韓国岳

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韓国岳
Kirishima Karakunidake 2.jpg
標高 1,700.3 m
所在地 鹿児島県霧島市
宮崎県えびの市小林市
位置 北緯31度56分03秒
東経130度51分42秒
山系 霧島山
種類 火山砕屑丘
韓国岳の位置
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えびの高原から望む山体

韓国岳(からくにだけ)は、九州南部に連なる霧島山の最高峰であり、鹿児島県霧島市宮崎県えびの市小林市の境界にまたがる。

  • 「唐国岳」と表記されている事があるが、国土地理院国土基本図では「韓国岳」と表記されており、韓国岳が正式な表記である。

山容[編集]

頂上には直径900m、深さ300mの火口があり、雨が続くと池ができる。また、冬にはよく冠雪し、霧氷なども見られる。北西山腹にえびの高原が広がり、南西山腹に大浪池がある。山腹はハリモミミズナラブナクヌギなどの林となっており、野生のシカが多く見られる。山頂付近にはミヤマキリシママイヅルソウススキなど、火口壁にはヤシャブシ、シロドウダン、ヒカゲツツジなどがみられる[1]

登山[編集]

霧島市と小林市とを結ぶ県道付近からいくつかの登山道が整備されている。駐車場やビジターセンターの充実しているえびの高原からのルートがもっとも一般的である。山頂から南方の眺望は抜群で、霧島山系の山々や霊峰高千穂峰を展望でき、遠くは鹿児島湾桜島高隈山も眺望できる。また、韓国岳の山頂から、獅子戸岳、新燃岳、中岳と縦走して高千穂河原へと降りるルートも縦走路として人気が高い。[2]

歴史[編集]

古くは霧島岳西峰、筈野岳、雪岳、甑岳とも呼ばれていた[3]

名称の由来として、江戸時代以前は山頂付近の登山道が険しく難路であり登山者がほとんどいなかったこと、あるいは山頂付近に草木が乏しいことから空虚の地すなわち空国(むなくに、からくに)あるいは虚国(からくに)と呼ばれるようになったという説がある。また「山頂からは韓の国(朝鮮半島)まで見渡すことができるほど高い山なので「韓国の見岳(からくにのみたけ)」と呼ばれた」との説もある[4]が、実際には山頂からは朝鮮半島を見ることはできない。

歴史上、山頂で噴火したという記録はないが、1768年(明和5年)に北西側山腹から溶岩が流出し硫黄山が形成されたという記録がある。江戸時代には領主の島津氏がしばしば登山に訪れた。

地質[編集]

韓国岳は霧島火山群の中でも比較的新しい新期霧島火山に属し、古い時期に形成された白鳥山、夷守岳、獅子戸岳、大浪池などの火山群に重なるようにして形成された。山体を形作る地質はおおまかに古期溶岩、中期溶岩、新期溶岩に分けられる。1万8千年前に噴出した古期溶岩は北東部山麓の小林市大出水から環野にかけてわずかに露出しており、中期溶岩は北東部山腹の標高900メートル以下の斜面に分布している。標高900メートルから上は1万5千年前以降に噴出した新期溶岩からなり、火砕流と軽石の噴出が繰り返されてできた噴石丘となっている。山体が形成された後に火口北西部で爆発が起き、西側の火口壁が崩壊している[5][6]

脚注[編集]

  1. ^ 牧園町郷土誌編さん委員会編 『牧園町郷土誌 改訂版』 牧園町長川畑義照、1991年
  2. ^ 新燃岳など霧島山系の火山活動の状況によっては、登山や縦走が規制される場合があるので、気象庁の噴火警報・予報、宮崎県えびの市の防災情報等を事前に確認しておく必要がある。(平成24年12月25日現在、霧島山系の縦走は規制中)
  3. ^ 橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄 『三国名勝図会』 1843年。
  4. ^ 「唐国岳」と表記されて解説される際に「山頂から唐の国中国大陸)が見渡せるため「唐国の見岳(からくにのみたけ)」と名付けられた」との説明がされることがあるが、「韓国の見岳」説と同様、山頂から中国大陸を見ることはできない。
  5. ^ えびの市郷土史編さん委員会編 『えびの市史 上巻』 宮崎県えびの市、1994年
  6. ^ 井村隆介 「霧島火山の地質」UT_Repository 『地震研究所彙報 第69号』 東京大学地震研究所、1995年

参考文献[編集]

  • 霧島町郷土誌編集委員会編 『霧島町郷土誌』 霧島町、1992年。