食品表示

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米国の「Nutritional Facts Label」。栄養表示。
英語の表示。消費期限などを表示
栄養の表示
ドイツのチーズの食品表示
ドイツ/EUの食品表示

食品表示(しょくひんひょうじ)とは、食品の安全性の確保や取引の公正、人々の栄養の改善・健康の増進等を図る目的で、食品に表示される事項のこと。

概説[編集]

各国でスーパーや食料品店で販売される食品の多くに食品表示がなされており、各国ごとに食品表示に関する規則・法規が存在している。

米国では「Nutritional Facts」というラベルがあり、総カロリー、成分などが表示されている。

日本では食品衛生法JAS法景品表示法計量法健康増進法薬事法により規定されている。また、表示は、必ず日本語で表記することが義務付けられている。

情報は食の安全を実現するために欠かせない要因であり、消費者が食材を手にしつつ直接確認できる唯一の情報は食品表示である[1]。よってこの情報が正しく、正直に表示される、ということは重要なことであり、それが守られないと食の安全は根底から崩れてゆく。

だが食品業者の中には、食品表示を偽るものがおり、事件・社会問題となることがある(食品偽装問題)。偽装された表示は偽装表示と言う。なかでも産地を偽って販売することを産地偽装と言う。

表示対象[編集]

容器包装に入れられ、店頭に陳列の上販売されるものは食品衛生法・JAS法により表示が必要となる。ハンバーガーショップでのサンドイッチ類の提供のように客の求めに応じその場で製造・販売されるものは、製造者側がその場で情報提供できる立場にあることから、表示は必要とされない。

スーパーのバックヤードで製造される総菜などでは、JAS法ではその場で情報提供が可能であるため表示義務を課していないのに対し、食品衛生法では製造・管理した内容を明確にするため表示を義務付けているなど、各省庁の6種類の法律間での整合性が取れていないケースがままある。表示する内容については「各省庁や地方自治体の担当者に相談を」となっているが、省庁間の縦割り行政により、6種類の法律の解釈は担当者にとっても困難を伴う作業となっている。

基本的な表示を指導する厚生労働省(実施部局:保健所)及び農林水産省(実施部局:地方農政局等、農林水産消費安全技術センター)内においても、担当者ごとや企業からの質問の仕方により、法律の解釈に微妙な差異が出てくることもある。

なお、2009年10月の消費者庁発足により、食品表示についての運用所管は消費者庁に一元化されている。

食品表示に関する法律[編集]

現状、日本においては、以下の法律が関係する。

食品衛生法[編集]

万一事故が発生した際に、責任の所在を明確にし、製品の回収などの行政措置を迅速に行うための手がかりとすることを目的に、容器包装に入れられた加工食品と一部の生鮮食品を対象に、名称、消費期限または賞味期限、製造・加工者の所在地・氏名、食品添加物を使用しているものはその添加物を含む旨、アレルゲン・遺伝子組換食品を含む食品はその旨、保存方法について表示を義務付けている。遺伝子組み換えでない旨(分別生産管理が行われたことを確認したものに限る)、栄養機能食品(厚生労働大臣の定める規格基準に適合するものに限る)および特定保健用食品(厚生労働大臣の許可を受けたものに限る)である旨の表示は任意である。

  • 禁止表示 - 公衆衛生に危害を及ぼすおそれのある虚偽または誇大な表示・広告、保健機能食品以外の食品については保健機能食品と紛らわしい表示や特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行ってはならない。
  • 罰則 - 表示基準に合わない食品の販売等を行った場合は営業許可の取り消し、営業の全部もしくは一部の禁止または停止、営業者名の公表、個人の場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金に処せられることがある。虚偽または誇大な表示・広告を行った場合にはこれらに加え食品等の回収・廃棄命令の行政処分が行われることがある。

JAS法[編集]

適切な表示により、消費者の商品選択に寄与することを目的に、原則としてすべての飲食料品を対象に、加工食品については名称、原材料名および食品添加物、原料の原産地名(一部の品目)、原産国名(輸入品)、内容量、消費期限または賞味期限、保存方法、製造業者・輸入業者等の氏名または名称及び住所、その他品目ごとの表示事項、生鮮食品については名称、原産地、その他品目ごとの表示事項の表示が義務付けられている。遺伝子組み換えでない旨(分別生産管理が行われたことを確認したものに限る)および有機JASの格付けを受けたものに限り「有機」「オーガニック」と表示することは任意である。

景品表示法[編集]

公正な競争を確保し、消費者の利益を保護することを目的に、事業者の供給するすべての商品に対し、優良誤認・有利誤認その他の不当表示を禁止する規定が設けられている。

はちみつ、飲用乳など一部の品目に関しては、業界団体等が公正取引委員会の認可を受け、表示に関する事項について自主規制を設定しているものもある。一応は、所属団体に加盟している企業が、独自に遵守することになっているが、非加盟企業の品目に対しても、消費者からの申告があった場合、公正取引委員会が、それに準じた指導を行っているのが実情である。

