随伴作用素

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数学における随伴作用素(ずいはんさようそ、adjoint operator)あるいはエルミート共役(エルミート-きょうやく、Hermitian conjugate)作用素とは、ヒルベルト空間のあいだに与えられた作用素に対し、エルミート内積に関する転置の役割を果たす作用素のことである。複素数の組がなす有限次元のヒルベルト空間上の作用素は行列によって表されるが、このとき与えられた行列が表す作用素に対する随伴作用素はもとの行列の転置行列の成分をすべて複素共役な数に置き換えることによって得られる随伴行列によって表される。

目次

定義 [編集]

内積(エルミート内積)<·, ·> をもつ複素ヒルベルト空間 E, F のあいだの線型作用素(有界作用素) A: EF に対して

\langle Ax, y\rangle = \langle x, A^*y\rangle

が成り立つような F から E への線型作用素 A *A の随伴作用素、または Aエルミート共役と呼ぶ。

一般にバナッハ空間や位相線型空間の間の作用素に対しても、A* を双対空間のあいだの作用素としては定義することはできるが、ヒルベルト空間のばあいには内積が与える歪線型写像によって双対空間をもとの空間と同一視することができる(リースの表現定理)ため、このような作用素をもとの空間同士の間の線型作用素として実現することができる。

ヒルベルト空間上の作用素 A自己共役であるとは A = A* が成り立つことである。このとき Aエルミート作用素とも呼ばれる。同様に作用素 AA = −A* を満たすとき、A歪エルミート作用素という。また、A*A = AA* を満たすならば A正規作用素と呼ばれる。

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成分が複素数である mn 列の複素行列 A = (aij) の随伴行列(ずいはんぎょうれつ、adjoint matrix)とは、転置行列の成分をすべて共役複素数に取り替えた nm 列の行列

M^* = (\bar{a}_{ji})

のことをいう。共役転置行列(きょうやくてんちぎょうれつ、共役転置行列、conjugate transpose matrix, tranjugate matrix)ともいう。ここで、複素数 α に対し α は α の共役複素数を表す。A*AH, A などとも記す。 例えば

M = \begin{pmatrix} 1+2i & 5 \\ 3-4i & 8 \end{pmatrix}

の随伴行列は

M^* = \begin{pmatrix} 1-2i & 3+4i \\ 5 & 8 \end{pmatrix}

である。

  • 行列 B の成分が全て実数であるときには B の随伴行列 B*転置行列 BT に等しい。
  • 必ずしも正方行列とは限らない行列 A に対し、 正方行列 A*A, AA* はともに半正定値エルミート行列となる。

性質 [編集]

  • A を任意の作用素とすると A = (A*)* が成り立つ。
  • A, B に演算が定義される限りにおいて、 (A + B)* = A* + B*, (AB)* = B*A* が成り立つ。
  • 作用素 A とスカラー k に対して (kA)* = kA* が成り立つ。
  • 可逆な作用素 A に対して (A−1)* = (A*)−1
  • 作用素ノルム ||•|| に対して
     \lVert A^* \rVert = \lVert A \rVert
    特に
     \lVert A^* A \rVert = \lVert A \rVert^2
    を満たし、核と像に関しては
     \ker A^* = \left( \operatorname{im}\ A \right)^\bot
     \left( \ker A^* \right)^\bot = \overline{\operatorname{im}\ A}
    が成立する。

関連項目 [編集]

参考文献 [編集]