電磁波過敏症

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電磁波過敏症(でんじはかびんしょう)とは、「ある程度の電磁波を浴びると、身体が鋭敏に反応する症状」を指すが、明確な定義はない。アメリカ合衆国医学者であるウィリアム・レイ (William J Rea) [1]によって「Electrical Hypersensitivity(電気過敏症)」と命名された。電磁波および電磁場の健康への悪影響については否定的な見方があるが[2][3][4][5]、現在でも様々な疫学的研究が行われている[6][7]

電磁波は、波長の短い順にガンマ線エックス線紫外線可視光線赤外線電波となっている。電波は波長の短いマイクロ波から、長い極超長波まであり、さらに細かくわけらける(詳細は電波の周波数による分類を参照)。

「電磁波過敏症」を主張する人々は主として、送電線や家電製品から発せられる電源周波数(50/60Hz)と携帯電話や携帯電話基地タワーからのマイクロ波を症状の原因とみなしている。一方、同じ電波においても、携帯電話マイクロ波)と送電線極超長波)との電磁波の間の波長や周波数の比は、7桁ものオーダーに達する。このため、性質も異なり、両者を同列に議論することはできない。両者の中間の周波数のものには、電磁調理器RFIDがある。

マイクロ波には加熱作用があるが、電磁波過敏症と称される症状で議論になるのは、加熱によって生じる副次的な熱的効果ではなく、それ以外の非熱効果、すなわち電磁波そのものが健康に影響を与えるか否かという点である。

電磁場を発生させる高圧線

世界保健機関(WHO)は「電磁波過敏症」とされるものについてとりまとめた研究報告(ファクトシートNo.296)において、様々な症状の存在は真実とした上で、「医学的診断基準はなく、その症状が電磁界曝露と関連するような科学的根拠はない」としている。また、このファクトシートによれば、二重盲検に基づいた研究報告の大半は、電磁波の暴露と電磁波過敏症の間に関連性がないという結論を出しているとし、電磁波以外の環境要因、あるいは電磁波を心配することによる精神的なストレスとの関係を示唆している。

目次

[編集] 症状

電磁波過敏症と称される症状は個人によって異なる。世界保健機関の研究報告書(ファクトシートNo.296)は、「電磁波過敏症は、人によって異なる様々な非特定症状を持つのが特徴である 」("EHS is characterized by a variety of non-specific symptoms that differ from individual to individual,which afflicted individuals attribute to exposure to EMF.") とした上で、以下のような症状を挙げている。

皮膚の症状

  • 発赤
  • ヒリヒリとした痛み
  • 灼熱感

神経症状など

  • 疲労感
  • 集中力の低下
  • めまい
  • 吐き気
  • 動悸
  • 消化器の障害

[編集] 「防護」の現実性

電磁波の放射源を点とした場合、その強度が距離の二乗に反比例し減衰する。例えば、基地局から人体へ受ける電磁波は、人体から数cmの距離で利用する携帯電話に比べて遥かに弱い。 マイクロ波等の波長の短い電磁波を遮断するには、導電性の金網などの遮蔽物ですっかり覆われた内部空間に人間が入る必要がある。電磁波の防護を謳って販売されているエプロンなどの商品があるが、電場は遮断するが、低周波磁場は防護することができない点を理解して利用しなければならない。

電源周波数領域の電磁場の場合、電線までの距離や電圧の他に、その配置が電磁場の強度を決めている。例えば家電製品の電源コードは、往復の2本の導線が非常に狭い間隔で平行に通るため、その間隔よりも遠い距離では、互いの電磁場を打ち消しあう効果が強くなる。

電磁波過敏症を自称する者の間では、コンセントアルミホイルで蓋をするというような防護方法により症状が減免するとも言われるが、これは電磁気学的にはまったく荒唐無稽なものである。寧ろ、短絡により火災が起きる等の危険がある。

[編集] 脚注

  1. ^ 環境保健センタ-(ダラス)設立者・院長。本人は心臓外科医であるが、化学物質過敏症を発症したのを契機に、心臓外科医から環境医学へと転じた。(大久保貞利『電磁波過敏症』緑風出版、2005年。ISBN4-8461-0521-0)
  2. ^ Repacholi MH, Greenebaum B. Interaction of static and extremely low frequency electric and magnetic fields with living systems: health effects and research needs. Bioelectromagnetics. 1999;20:133-60.
  3. ^ Preece AW, Hand JW, Clarke RN, Stewart A. Power frequency electromagnetic fields and health. Where's the evidence? Phys Med Biol. 2000;45:R139-54.
  4. ^ Challis LJ. Mechanisms for interaction between RF fields and biological tissue. Bioelectromagnetics. 2005;Suppl 7:S98-S106.
  5. ^ Valberg PA, van Deventer TE, Repacholi MH. Workgroup report: base stations and wireless networks-radiofrequency (RF) exposures and health consequences. Environ Health Perspect. 2007;115:416-24.
  6. ^ Rubin GJ, Das Munshi J, Wessely S. Electromagnetic hypersensitivity: a systematic review of provocation studies. Psychosom Med. 2005;67:224-32
  7. ^ Seitz H, Stinner D, Eikmann T, Herr C, Röösli M. Electromagnetic hypersensitivity (EHS) and subjective health complaints associated with electromagnetic fields of mobile phone communication--a literature review published between 2000 and 2004. Sci Total Environ. 2005;349:45-55.

[編集] 関連文献

  • 三浦正悦『電磁界の健康影響: 工学的・科学的アプローチの必要性』東京電機大学出版局、2004 ISBN 9784501324001


[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク