駅名
駅名(えきめい)とは、鉄道駅の名称のことである。
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[編集] 名称の決定
鉄道駅に付けられる名称は、概ね以下の要因によって決定される。
※後述の副駅名も参照。
なお、日本では大都市の代表駅にその都市名を付けることが多いが、ヨーロッパ、アメリカ合衆国およびその影響圏では、別種の方法で駅を区別することも多い。
- 「中央駅」に相当する、「セントラル」「ユニオン」等の名称を付与するもの。例:グラスゴー・セントラル駅、ハンブルク中央駅(Hamburg Hauptbahnhof)。
- ロンドンのキングス・クロス駅、パディントン駅のように中央駅概念がなく、並立するもの。
- ロシアのモスクワなどでは駅名にその駅から発車する列車の目的地・方向をつけて、区分している(ヤロスラヴリ・シベリア鉄道方面がヤロスラヴリ駅、サンクトペテルブルク方面がレニングラード駅(ペテルブルクの旧称)といった具合)こともある。
[編集] 地名・施設名以外による駅名決定
[編集] 日本における例
[編集] 独自名
駅新設時、駅名として定める適切な地名がなく(よくある地名である場合、すでに周辺に地名を冠した駅がある場合、新設地が自治体の境界付近であった場合など)、周辺に特徴的な施設等がない場合は、駅名を独自に決めた場合も多い。さらには、その駅名が後に地名となった例も存在する。代表的なものをいくつか記す。
- 国立駅(東京都・中央本線) - 「国分寺駅」と「立川駅」の中間に新しく駅が設けられたことから、両駅の頭文字を一つずつとって組み合わせた。後には国立市と地名にもなっている[1]。
- 緑駅(北海道・釧網本線) - 周辺に針葉樹林が多く存在したことから。
- 追分駅(北海道・室蘭本線、石勝線) - 室蘭本線と夕張線(石勝線の旧称)の分岐駅であったことから、古来より分岐路を指す語の「追分」を当てた。
- 若葉台駅(神奈川県・京王相模原線) - 開業時、地名とは関係なく「若葉台」と名づけられた。その後、駅北側の東京都稲城市坂浜が多摩ニュータウンとして街開きする際に、その一部が若葉台と名付けられた。(若葉台駅の駅所在地は神奈川県川崎市麻生区黒川であり、他都道府県の駅の名前が地名に採用されたことになる。)
なお北海道の駅名については、北海道の地名・駅名の項目も参照のこと。
[編集] 人名
地方の私鉄・第3セクターでは、著名人ゆかりの地であることをアピールするため、人名をそのまま駅名としたり地名と組み合わせたりする場合がある(例:早雲の里荏原駅、宮本武蔵駅)。
元は私鉄の鶴見臨港鉄道だったJR鶴見線は、所在地が埋立地で地名がついていなかった駅については沿線にちなんだ人物の名前などから駅名をつけた。鶴見小野駅は地元大地主の小野信行、浅野駅は浅野財閥の創設者で、鶴見臨港鉄道の設立者でもある浅野総一郎、安善駅は安田財閥の安田善次郎、武蔵白石駅は日本鋼管(現・JFEスチール)の白石元次郎、大川駅は製紙王の大川平三郎から取ったものである。扇町駅も浅野家の家紋の扇に因む。
[編集] 都市の開発に関わるもの
都市の開発に伴って路線・駅を作る場合は、自治体等と協議の上駅名を定め、駅と一体となって街を開発することがある。その場合、駅名は新しい街にふさわしいものに定められるが、場合によっては地名・施設名に由来しない場合もある。
