本松の復元事業費約1億5000万円は陸前高田市による募金運動により賄われた[12]

その後[編集]

倒れた松の一部はボランティアの手でとして販売され、売り上げは復興資金として寄付される予定であった[13]。一部は、清水寺・大日如来坐像に使用された[14]ものの、2011年8月16日の京都・五山の送り火の薪として使用される予定が、福島第一原子力発電所の事故による放射性セシウムが検出され二転三転した末に使用中止になったり[15]、2011年9月には成田山新勝寺で被災松を護摩木としておたき上げすることに対し抗議が多数寄せられる[16]など、復興支援と放射能汚染の不安の間でしばしば議論を呼んでいる。

2012年2月10日、東日本大震災の復興政策を統括する復興庁が発足し、本庁の看板にはなぎ倒された高田松原の松が使われた。

2012年7月2日から、郵便事業陸前高田支店において、奇跡の一本松を図案化した風景印の使用が始まった。同年10月1日からは、陸前高田郵便局郵便分室で同図案の風景印を引き継いで使用している。

また、東日本大震災の復興費用に充てる「個人向け復興応援国債」の購入者に対して贈呈する記念貨幣のうち、第3次発行分の一万円金貨3デザインのうち1デザインの表面と、第1次から第4次発行分の各貨幣の裏面には、共通で奇跡の一本松があしらわれている。

評価[編集]

交通アクセス[編集]

関連する名所・旧跡・施設など[編集]

その他[編集]

脚注・出典[編集]

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  1. ^ a b “津波耐えた一本松「復興シンボルに」岩手・陸前高田”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年3月27日). http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY201103260461.html 2011年4月3日閲覧。 
  2. ^ a b “名勝「高田松原」奇跡の1本、復興の象徴へ”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2011年3月24日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110324-OYT1T00907.htm 2011年4月3日閲覧。 
  3. ^ “1本でも名勝松原 文化庁、国指定継続へ”. 東京新聞 Tokyo Web (中日新聞東京本社). (2011年4月21日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011042102000205.html 2011年5月15日閲覧。 [リンク切れ]
  4. ^ “【東日本大震災パノラマ Vol.73】 ど根性“希望の松””. msn産経ニュース (産業経済新聞社). (2011年5月14日). http://photo.sankei.jp.msn.com/panorama/data/2011/0514rikuzentakata/ 2011年5月15日閲覧。 
  5. ^ a b “希望の一本松、守る…陸前高田”. 毎日jp (毎日新聞社). (2011年5月21日). http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110521k0000m040078000c.html 2011年6月5日閲覧。 
  6. ^ “【東日本大震災パノラマ Vol.69】 震災耐え抜いた「希望の松」ピンチ”. MSN産経フォト (産業経済新聞社). (2011年4月29日). http://photo.sankei.jp.msn.com/panorama/data/2011/0429rikuzen_matsu/ 2011年5月15日閲覧。 
  7. ^ “津波に耐えた陸前高田の一本松「こも」巻き”. 毎日jp (毎日新聞社). (2011年6月5日). http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110606k0000m040083000c.html 2011年6月5日閲覧。 
  8. ^ 陸前高田の奇跡の一本松、再び衰弱 読売新聞2011年9月12日
  9. ^ 「奇跡の一本松」保護を断念…海水で根が腐り 読売新聞、2011年12月4日
  10. ^ “「奇跡の一本松」保存方法を発表 輪切り後に心棒、立て直す”. 東京新聞 Tokyo Web (中日新聞東京本社). (2012年7月20日). http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012072001002134.html 2012年7月20日閲覧。 
  11. ^ 「奇跡の一本松」切り倒し作業始まる 岩手・陸前高田 産経新聞2012年9月12日閲覧。
  12. ^ 陸前高田の「奇跡の一本松」復元 復興願い完成式典 神戸新聞2013年7月3日
  13. ^ “津波で流された景勝地の松、まきで活用”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2011年6月5日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110604-OYT1T00944.htm 2011年6月5日閲覧。 
  14. ^ あの高田松原の被災松が、なんと清水寺の仏像に生まれ変わることに! マイスピ、2011年8月9日
  15. ^ 高田松原の薪、販売中止に 五山送り火に提供のNPO 朝日新聞、2011年8月16日
  16. ^ 成田山新勝寺“被災松”で供養!賛否覚悟で「御霊のために」 zakzak、2011年8月16日。
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m 陸前高田の海”. 陸前高田市観光物産協会. 2011年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月3日閲覧。
  18. ^ 「奇跡の一本松」駅を新設 徒歩10分、期間限定で JR大船渡線BRT - MSN産経ニュース、2013年7月11日
  19. ^ 高浜虚子句碑”. いわての旅(公式ウェブサイト). 岩手県観光協会. 2011年6月9日閲覧。
  20. ^ 高田松原海水浴場”. いわての旅(公式ウェブサイト). 岩手県観光協会. 2011年6月9日閲覧。高田松原海水浴場海開き”. いわての旅(公式ウェブサイト). 岩手県観光協会. 2011年6月9日閲覧。
  21. ^ Web水族館 全国水族館ガイド

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯39度0分12.4秒 東経141度37分30.5秒 / 北緯39.003444度 東経141.625139度 / 39.003444; 141.625139