長野電鉄1000系電車 (2代)
長野電鉄1000系電車(ながのでんてつ1000けいでんしゃ)は、長野電鉄の特急形電車。
老朽化した2000系の代替として、小田急電鉄で使用されていたロマンスカー10000形「HiSE」を、長野電鉄が無償で譲り受けた車両である。愛称は「ゆけむり」。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 編成
4車体5台車の連接構造で、小田急時代は11車体12台車であったものから一部の中間車を抜き、短編成化した。編成の構成は次のとおり。
|
← 湯田中
長野 →
|
|||||
| 形式 | デハ1000 (Mc9) |
モハ1010 (M8) |
モハ1020 (M2) |
デハ1030 (Mc1) |
|
|---|---|---|---|---|---|
| 編成 | S1 | デハ1001 (デハ10031) |
モハ1011 (デハ10030) |
モハ1021 (デハ10022) |
デハ1031 (デハ10021) |
| S2 | デハ1002 (デハ10071) |
モハ1012 (デハ10070) |
モハ1022 (デハ10062) |
デハ1032 (デハ10061) |
|
[編集] 車体・外観
車体は小田急時代の塗装を踏襲するが、計画の変更により小田急時代に「ワインレッド」であった部分については長野電鉄の「赤」に変更されている。
小田急時代に6号車に設置されていた冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置は2号車に設置された。これ以外にも、長野電鉄仕様として信州中野駅 - 湯田中駅間の急勾配に対応するための抑速ブレーキの改造(主抵抗器の増強)、降雪期に備えて耐雪ブレーキやドアレールヒーターが装備などが施工されているが、外観においては編成の短縮以外に小田急時代と大きく変わるところはない。
[編集] 車内
| 1000系「ゆけむり」 | ||||||||||||
|
← 湯田中
長野 →
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
全車禁煙。外観同様、車内設備もおおむね小田急時代を保っている。
- 1号車および4号車先頭部には展望席が小田急時代と変更なく存置されている。この部分はハイデッカー構造ではないため、ここをバリアフリー対応とすることで小田急時代より懸念されていた問題に対処した。これにより段差が障害となる旅客の乗車に問題はなくなった。ただし、この処置により展望室と一般客室の境にあった補助椅子は使用不可能となっている。
- 座席は展望席を含め全て自由席。
- その他設備のうち、トイレと洗面所は車両基地に対応設備が無く、これらを設置した中間車を譲渡時に廃車することで廃したため、設置されていない。
- 本形式はワンマン設備を持たないため、長野電鉄で唯一車掌の乗務を必要とする形式となっている。このため、グッズ類などの車内販売が行われ、また駅への到着放送も小布施駅は「次は『栗と北斎の町』小布施でございます」、須坂駅は「次は『蔵の町』須坂でございます」、信州中野駅は「次は『土人形の町』信州中野でございます」など観光客を意識した内容で行われている。
- 小田急時代に受賞した鉄道友の会ブルーリボン賞の記念プレートは存置されている。
号車番号/設備他
- 運転室(2階)・展望席(14席)・普通席(32席)・車掌室
- 普通席(44席)
- 普通席(44席)
- 運転室(2階)・展望席(14席)・普通席(32席)・車掌室
[編集] 運用
従来の長野線では、通常A特急に本形式を充当し、B特急(および間合い運用での普通列車)には2000系を充当した限定運用を行い、原則として特急の種別と使用車両は固定一致をしていた。 しかし、2100系の運用開始を踏まえて実施された2011年2月13日のダイヤ改正から、A特急およびB特急の使用車両を限定しない運用[1]に変更し、同時に運用間合いでの普通列車への充当も廃した。この結果、本形式としては従前同様に長野線全線のA特急に用いられるほか、B特急にも充当されることとなり、運用時間帯が拡大している。
