高橋勲 (美術監督)

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高橋 勲たかはし いさお[1]1962年昭和37年〉[2][1] - )は日本特撮映画美術監督埼玉県出身[2][1]

経歴[編集]

学生時代から特撮や模型を愛好し、真剣に怪獣映画の制作を目指し日活芸術学院に入学[2]。卒業後、東宝映像美術に入社。特撮の美術助手として数々の作品を担当し、1991年ゴジラvsキングギドラ』からチーフ助手として大澤哲三を補佐[3]。『ゴジラvsモスラ』(1992年)では、入院した大沢に代わり現場を指揮した[2]

1999年に『ゴジラ2000 ミレニアム』で美術監督に昇格するも[出典 1]ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(2000年)の興行不審に伴い助手に降格する。[要出典]

エピソード[編集]

大澤の教えとして、「セットは広くてもフィルムは小さい」という言葉が心に残っているといい、細かいところに時間をかけるよりもメインに力を注ぐことを意識している[5]

ゴジラ』(1984年)では、東京の街をリアルに再現するためミニチュアのほとんどを新たに制作せねばならず苦労したというが、自身が美術監督に就任した『ゴジラ2000 ミレニアム』でもVSシリーズ時代のミニチュアはほとんど処分されてしまっていたため、再び同じ苦労を被ることになった[7]

ゴジラに参加するため映画業界に入ったため、『ゴジラvsビオランテ』(1989年)の製作が決まった際も参加を希望するも、スペースワールドの展示映像が終わらないとゴジラは動かないと言われそちらを担当することになるが、その1週間後に『vsビオランテ』の現場が動き出していた[5]。高橋は話が違うとして憤慨するが、スペースワールドの作業を終えた後も『vsビオランテ』は制作の遅れからまだ撮影が続いており、高橋は特撮B班の美術を1人で担当することになった[5]

代表作[編集]

映画[編集]

公開年月日 作品名 制作(配給) 役職
1983年 6月4日 日本海大海戦 海ゆかば[出典 2] 東映
(東映)
美術助手
1984年 3月17日 さよならジュピター 東宝映画
イオ
東宝
8月11日 零戦燃ゆ 東宝映画
(東宝)
12月15日 ゴジラ[出典 3]
1987年 1月17日 首都消失 徳間書店
関西テレビ
大映映画
(東宝)
9月26日 竹取物語 フジテレビ
東宝映画
(東宝)
12月5日 「さよなら」の女たち[4] 東宝映画
1989年 7月22日 ガンヘッド 角川書店
サンライズ
バンダイ
IMAGICA
東宝映画
(東宝)
12月16日 ゴジラvsビオランテ 東宝映画
(東宝)
1991年 12月14日 ゴジラvsキングギドラ 美術助手(チーフ)
1992年 12月12日 ゴジラvsモスラ
1993年 12月11日 ゴジラvsメカゴジラ
1994年 7月9日 ヤマトタケル
12月10日 ゴジラvsスペースゴジラ
1995年 12月9日 ゴジラvsデストロイア
1996年 7月13日 ガメラ2 レギオン襲来 大映
日本テレビ
博報堂
富士通
日本出版販売
(東宝)
美術助手
12月14日 モスラ 東宝映画
(東宝)
美術助手(チーフ)
1997年 12月13日 モスラ2 海底の大決戦
1998年 12月12日 モスラ3 キングギドラ来襲
1999年 3月6日 ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦 円谷プロダクション
松竹
美術助手
ガメラ3 邪神覚醒 大映
徳間書店
日本テレビ
博報堂
日本出版販売
(東宝)
12月11日 ゴジラ2000 ミレニアム[出典 4] 東宝映画
(東宝)
美術
2000年 3月11日 ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY 講談社
TBS
毎日放送
読売広告社
バンダイ
バンダイビジュアル
円谷プロダクション
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
美術助手
8月19日 ホワイトアウト 日本ヘラルド映画
フジテレビ
電通
ISB
日本ビクター
デスティニー
(東宝)
美術
12月16日 ゴジラ×メガギラス G消滅作戦[出典 5] 東宝映画
(東宝)
2001年 7月20日 ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT 講談社
小学館
TBS
毎日放送
バンダイ
バンダイビジュアル
ジェイアール東日本企画
円谷プロダクション
松竹
美術助手
12月15日 ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 東宝映画
(東宝)
2002年 8月3日 ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET 講談社
小学館
TBS
毎日放送
バンダイ
バンダイビジュアル
セイカ
円谷プロダクション
(松竹)
12月14日 ゴジラ×メカゴジラ 東宝映画
(東宝)
2003年 8月2日 ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE 講談社
小学館
TBS
毎日放送
バンダイ
バンダイビジュアル
円谷プロダクション
(松竹)
12月13日 ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS 東宝映画
(東宝)
2004年 12月4日 ゴジラ FINAL WARS[出典 6]

テレビ[編集]

テーマパーク[編集]

期間 テーマパーク名 会社 担当施設 製作会社、スポンサー 役職
1990年4月22日 スペースワールド スペースドーム館 東宝映像美術 美術助手

脚注[編集]

  1. ^ a b c VSビオランテコンプリーション 2015, p. 18, 「GODZILLA VS BIOLLANTE staff Message 高橋勲」、VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 31, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」、1984コンプリーション 2019, p. 26, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」、VSギドラコンプリーション 2020, p. 27, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」、VSスペースゴジラコンプリーション 2021, p. 25, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」
  2. ^ a b c d 平成ゴジラ大全 2003, pp. 222–225, 「急之壱『ゴジラVSメカゴジラ』美術助手・高橋勲」
  3. ^ a b c d e VSギドラコンプリーション 2020, p. 27, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」
  4. ^ a b c d 東宝SF特撮映画シリーズSPECIAL EDITION 1999, p. 64, 「インタビュー 高橋勲(特撮美術)」
  5. ^ a b c d e f g VSビオランテコンプリーション 2015, p. 18, 「GODZILLA VS BIOLLANTE staff Message 高橋勲」
  6. ^ a b c d e VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 31, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」
  7. ^ a b c d e 1984コンプリーション 2019, p. 26, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」
  8. ^ a b c d VSスペースゴジラコンプリーション 2021, p. 25, 「STAFF MESSAGE 高橋勲」

出典(リンク)[編集]

参考文献[編集]

  • 『GODZILLA 2000 MILLENIUM』東宝 出版・商品事業室〈東宝SF特撮映画シリーズ SPECIAL EDITION〉、1999年12月11日。 
  • 『平成ゴジラ大全 1984-1995』編著 白石雅彦、スーパーバイザー 富山省吾双葉社、2003年1月20日。ISBN 4-575-29505-1 
  • コンプリーションシリーズ(ホビージャパン
    • 『ゴジラVSビオランテ コンプリーション』ホビージャパン、2015年12月16日。ISBN 978-4-7986-1137-2 
    • 『ゴジラVSデストロイア コンプリーション』ホビージャパン、2017年12月9日。ISBN 978-4-7986-1581-3 
    • 『ゴジラ1984コンプリーション』ホビージャパン、2019年1月31日。ISBN 978-4-7986-1853-1 
    • 『ゴジラVSキングギドラ コンプリーション』ホビージャパン、2020年3月31日。ISBN 978-4-7986-2176-0 
    • 『ゴジラVSスペースゴジラ コンプリーション』ホビージャパン、2021年3月31日。ISBN 978-4-7986-2463-1 

外部リンク[編集]