- 多摩センター駅(東京都・京王相模原線、小田急多摩線、多摩都市モノレール線) - 多摩ニュータウンを作る際に、多摩ニュータウンの中心地区として「多摩センター」と名付けられた。周辺は多摩センター地区と呼ばれるが、そうした地名・施設はない
- 千葉ニュータウン中央駅(千葉県・北総鉄道北総線、京成成田空港線) - 上記と同じく、千葉ニュータウンの中心として建設された。
- 越谷レイクタウン駅(埼玉県・武蔵野線) - 越谷レイクタウン開発の際に伴って設置された。
- センター北駅、センター南駅(神奈川県・横浜市営地下鉄ブルーライン、グリーンライン) - 港北ニュータウンのタウンセンター地区の北側及び南側に立地することに由来する。
- はるひ野駅(神奈川県・小田急多摩線) - 住宅・都市整備公団開発の分譲地名称が「はるひ野」であることに由来。2006年には地名にもなった。なお、「はるひ野」という名称は都市再生機構の登録商標でもある。
- ユーカリが丘駅(千葉県・山万ユーカリが丘線、京成本線) - 不動産会社の「山万」が、自らが開発を行っているユーカリが丘ニュータウンのために建設したユーカリが丘線の始発駅。異業種からの鉄道事業への参入は珍しい。
- たまプラーザ駅(神奈川県・東急田園都市線) - 「プラーザ」とはスペイン語で「広場」の意で、当駅を多摩田園都市の中心駅として広場を中心とした街づくりを目標に命名された。
- 自治医大駅(栃木県・東北本線、湘南新宿ライン) - 住宅・都市整備公団のニュータウン開発に伴い、ニュータウン住民と自治医科大学への通院通学者のために設置された駅。開業当時、旧国鉄としては初めて地名以外の名称を駅名として採用した例であった。
- ゆめみ野駅(茨城県・関東鉄道常総線) - 常総ニュータウンの新地区である「ゆめみ野地区」の開発に伴い設置された駅で、駅名はそのまま地区名を採用した。
[編集] 日本以外における例
韓国では韓国鉄道公社京春線に金裕貞駅(江原道春川市)(文学者金裕貞が春川の出身であるため)がある。
[編集] 複合した駅名
[編集] 日本における例
影響が広範囲に及ぶ新幹線の駅や、通りの下に設けられる事が多い地下鉄の駅などの場合、駅名を巡って周辺から論争が起こり、結局複数の地名をつけた複合駅名が生まれることがある(安中榛名駅、四天王寺前夕陽ヶ丘駅など)。また、個別に存在した二つの駅を統合した場合、元の駅名をそのままつなげた命名の結果、複合駅名となる場合もある(駒場東大前駅、岸里玉出駅など)。
また、同一地域に国鉄→JRと私鉄の代表駅がそれぞれ相当の程度の距離をおいて存在する場合、概ね最初に出来た国鉄の駅を「○○駅」と称するのに対して、私鉄側では紛らわしくなることを避けるため、以下のように「~○○駅」・「○○~駅」と元となる国鉄駅名に何らかの接頭語や接尾語をつける方法をとって、区分することが多い。同一鉄道事業者の場合でも、同一地域に複数駅が設けられた場合は、同じ手法を行って区分した例がある(安城駅と三河安城駅など)。但し、尼崎駅(JR西日本と阪神)などの例外も存在する。
なお、先に私鉄の駅が開業し、後に国鉄の駅が開業した場合、国鉄のほうが下記の方法をとることもあった(所沢駅と東所沢駅など)。更に国鉄の場合、先に存在した私鉄の駅名を強いて改称させた事もある(松山駅と松山市駅など)。
- 新しい駅ということで「新」をつける - 新鵜沼駅、新可児駅など
- 国鉄の駅に対して、街においてどのような位置に存在するかの方位・位置を表す文字をつける - 東岡崎駅、横須賀中央駅、本川越駅など
- 鉄道事業者の略称をつける - 東武日光駅、JR難波駅など
