香港の警察
香港警務処は、イギリス植民地政府の香港政庁及び現在の香港特別行政区政府が設置した警察。
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[編集] 概要
香港特別行政区政府保安局の管轄下の「香港警務処(Hong Kong Police Force)」が香港警察を統括している。警務処処長は主要高官の一人で、香港特別行政区行政長官の指名に基づき中華人民共和国国務院が任命する。
香港政庁時代は「皇家香港警察(Royal Hong Kong Police)」と呼ばれていた。
香港警察は、東京の警視庁、ニューヨーク市警、ロンドン警視庁、パリ市警と並び、職員の優秀さ、倫理と規律、治安の安定への貢献などの上において、世界の5大警察機関と言われている。
また、その一部署である「香港警察公共関係科」は香港で制作される映画の多くのスペシャルサンクス(中文:鳴謝、日本語:協力)に名を連ね香港の文化振興に貢献している一面もある。映画で警察のシーンが出てきたら必ずエンドロールにはこの名前が出てくる。
香港には日本のような交番は無く警察署本署が各大地区に1つの割合であるのみで交番の数を考えれば庁舎数は日本にくらべ格段に少ない。また、街中のパトロールは以前1人で回っていた時代に殉職したことをきっかけに原則2人1組で行っている。
また香港では警察署とは言わず「察」という文字を抜かして「警署」という。
[編集] 沿革
1841年1月にイギリス海軍が香港に上陸し、代表のチャールズ・エリオットが香港を統治する旨を布告した。そして、Chief Magistrateにウィリアム・ケインが、Captain Superintendent of Policeにチャールズ・メイが就き香港の警察が始動した[1]。
初期の警察の任務は治安の維持だけでなく戸籍事務・出入国管理・消防・郵便など広範囲に及んだ。
当時の香港は治安が悪かったので香港住民だけでなくイギリス帝国各地から警察官を応募した。警察官の制帽は出身地別に分かれており、インド系はターバン、香港人警察官は竹製の笠を被っていた。
第二次世界大戦後からは女性警察官の採用も始まった。
1967年に発生した香港暴動では香港警察の総力を挙げて鎮圧に努めた。この功績によりエリザベス2世女王から「Royal(皇家 つまり“王立”)」を冠する栄誉を賜ることになった。1997年6月30日まで「皇家香港警察(Royal Hong Kong Police)」と称することになった。
年々、香港人系の警察官は増加していったが上級幹部はイギリス人が占めていた。1984年に香港返還を明記した中英共同声明が発表されると非香港人系の警察官の退職者が増え、空いた役職に香港人系が入るようになった。そして1989年に史上初めて香港人警察官が警察のトップに立つことになった。
かつての香港の警察官は汚職が蔓延していたことで悪名高く影で黒社会(ヤクザ)とつながっている者も多かった。当初は警察内に監察官を設けていたが一向に成果が上がらなかった。
そのため香港政庁は1974年に廉政公署(監察部門)を設置、警察とは独立して汚職取締を行うことになった。これに対する警察官の反発も強かったが今日では香港の警察官は世界でも清廉な警察官としての評判が得られるようになった。
[編集] 組織
[編集] 高級幹部
香港警務処は「処長」が指揮する。処長の補佐役として二名の「副処長」を置く。副処長(作戦担当)は犯罪捜査などの作戦上の全ての事案を監督し、副処長(管理担当)は人事・訓練・管理部門などの組織管理上の指示・調整を行う。
[編集] 内部部局
香港警務処の本部(管理部門)は甲乙丙丁戊の5部門に分かれている。
[編集] 甲部門(行動処)
警察の作戦上の案件は「行動処」で調整されている。陸上での作戦活動と支援活動は地域別に6総区に分割されている(水警総区も島嶼部の陸上を管轄している)。一方、海上の案件はすべて水上警察の管轄として、水警総区の下に組織されている。陸上の各総区には2部(「行動部」、「支援部」)と交通部(これは行動部に属する)が置かれる。 「行動処」では政策の立案と履行、活動内容と人員・資源の効率的配置の監視を行っている。 「行動部」ではテロ対策、域内治安、不法移民対策、爆発物処理、自然災害時の非常事態対応計画について調整する。また警察犬部隊が置かれる。