計量法[編集]

密閉された特定商品に対し、内容量および表記者の氏名・または名称及び氏名の表示を義務付けている。

健康増進法[編集]

食品として販売するものに対し、健康保持増進効果等について著しく事実に相違したり誤認させるような表示を禁じている。販売される加工食品等で、日本語で栄養表示を行い、栄養表示する場合には、熱量(エネルギー)とたんぱく質、脂質、炭水化物(糖質、または食物繊維)、ナトリウムの表示義務項目と栄養表示を行う成分について記載義務規定を設けている。

薬事法[編集]

容器包装に入れられた加工食品に対し、医薬品と誤認される恐れのある表示や広告、食品の形状を禁止している。

表示内容[編集]

上記法律に基づき、次のようなイメージの表示がなされる。

食品表示の例
名称 菓子、栄養調整食品
原材料名 小麦粉、大豆(遺伝子組み換えでない)、ショートニング、果糖ブドウ糖液糖、でんぷん、

食物繊維(難消化性デキストリン)、食塩、酸化防止剤(ビタミンC)、香料、(原材料の一部に乳製品、卵を含む)

内容量 4枚×2袋(50g)
賞味期限 枠外上部に記載
保存方法 高温多湿・直射日光をさけて保存してください
製造者 維基食品株式会社AZ 甲県乙市丙ケ丘774番地
  • 名称 - JAS法による個別の品質表示基準が定められている場合はその基準に従った名称、食品衛生法や公正競争規約等で規定されている場合はその規定に沿った名称、規定のない場合にはその内容を表す一般的な名称を記す。「品名」「種類別名称」として表記される場合もある。
  • 原材料名 - 食品添加物以外の原材料と食品添加物の区分ごとに、重量の多いものから順に記す。食品添加物は、食品衛生法施行規則に沿って表示する。蓋が透明な容器に入った弁当では、外部からその原材料が明らかなおかずについては簡素化した表示が認められる。
    • 原料原産地名 - 水を除いた原材料の内50%以上を占めるものを「主な原材料」とし、国産品についてはその旨、輸入品については原産国を表示する。国産品のうち主な原材料が農・畜産物については産地・主たる飼養地が属する都道府県その他一般に知られている地名、主な原材料が水産物については国産表示に代えて採取した水域名、水揚げした港名、水揚港・主たる養殖場が属する都道府県その他一般に知られている地名を国産表示に代えて表示することができる。
    • アレルゲン - 食品衛生法により、食物アレルギー症例数の多い小麦エビカニ、症状が重篤なソバラッカセイを「特定原材料」とし、表示が義務付けられている。「特定原材料に準ずるもの」としてアワビイカイクラオレンジキウイフルーツ牛肉クルミサバ大豆鶏肉バナナ豚肉マツタケモモヤマイモリンゴの表示が推奨されている。
    • 食品添加物 - 容器包装に入れられた加工食品では原則としてすべての添加物名を表記する。JAS法では原材料欄に、重量の多いものから順に記載するよう規定されている。栄養強化の目的で使用するものや加工助剤キャリーオーバーについては表示が免除される場合がある。
  • 内容量 - 計量法に基づき、量目公差を越えないように計量、表示する。
  • 賞味期限等 - 賞味期限および消費期限の項を参照。西暦の上2桁省略、元号名省略やロット番号の併記は認められているが、2009/10/28のように年月日をスラッシュで区切ることはできない。食塩砂糖アイスクリームアルコール飲料など品質の変化が著しく少ないものについては、記載を省略できるものもある。
  • 製造者 - 個人の場合は氏名、法人の場合は法人名(原則は工場名まで)を記載。商号を変更した場合には、シール貼付などによりで速やかな変更を要する。
    • 製造を自社ではなく子会社・関連会社や外部に委託している場合は「販売者」、国外から輸入したものは「輸入者」として記載される。
  • 製造所所在地 - 住居表示に従い、住居番号まで表示。県庁所在地や政令指定都市では都道府県名を省略できる。市町村合併による所在地(市町村名など)変更の場合には、しばらくの間従前の表示で足りる。
    • 同一製造者が複数の工場を持つ場合(あるいは同一販売者が複数の工場に生産を委託している場合)などでは本社の所在地と、あらかじめ、消費者庁の食品表示課(2009年9月までは厚生労働省)に届け出た製造所固有記号の表示(上記例では「AZ」)を以って代えることができる。

脚注・出典[編集]

  1. ^ 山口英昌 『食環境科学入門 : 食の安全を環境問題の視点から』 ミネルヴァ書房、2006年、ISBN 4623047350。p.2

参考文献[編集]

食品表示研究会 『三訂 食品表示Q&A』 中央表記出版、2008年ISBN 978-4-8058-4826-5

関連項目[編集]

外部リンク[編集]