電磁波過敏症

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電磁波過敏症(でんじはかびんしょう、: electromagnetic hypersensitivity [EHS] )または電磁場に起因する特発性環境不耐症(でんじばにきいんするとくはつせいかんきょうふたいしょう、: idiopathic environmental intolerance attributed to electromagnetic fields [IEI-EMF] )とは、「ある程度の電磁波(=電磁場)に曝露すると、身体にさまざまな不調が現れる」とする疾病概念。電磁場にさらされることによって引き起こされると称されている症状を記述する用語である。「特発性」(idiopathic)とは原因不明であることを意味する。現状、明確に疾病概念は定まっていない。

概要[編集]

電磁場を発生させる高圧線

アメリカ合衆国医学者であるウィリアム・レイ (William J Rea) [1]によって「Electrical Hypersensitivity(電気過敏症)」と命名された。電磁波および電磁場の健康への悪影響については否定的な見方があるが[2][3][4][5]、現在でも様々な疫学的研究が行われている[6][7]

現在までに行われてきた誘発試験の結果の多くが示すところによれば、自称電磁波過敏症患者は本物の電磁場にさらされることと偽物の電磁場にさらされることとを区別することができない。そのため医学ないしは科学コミュニティーは電磁波過敏症のことを病状とは認めていない。2005年の系統だった調査結果は、電磁波過敏症が電磁場によって引き起こされることを示す科学的で説得力のある証拠を何ら示さなかった。それ以来、二重盲検法による実験の結果がいくつか公表されてきた。それらの実験結果のどれもが示したところによると、自称電磁波過敏症患者は電磁場の存在を検出することができないのであり、本物の電磁場にさらされたあとと偽物の電磁場にさらされたあとのどちらにおいても同様に体調不良を訴えるのである。

世界保健機関(WHO)は「電磁波過敏症」とされるものについてとりまとめた研究報告(ファクトシートNo.296日本語訳 )において、様々な症状の存在は真実とした上で、「医学的診断基準はなく、その症状が電磁界曝露と関連するような科学的根拠はない」としている。また、このファクトシートによれば、二重盲検により実施された研究から、症状が電磁界曝露と相関しないことが示された。これらの症状が、以前から存在する精神医学的症状、健康影響を恐れるストレス反応によるかもしれないことを示唆するデータもある。

電磁波には、波長の短い順にガンマ線エックス線(この2つは放射線)、紫外線可視光線赤外線電波がある。電波には波長の短いマイクロ波から、長い極超長波まであり、さらに細かく分類される。

「電磁波過敏症」を主張する人々は主として、送電線や家電製品から発せられる電源周波数(50/60Hz)と携帯電話基地局塔(形式としてはアンテナのついた電柱同等)からのマイクロ波を症状の原因とみなしている。一方、同じ電波においても、携帯電話(マイクロ波)と送電線極超長波)との電磁波の間の波長や周波数の比は、7桁ものオーダーに達する。このため、性質も異なり、両者を同列に議論することはできない。両者の中間の周波数のものには、電磁調理器RFIDがある。

マイクロ波には電子レンジの能力に見られるように加熱作用があるが、電磁波過敏症と称される症状で議論になるのは、加熱によって生じる副次的な熱的効果ではなく、それ以外の非熱効果、すなわち電磁波そのものが健康に影響を与えるか否かという点である。

なお、放送局を始めとする各種無線局の周辺在住者、送信所で保守業務に従事する者達がこのような主張をした事はなく、単なる体感不安だけで携帯電話の基地アンテナのみを目の仇にしている傾向が、基地局反対運動には見受けられる。

症状[編集]

電磁波過敏症と称される症状は個人によって異なる。世界保健機関の研究報告書(前述ファクトシートNo.296)は「電磁波過敏症は、人によって異なる様々な非特定症状を持つのが特徴である」[8]とした上で、いくつかの症状を挙げている。

原因が何であれ電磁波過敏症の症状は現実に生じており、患者にとって日常生活に支障をきたすほどの問題となることがある。以下の症状が報告されている。

皮膚の症状[編集]

  • チクチクした感覚
  • 灼熱感
  • 皮疹
  • 発赤
  • ヒリヒリとした痛み

その他[編集]

  • 頭痛
  • 疲労
  • 精神的ストレス
  • 睡眠障害
  • 筋肉痛
  • 集中力の低下
  • めまい
  • 吐き気
  • 動悸
  • 消化器の障害
  • その他多くの健康問題

「防護」の現実性[編集]

電磁波の放射源を点とした場合、その強度が距離の二乗に反比例し減衰する。例えば、基地局から人体へ受ける電磁波は、人体から数cmの距離で利用する携帯電話に比べて遥かに弱い。 マイクロ波等の波長の短い電磁波を遮断するには、導電性の金網などの遮蔽物ですっかり覆われた内部空間に人間が入る必要がある。電磁波の防護を謳って販売されているエプロンなどの商品があるが、電場は遮断するが、低周波磁場は防護することができない点を理解して利用しなければならない。

電源周波数領域の電磁場の場合、電線までの距離や電圧の他に、その配置が電磁場の強度を決めている。例えば家電製品の電源コードは、往復の2本の導線が非常に狭い間隔で平行に通るため、その間隔よりも遠い距離では、互いの電磁場を打ち消しあう効果が強くなる。

電磁波過敏症を病気と認定している国[編集]

以下の国が電磁波過敏症を病気と認定している[9]

脚注[編集]

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  1. ^ ダラスにある「環境保健センター」の設立者で院長。本人は心臓外科医であるが、化学物質過敏症を発症したのを契機に環境医学へと転じた(参考文献『電磁波過敏症』)。
  2. ^ Repacholi MH, Greenebaum B. Interaction of static and extremely low frequency electric and magnetic fields with living systems: health effects and research needs. Bioelectromagnetics. 1999;20:133-60.
  3. ^ Preece AW, Hand JW, Clarke RN, Stewart A. Power frequency electromagnetic fields and health. Where's the evidence? Phys Med Biol. 2000;45:R139-54.
  4. ^ Challis LJ. Mechanisms for interaction between RF fields and biological tissue. Bioelectromagnetics. 2005;Suppl 7:S98-S106.
  5. ^ Valberg PA, van Deventer TE, Repacholi MH. Workgroup report: base stations and wireless networks-radiofrequency (RF) exposures and health consequences. Environ Health Perspect. 2007;115:416-24.
  6. ^ Rubin GJ, Das Munshi J, Wessely S. Electromagnetic hypersensitivity: a systematic review of provocation studies. Psychosom Med. 2005;67:224-32
  7. ^ Seitz H, Stinner D, Eikmann T, Herr C, Röösli M. Electromagnetic hypersensitivity (EHS) and subjective health complaints associated with electromagnetic fields of mobile phone communication--a literature review published between 2000 and 2004. Sci Total Environ. 2005;349:45-55.
  8. ^ "EHS is characterized by a variety of non-specific symptoms that differ from individual to individual,which afflicted individuals attribute to exposure to EMF."
  9. ^ “現代の新しい病気、電磁波過敏症に悩まされる女性の孤独な生活”. マイナビニュース. (2012年12月3日). http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/terrafor/2012/11/post-3985.html 

関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]