高校生首切り殺人事件

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高校生首切り殺人事件(こうこうせいくびきりさつじんじけん)は、1969年昭和44年)4月23日神奈川県で発生したいじめを原因とする殺人事件。

目次

[編集] 「いじめ」の定義について

いじめについては、2007年に従来の定義である「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」から「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」への見直しが文部科学省により行われ、「いじめか否かの判断は、いじめられた子どもの立場に立って行うよう徹底させる」とする方針が決定している。詳細は別項を参照のこと。

[編集] 事件の概要

私立進学校に通っていた男子生徒Aは、男子生徒Bと仲は悪くなかったものの、中学時代から馬鹿にされたり、いじめられたりしていた[1]。(しかしフリージャーナリストの奥野修司は、この事件を扱った自著[2]等においていじめの存在を否定している。)

事件当日、AはBに辞書を取られ、その間に毛虫をはさまれていた。放課後、AはBを誘って山へ行き、2日前に盗んだナイフをBに見せたが、Bはナイフに驚かず、「お前の顔は豚に似ているな。」とAに言った。

Aは、Bが崖を登り降りしているのを見るうちに、今までに受けたいじめを思い出し、急に憎らしさが込み上げ、Bの首を登山ナイフで刺した。

Bが振り向き、Aは夢中でBを刺した。Bが倒れた後、Bからの更なるいじめを恐れたAはBを殺すことを決意し、10分以上もの時間をかけてBの首を切断し、その首を蹴飛ばした。

ナイフは現場近くの土の中に埋めて隠蔽した。しかしAは怖くなって、自分の肩を2回ナイフで刺して誰かに襲われたように偽装した後、車で通りかかった人に「不良の3人組に襲われた、友達が殺された」と嘘をついた。

そして4月25日、Aは警察署の取調室に父親と一緒に連れて来られた。警察は父親の付き添いのもと、Aの怪我を取り調べた。Aは犯行を隠すために「不良に襲われた。」と話すなど、これまでの供述の辻褄を合わせようとしたが、父親が帰った後、巡査部長ら3人に「これまでの供述は矛盾だらけだ。本当のことを言いなさい。」と言われ、午後6時15分、Bの殺害を自供した。ちなみにBを刺した回数は覚えていない。

奥野の著書によると、Aは初等少年院に送致されたものの、その後更生して有名大学に進学、大学院を修了し、司法試験に合格して弁護士となったが、遺族は家庭崩壊寸前の状態に陥った。遺族とAの父親は、毎月2万円ずつ支払う35年分割の720万円の和解金を支払う示談書を交わしていたが、Aの父親は40万円ほどを支払うと、和解金を滞らせて、680万円が未払いのまま、1998年に死亡した。

2006年、事件を取材した奥野は著書『心にナイフをしのばせて』を文藝春秋社から出版し、以来両者はノンフィクションとしては異例の8万部を超える売上により、多額の収益を得ている。一方、Aは実名等の個人情報がインターネット上で違法に公開されるなどの被害を受け、社会問題化した。Aは2006年10月に遺族に謝罪の手紙を送り、残された和解金を支払う意思があることを伝えている。手紙には、遺族に面会して直接詫びたい旨が書かれていたという。しかしその後Aは弁護士を廃業し、Aからの連絡は途絶えた[3]

[編集] いじめの事情、及び、いじめ問題との関係

いじめを受けていたという事情が原因で起こった本件事件であるが、それがいじめを受けての防衛的なものだったのか、復讐心からだったのかは定かでない。また、いじめの事情についてはあくまで男子生徒A本人が本件殺人の動機として語った事である。

一方、少年犯罪について研究している管賀江留郎は、上述の奥野の著書に引用された精神鑑定書とその原文を比較検討した上で「精神鑑定書の引用のやり方が著者の意図に合わせた恣意的、それもかなり悪質なもの」「精神鑑定書の一部だけを引用することによって少年を怪物に見せようとする意図がある」「いじめがあろうがなかろうが関係ないのならこんなやり方であたかもいじめがなかったかのようにねじ曲げる必要もない」「被害者家族自身が出版したならまだしも、ルポライターと称する人が一方の側に立って精神鑑定書の都合のいいところだけを出すようなやり方で刑期を終えて再犯も犯していない個人を糾弾するようなことが赦されるというのは私には薄ら寒いものを感じさせます」と批判している[4]

[編集] 脚注

  1. ^ 最高裁判所事務総局家庭局『家庭裁判月報』 昭和45年7月号(第22巻7号)
  2. ^ 奥野修司、『心にナイフをしのばせて』、文藝春秋社、2006年
  3. ^ 週刊文春』2008年6月26日号
  4. ^ 少年犯罪データベースドア 2006年09月26日 サレジオ首切り事件精神鑑定書
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