[編集] 行動部
行動部(Operations Wing)は「行動科」(Operations Bureau)、「警察機動部隊」(Police Tactical Unit)、「爆炸品處理組」(Explosive Ordnance Disposal Bureau=爆発物処理班)の三部門で構成される。
- 行動科: 「行動組」(Operations Division)、「反恐怖活動及內部保安組」(テロ対策および域内治安グループ)、「重點及搜查組」(重点捜査グループ)が置かれる。テロ対策および域内治安グループの下に、香港国際空港を警備する「機場特警組」という特別警備隊が置かれる。また、重点捜査グループの下には警察犬部隊が置かれる。「行動科」では、主に作戦上の事案のスタッフ活動を行っており、その業務は警察指令の制定・公布、国境警備、人民解放軍駐香港部隊との連絡調整などである。
- 警察機動部隊(Police Tactical Unit): 緊急時の即応予備兵力として設置されている常設部隊である。各陸上総区に「警察機動部隊大隊」が配備される。香港全土における治安維持、雑踏整理、防犯作戦、災害対応、暴徒鎮圧に活用される。警察機動部隊は制服の青いベレー帽にちなんで、しばしば香港の現地人から「藍帽子」という通称で呼ばれる。
- 特別任務連(Special Duties Unit。通称「飛虎隊」あるいは「Flying Tigers」)
- 爆炸品處理組Explosive Ordnance Disposal Bureau=爆発物処理班)は行動部直属の特別独立部隊であり、その主な任務は陸上および水中における爆発物処理作業である。また爆発物関係の幹部育成や、弾薬・爆発物の保管の検査も行う。
[編集] 支援部
支援部(Support Wing)は支援関係の事柄のスタッフ活動を行っている。その任務は、正規警察隊および香港輔助警察隊の双方に対する運用方針の策定や、装備の改良などである。また、各種の免許業務も担当している。全てのパブリック・リレーションズ活動を調整する。 支援部には「支援科」、「警察公共関係科」、「交通総部」の三部門がある。
- 交通総部は、交通に関係する優先事項、政策、処分などを決定し、それらの実施、および効果の検証を行う。交通総部では交通関係の出頭指示や反則切符など、交通関係の全ての訴追手続を処理している。また交通法制の変化などの交通関係データを収集・蓄積している。交通総部の幹部は交通管理について助言し、交通パターンや新規の大型開発計画についての調査を行う。また、道路安全計画・交通安全計画・交通管理計画について計画・監視・調整・評価を行う。また、交通規制の執行や駐車違反の取締りについて警察を補助する「交通督導員隊」(交通指導員隊)を管理する。交通総部の下には「交通管理科」、「中央交通違例検控科」、「行政科」の3科が置かれる。
- 支援科には、5部門が置かれる。
- 策劃行動課は銃器、装備、制服、運用手順に関係する政策問題を調整する。近年の実績には、全警察部隊にトウガラシスプレーを配備したほか、新型の伸縮式警棒を導入した事などがある。また警察活動において生ずる数多くの問題に対する技術的な解決策を開発し、現在は帽子・靴・その他の装身具なども含む警察制服の見直しを行っている。
- 総務課は警察署の作業手順に関係する政策問題、警察本部庁舎の警備・管理、その他広範囲な事務を取り扱う。近年では、警察署業務の能率化、警察署や施設の再配置計画の調整、警察本部庁舎再開発計画において必要になった警察本部庁舎の新しい駐車規則の策定、警察と選挙管理委員会の調整などの分野で主要な役割を果たした。
- 運輸課は警察の約2400台の車両と運転要員の管理と配置、および新しい警察車両の調達を担当する。また警察の輸送部門に関する政策問題も取扱う。
- 警隊資料及公開資料統籌組(警察資料および公開資料調整グループ)は、警察への情報公開請求への対応、個人情報(プライバシー)条例と情報公開条例の規定に即した処理を保証する。
- 警察牌照課(警察免許課)は多くの免許事項・許可事項に関する許認可官庁としての事務を取り扱う。
- 警察公共関係科は地域関係およびメディア関係を通じて警察イメージの向上を計画し、治安に対する市民の信頼を維持する活動を行う。次の二科を置く:
- 社區關係科(地域関係科)