- 電車、モノレールなど交通の種類名をつける(前記 3. の変形例) - 電鉄富山駅、モノレール浜松町駅、地下鉄成増駅など
- 令制国(旧国)名、広域地名をつける - 大和高田駅、知多半田駅など
- 「市町村」の代表駅であるからその一文字をつける(市駅も参照のこと) - 高槻市駅、黒井村駅など
- その他、近隣に存在する観光地や温泉などの施設名などをつける - 豊川稲荷駅、松江しんじ湖温泉駅など
国鉄の場合は乗車券販売に際して誤解を防ぐ観点からも全国単位で駅名重複を避ける傾向があり、その際に上記に記した方法による区分を行うこともあった(尾張一宮駅、会津若松駅、北永野田駅など。主に令制国名を冠する場合が多かった)。それでも重複駅名が生まれる例がいくつかあり、その場合高松駅(香川県の予讃線・高徳線と石川県の七尾線にある)を例に上げると、「(讃)高松」など路線名の略称を乗車券に括弧書きで記したりしている。ただしJRとなってからは、誤解が少ないと認められる場合は重複して命名されることがある(新富士駅、桂川駅など)。 私鉄の場合、国鉄との連絡運輸を行っていた場合などを中心に、同じように全国単位で国鉄駅名との重複を避けて駅名を区別した例がある(京成高砂駅、山陽天満駅など)。
[編集] 日本以外における例
- フランス
- 韓国
[編集] 副駅名
駅名には正式な名称の他に、副駅名や愛称をつける事がある(特に大都市の地下鉄の駅名)。地名などを元に駅名とした場合で、駅の近くに重要な施設がある場合や、自社グループの商業施設や観光宣伝の場合などの目的により付けられるものが多い。多くの場合、駅名標に括弧書きで副駅名が記されている。これはネーミングライツに近いものか、あるいは一種の広告とも受け取れる[3]。
- 都営地下鉄三田線御成門駅の「東京タワー前」、京都市営地下鉄烏丸線京都駅の「ポルタ前」、京阪中之島線の中之島駅の「大阪国際会議場」、阪急神戸本線西宮北口駅の「阪急西宮ガーデンズ前」、土佐くろしお鉄道阿佐線後免町駅の「ありがとう駅」などが例としてあげられる。また、その逆としては東京地下鉄千代田線明治神宮前駅の「原宿」がある。
[編集] 駅名と地名
駅が開業すると、その周辺の土地を指す通称として駅名が用いられるようになる。そして、何らかの理由で地名が変わった後も、周囲が駅名をもとにした通称で呼ばれる例[4]が発生する。
一方、通常とは逆に「駅名に由来して地名が決められる事例」も存在する。市町村名で完全に駅名が由来となるものは、#独自名に示した東京都国立市[1][5]のほか、栃木県那須塩原市[6][7]の、合計2例が知られている。町丁名では神奈川県横浜市港北区新横浜、東京都世田谷区桜上水、各地にある駅前町など多数存在する。
[編集] 駅名改称
「改名#改名一覧」も参照
駅名は、時に応じて改称されることがある。その要因としては、下記のようなものがある。
- 駅の存在する場所の自治体名(市制施行や合併など)や地名(住居表示など)が変更された場合(野付牛駅→北見駅など)
- 路線を運営する鉄道事業者が変わった場合(関急名古屋駅→参急名古屋駅→関急名古屋駅→近畿日本名古屋駅→近鉄名古屋駅など)
- 駅名重複を解消するため(飯塚駅→北高崎駅、小山駅→駿河駅→駿河小山駅など)
- 連絡運輸を新しく開始した場合、国鉄・私鉄既存駅と区別するため(船橋駅→京成船橋駅など)
- 利用者の誤解が多かったことや、クレームがついたため(羽田整備場駅→整備場駅、新横浜北駅→北新横浜駅、出雲大社口駅→出雲神西駅など)