なお、B特急については同改正より信州中野以北の普通列車扱いが無くなったことから、本形式の乗車には従来同様に、原則として特急料金が必要である。
[編集] 歴史
- 8月12日 - 小田急電鉄から10000形全4編成のうち2編成が長野電鉄に対して無償譲渡される[2]。
- 12月15日 - 2006年(平成18年)1月31日 - 列車愛称の募集が行われる。総数2,992通の応募があった。
- 2006年(平成18年)
- 3月17日 - 列車愛称が「ゆけむり」と決定。
- 11月3日・4日 - 試乗・内覧会を実施。長野駅 - 湯田中駅間にて試乗列車が運転された。
- 12月2日 - 長電観光主催「ゆけむり貸切特別ツアー」が実施された。
- 12月9日 - ダイヤ改正に併せて営業運転が開始された。
- 2007年(平成19年)
- 1月10日 - 2月1日 - 第2編成(S2編成)1号車の展望席部分の窓ガラスにヒビが入っているのが確認されたため、同編成使用列車は1号車を締切にし、残り3両の客扱いで営業運転を行った。修理は1月30日 - 2月1日に行い、代走として2000系が使用された。
- 7月9日 - 30日 - 第2編成(S2編成)4号車の展望席部分の窓ガラスにヒビが入っているのが確認されたため、運用を離脱、2000系が代走した。
- 2010年(平成22年)
- 2011年(平成23年)
- 2月13日 - ダイヤ改正により運用を拡大、B特急への充当を開始。
[編集] その他
- 第1・2編成とも日本車輌製造豊川製作所で改造されたが、いずれの編成も川崎重工業で製造されたものであった。なお、小田急10000形には日本車輌製造製の編成もある。
- 本形式の導入に関連して、湯田中駅では2006年9月に構内スイッチバックとプラットホーム1線を廃止し、1面1線化するなどの縮小工事を行った。
- 2011年2月13日のダイヤ改正まで、信州中野駅 - 湯田中駅間を各駅に停まる特急列車(B特急)には充当されなかった。また、須坂駅で2000系から車両交換をする運用もあり、この場合、時刻表で指定された列車に乗り継げば、1枚の特急券で利用することが可能であった。
- 本形式が導入された後も、特急料金は100円のまま据え置かれた。ただし、2000系とは異なり運用される列車が全て特急運用となったため、運用開始以来、乗車には特急料金が必要とされている。
- 本形式の代走は2100系および2000系、3500系列が充当される。2100系の充当が基本であるが、2100系も検査や故障などで対応できないときは2000系での対応となる。なお、2000系の運用離脱後は3500系列の充当が見こまれており[5]、この場合は特急料金は不要となる。8500系は湯田中駅手前の急勾配に対応していないため充当されることはない。
[編集] 参考文献
- 伊藤久巳 取材・写真「HiSE 威風堂々 -長野電鉄1000系 日車豊川→屋代763.5km 甲種輸送の旅路-」 交友社『鉄道ファン』2006年7月号 No.543 p111 - 119
- 松本典久「長電1000系『ゆけむり』試乗ルポ」 交友社『鉄道ファン』2007年1月号 No.549 p72 - 77
[編集] 脚注
- ^ ただし、使用車両については車両愛称の記載が時刻表に行われているため、2100系「スノーモンキー」との区別は容易である。
- ^ 改造工事終了後の甲種車両輸送は、本系列の車両限界の関係から篠ノ井線を通過できなかったため、最短経路となる東海道 - 中央西 - 篠ノ井線経由ではなく東海道 - 武蔵野 - 高崎 - 上越 - 信越本線 - しなの鉄道線を経由する大回りでの輸送となった。
- ^ 『ロマンスカー連結部に傷 小田急、5編成の運転休止』[リンク切れ] 朝日新聞 2010年1月21日
- ^ 『1000系「ゆけむり」の車両変更(運転の再開)について』 長野電鉄公式サイト
- ^ 2100系の運用開始以前はしばしば3500系列による代走が行われていた。
[編集] 関連項目
|
|||||||||||||||||||||||||||