- 新聞及宣傳科(新聞および宣伝科)
[編集] 乙部門(刑事及保安処)
[編集] 刑事部
總部科、刑事支援科のほか、次の七科がある。
商業罪案調查科(Commercial Crime Bureau。商業犯罪調査課)は、重大で複雑な商業詐欺、コンピュータ犯罪、通貨偽造、クレジットカード偽造、その他有価証券偽造、および旅券・身分証明書偽造を担当する。
毒品調查科(Narcotics Bureau。薬物調査課)は、危険薬物の輸入・製造・頒布を監視し、香港特別行政区内で活動する犯罪人を直接取締ると共に、中国本土および諸外国の当局と密接に連携して、香港につながる麻薬シンジケートの活動を抑制している。
刑事紀錄科(Criminal Records Bureau。刑事記録課)は、香港特別行政区内の全ての犯罪記録を保管し、有罪が確定した犯罪、指名手配人、容疑者、失踪者、盗難物品、盗難車両などについて様々な資料を管理する。
有組織罪案及三合會調查科(Organised Crime and Triad Bureau。組織犯罪および三合会調査課)は、複雑な組織犯罪や三合会による重大な犯罪を捜査する。様々な情報源や専門家を集約して、複雑化・組織化したマネーロンダリングなどの犯罪活動を取締る。薬物以外の犯罪による不法資産を特定し、凍結し、没収する。中国本国および外国の法執行機関と連携し、情報交換している。
刑事情報科(Criminal Intelligence Bureau。刑事情報課)は、犯罪活動・犯罪社会・組織犯罪・重大犯罪に関する情報を蓄積し、それらに関する調査を行い、犯罪組織に対して、情報に立脚した作戦を展開し、主に「組織犯罪および三合会調査課」及び各総区の刑事部門の業務に資する戦略・戦術情報を提供する。また、誘拐事件およびテロ事件においても重要な役割を担う。
軍械法證科(Forensic Firearms Examination Bureau。銃器鑑識課)は、香港特別行政区で唯一の武器・弾薬に関する鑑識機関である。このほか、香港警務処の防弾ベストの試験や、武器・弾薬の試験といった、犯罪捜査以外の案件も扱っている。銃器が関係した事件において、凶器となった銃器が見つかっていない場合、発砲された弾薬を既に発見されている全ての銃器と照合したり、他の犯罪で使用された弾丸とも照合し、事件の関連性などを探る。
鑑證科(Identification Bureau。鑑識課)は指紋および写真に関係する全ての事項を取り扱う。犯罪現場における指紋の検出と照合を行い、法廷に専門的な証拠を提供する。
[編集] 保安部
保安部は要人警護、テロ対策、保安活動の調整などの警備関係の事項を担当する。
[編集] 丙部門(人事及訓練処)
[編集] 丁部門(監管処)
[編集] 戊部門(財務、政務及策画処)
[編集] 現場部門
日々の警察活動に当たる部門(作戦部門)は、部隊を地域別に6総区に分けて編成している。
- 港島総区
- 東九龍総区
- 西九龍総区
- 新界北総区
- 新界南総区
- 水警総区
日々の作戦上および管理上の事案については、各総区に大幅な自治権が与えられており、各総区にそれぞれ「総部」(司令部)が置かれる。各総部には管理部門・作戦部門と、「衝鋒隊」(Emergency Units=機動隊)、交通・犯罪捜査隊が置かれている。各総区は「区」(District)および「分区」(Division)に細分され、更に分区の下に「小型分区」(Sub-division)が置かれる場合がある。現在、区は23個ある。これら「総区」、「区」、「分区」、「小型分区」を総称して「警区」と呼ぶ。香港島、九龍および新界の主要な街については、類似した組織構成となっている。多くの警区にまたがって走行する香港MTRにおける法秩序の維持に関しては、鉄道警区(Railway District)に委ねられている。
[編集] 階級
- 処長
- 副処長
- 高級助理処長
- 助理処長
- 総警司
- 高級警司
- 警司
- 総督察
- 高級督察
- 督察
- 見習督察
- 警署警長
- 警長
- 高級警員
- 警員
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- (中国語)(英語)公式サイト
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