- 土地・観光地の宣伝・イメージアップをはかるため(長野原駅→長野原草津口駅、沓掛駅→中軽井沢駅、毛馬内駅→十和田南駅、湊町駅→JR難波駅など。前項の出雲大社口駅もこの目的で改名されたもの)
- 町の代表駅が変わったため(和歌山駅→紀和駅、東和歌山駅→和歌山駅など)
- 駅の近辺に新しく施設が出来たため(大成駅→鉄道博物館駅、業平橋駅→とうきょうスカイツリー駅、野比駅→YRP野比駅など)
- その逆で、駅名に付けられた施設が無くなったため(二子玉川園駅→二子玉川駅、八瀬遊園駅→八瀬比叡山口駅など)
- 駅名の由来となった施設の名称が変わったため(国鉄千葉駅前駅→京成千葉駅、熊本工大前駅→崇城大学前駅など)
- 駅が移転したため(金山橋駅→金山駅、大篠津駅→米子空港駅など)
- 駅が統合したため(北馬場駅・南馬場駅→新馬場駅、雲雀丘駅・花屋敷駅→雲雀丘花屋敷駅など)
- 新幹線乗り入れのため(磐城西郷駅→新白河駅、長門一ノ宮駅→新下関駅など)
- 他の駅に名前を譲るため(上記の国鉄千葉駅前駅→(現)京成千葉駅改称に伴う(旧)京成千葉駅→千葉中央駅、(現)新札幌駅の開業に伴う(旧)新札幌駅→札幌貨物ターミナル駅など)
- 社名や所在地名を強調するため(新名古屋駅→名鉄名古屋駅、上本町駅→大阪上本町駅など)
- 駅の役割を明確にするため(土橋駅→六甲ケーブル下駅など)
- 字体や読みの修正(香枦園駅→香櫨園駅、旭川駅(あさひがわ→あさひかわ)など)
- その他(防諜のための航空廠前駅→三柿野駅、難読であった雑餉隈駅→南福岡駅、駅名の簡略化による碧海桜井駅→桜井駅など)
1.については、自治体名や地名が変わっても愛着心などから改称がそれより大幅に遅れたり(平駅→いわき駅など)、そのまま駅名が改称されずに存続されている場合(後免町→南国市における後免駅など)もある。また、合併後も大字などで地名として残る場合は変更されないことが多い(筑後市の羽犬塚駅)。近年のいわゆる「平成の大合併」で、駅名と自治体名が合致しなくなってしまった例が増えている(例:所在が田無市・保谷市→西東京市となった田無駅・保谷駅や、西春日井郡西春町→北名古屋市となった西春駅など)。駅名標には旧名称が併記されている駅(例:東向島駅の「旧玉ノ井駅」、京成西船駅の「旧葛飾駅」)もある。
2.についても、名古屋鉄道にある名電各務原駅などの駅が、名鉄の源流の一つである名古屋電気鉄道に由来する「名電」を冠されたまま、名鉄発足後70年以上そのままになっている例も存在する。
7.については、市名を名乗る駅が、街の中心に近い駅から本線にある駅に移っていった事例が各地で見られる(尻内駅→八戸駅、八戸駅→本八戸駅や宇部駅→西宇部駅→宇部駅、宇部駅→宇部新川駅など)。
9.の場合、学芸大学駅や都立大学駅に代表されるように、駅名の由来となる施設がなくなったものの、土地のイメージを残すためや愛着心のために改称していない例もある。
10.の場合においても、鍼灸大学前駅のように、施設名が駅名から変更となった(明治鍼灸大学→明治国際医療大学)場合に駅名が改称されない例もある。
18.の防諜(スパイ防止)は、第二次世界大戦中の特殊事情から行われたもの。
また、駅名の改称には駅名標や運賃表、システムの修正などのコストがかかるが、近隣に駅や路線が開業、あるいは廃止になるついでに行えばそれらの変更は一度で済む。そのような事例として、下田駅→香芝駅(隣のJR五位堂駅開業に合わせて)、上記の香枦園駅→香櫨園駅(2つ隣の西宮東口駅の廃止に合わせて)などがある。同じ理由でダイヤ改定と同時に行われることも多い。