飛騨トンネル
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| 本来の表記は「飛驒トンネル」です。この記事に付けられた題名は記事名の制約から不正確なものとなっています。 |
飛騨トンネル(ひだトンネル)は、岐阜県の飛騨市と大野郡白川村との間にある東海北陸自動車道のトンネル。全長10,710mで、道路トンネルとしては関越トンネルに次ぐ日本国内2位、世界でも8位の長さ。
長大トンネルとしては九州自動車道の肥後トンネル同様、トンネル内に県境がない。又このトンネルは暫定2車線[1]で開通しているため対面通行であり、さらに下り線(小矢部・砺波方面)では下り勾配により速度が増すため、運転の際は特に注意が必要である。
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[編集] 概要
国道360号天生峠は幅員狭小で急カーブや急勾配が続き、1年の約半分が冬期通行止めであるのに加え、夏季であっても崖崩れなどによる通行規制が絶えない。高山方面から世界的な観光地である白川郷・五箇山方面へ向かう観光バスなどは一旦、東海北陸自動車道荘川ICへ向かい、そこから国道156号を北上するという、大回りなルートの選択を余儀なくされていた。飛騨トンネルは単に高速道路の一部というだけでなく、そういった山岳地方特有の問題を解消する役割も担っている。
トンネルは断面積16m²の先進坑(避難坑)と同130m²の本坑で構成され[1]、ルートについては飛騨河合PAと白川郷ICとをほぼ一直線に結ぶ、籾糠山(標高1,744m)を貫くコースとなっている。籾糠山はそれまでトンネルの掘削例がなく[1]、ボーリング調査も殆どうまくいかなかったため、まさに「蓋を開けてみるまでわからない」状態で工事が開始された。最大土被りは1,000mを超え、水圧は5.4MPa(55kgf/cm²)、最大湧水量は毎分70tになるなど、青函トンネル以上の数値となり、刻々と変わる地盤と相俟って、建設開始当初の予想を超えた難工事となった。その過酷さを証明するかのように、投入されたトンネル掘削機(先進坑に直径4.5mの「天生太郎(フルシールド型)」、本坑用に同12.84mの「夢天生2000(改良オープン型)」)のうち「天生太郎」については、幾多の水抜坑を設置しカッター部分を改良しながら掘削を進めてきたが、貫通まで残り280m地点で土圧により潰れて停止してしまった。シールド部分が破壊され、もはや修復不可能の状態であった。その後、今後の掘削に関する委員会が開かれ、トンネル掘削機が使用できなかった箇所はNATM工法による掘削を行った。なお、天生太郎の側壁部分はトンネルの一部としてそのまま残される事となった。この天生太郎が掘り進んだ避難坑の掘削データにより、本坑の夢天生2000も軟弱地盤に埋もれるなどしたが、危険に阻まれながらもなんとか掘り進んだ。その夢天生2000の一部もトンネルの一部分になっているそうである。本坑の貫通後、再び貫通点での崩落など異常事態が発生し、それが付帯工事の遅れにも波及してしまう。その結果、現場の切実な声に中日本高速道路株式会社は、2007年度末としていた開通時期を変更せざるを得ない状況になってしまった。
なお、本トンネルは入り口間の高低差が約214mあり、白川村側から飛騨市側へ2%の上り勾配である。施工時の排水を考慮して当初は白川村側からのみの掘削予定であったが、前述の難工事ゆえ迎え掘りの必要に迫られ、飛騨市側から下り勾配での突っ込み施工を急遽行ったため、両側での掘削開始時期が異なっている[1]。
前述の通り、当初の開通予定(当初は2005年に愛知県で開催された愛・地球博前の完成を予定していた)より3年9ヶ月(延期後の開通予定からも更に3か月余り)遅れての開通となった。総事業費は約1,000億円。またトンネルには換気立抗がなく、車道下に換気抗が設けられている(長大トンネルとしては世界初の選択集中排気式縦流換気システムを採用)。なお、工期に間に合わず、まだモルタル吹きつけのみのところが残っており、数年後にもう一度施工し直す予定がある。
これら一連の土木史上稀に見る難工事にも関らず死亡事故0の実績[1]は、同様に難工事であった青函トンネルや安房トンネルを鑑みても、特筆されるべきである。
[編集] 沿革
- 1993年11月19日 施工命令
- 1996年10月 白川村側から先進坑の掘削開始
- 1998年4月 白川村側から本坑の掘削開始
- 2001年4月 飛騨市側から先進坑・本坑の掘削(迎え掘り)を開始
- 2006年3月31日 先進避難抗貫通
- 2007年1月13日午前 本抗が貫通、貫通式を挙行
- 2008年7月5日 飛騨トンネルを含む飛騨清見IC - 白川郷IC(20.7km)の開通により供用を開始
[編集] 特記事項
[編集] 特別料金
飛騨トンネルを挟む飛騨清見IC - 白川郷IC間は、対距離料金が他区間に比べ1.6倍で設定されている。これは、関越自動車道の関越トンネル、中央自動車道の恵那山トンネルも同様である。
[編集] 通行制限
飛騨トンネルを挟む飛騨清見IC - 白川郷IC間は、石油・薬品などを積載したタンクローリーなどの危険物積載車両の通行は禁止されている。このため、危険物積載車両は荘川IC - 白川郷IC間で国道156号を利用して迂回(※)するか、飛騨清見ICから中部縦貫自動車道(高山清見道路) ・国道41号を利用して迂回(北陸自動車道・富山ICで出入りするルートもある)するかの選択を迫られる。また、中京-北陸方面間を行き来する場合は、従来通り名神高速道路・北陸自動車道(米原JCT経由)を通る選択肢もある。
(※)このルートを利用する場合、五箇山IC - 福光ICに袴腰トンネル(危険物積載車両通行禁止)があるため、当該区間で再度一般道に迂回する必要がある。また、国道156号には高さ3.5m以上の大型車両が通行できないトンネル・洞門が存在するために危険物積載の大型車の迂回路としては適しておらず、国道41号線経由で富山ICを利用するほうが望ましい。
[編集] トンネル設備
降雪地帯のため、両端のトンネル坑口には融雪・凍結防止用のヒーターが路面に埋設されている。また、トンネル内でのラジオ再放送は、AMのNHKラジオ第1放送(高山792kHz、名古屋729kHz)の2局のみ(その他の放送局やFM局は受信困難なため)。携帯電話はau、docomoのFOMA及び、SoftBankのSoftBank 3Gが使用可能。
約10kmの長大トンネルのためトンネル区間中央部付近やその他数箇所に運転者への気分転換としてピンクとブルーのアクセント照明が設けられている。また壁面は白色タイル貼りとなっている。タイル面には袴腰トンネル-城端トンネルのトンネル連続区間と同じく出口までの距離を1kmごとに表示してある他、電光掲示板による残距離表示もされており、心理的圧迫感を軽減している。
[編集] 景観への配慮
トンネルの施工にあたっては、周辺環境、特に世界遺産である合掌集落近辺の景観に配慮し、集落から離れた低い位置に白川坑口があり、取付道路も集落からの景観を壊さないよう橋桁をくすんだ「墨色」に塗装してある。唯一国道156号を郡上市・高山市方面に少し向かった鳩谷ダム近くのスノーシェッド付近でのみ施工時に使用された作業用坑口がわかる程度である。

