頭蓋変形
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頭蓋変形(とうがいへんけい;cranial deformation)とは、人為的に、人間の頭の骨(頭蓋)を変形させる肉体改造の一種である。
[編集] 概要
新生児から乳児(赤ちゃん)にかけての頭骨は出産の際に幾分変形するが、これは自然に成長の過程で平均的な形に落ち着きながら、一定の形状となる(→頭蓋骨)。これは新生児の頭蓋骨が泉門(ひよめき)など隙間だらけで完全に接合されていない状態であるために起こる変形で、骨の成長に従って互いに組み合わされ、ずれなどが生じない状態になる。
頭蓋変形は、このまだ接合しきっていない頭に圧力を加えながら育て、その変形状態で接合を起こさせ固定することを意味する。ただしこの接合しきっていない時期の新生児や乳幼児の脳は柔軟であるとはいえ、脳や頭が人間の性質上で欠くことのできない精神を司る器官であるため、そこに圧力を加えて変形させることの是非については批判も見られ、また当人の意思とは関わりの無いところで行われる部分もあるため、民族文化か児童虐待かという視点から多くの文明社会では否定的に扱われており、南米の先住民族などの限られた範囲で見られた風習も衰退傾向である(後述)。
なおこういった変形が、脳の機能やその総体的な機能である精神にどのような影響を与えるかに付いては、現存する実例も限られ不明である。
[編集] 変形と文化
変形の形態はさまざまだが、変形を意図したものと、そうではなく幼少期の揺り篭など伝統的な育て方の問題から変形が生じ、やがてそれが民族集団のトレードマークに変化したものなどがあるとされている。ロシアの研究者によると、後者は中央アジアの遊牧民にあてはまるという。
ユーラシア大陸では、古く紀元前2000-1000年ころに中央アジアに見られ、その後、紀元前750-500年ころに再び見られるようになる。この間に関連はないとされており、後者はフン族の侵入が関係しているという説がある。フンが使っていたゆりかごによって、フンは頭蓋が変形を生じていたが、フンの進入後、各地域で、それが逆に(階層や「民族」)「集団」を示すものにとってかわったという。
新大陸では、チリなどに古い人骨が残っており、紀元前2650年ころからの時期にすでに現れるという。このほか、メキシコなどメソアメリカでも先古典期中期段階でオアハカ地方やオルメカ文明の彫像で見られ、マヤ文明では一般的な習慣であった。それら変形が加えられた人骨の墳墓では、高度な装飾品など手厚く葬られた様子も見られることから、変形の度合いで社会的地位が決定される面があったのではと推測されている。
南米のものは、チチカカ湖沿岸や南海岸のものが有名で、形態も複数ある。頭を前後に挟んでつぶして細長く頭を伸ばしたものや、逆に左右に幅広くしたものなどもある。スペイン人が征服したころまでその習慣は残っており、一説では20世紀初頭までブラジルのアマゾン地域で見られたという。これらでは、乳児の頭を当て布をした上で2枚の木の板で挿み、上から紐で縛っていたことがスペイン人宣教師の記した記録などに残されている。

