長谷川式認知症スケール

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長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とは長谷川和夫によって作成された簡易知能検査である。言語性知能検査であり、失語症、難聴などがある場合は検査が困難となる。日本においてはMMSEと並んでよく用いられる。かつては「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれていたが、2004年4月に痴呆症から認知症へ改称されたことに伴い現在の名称に変更されている。認知症検査で行われる場合は10~15分を要する。

検査項目[編集]

自己の見当識

「年齢を問う」

時間に関する見当識

「月、日、曜日、年」

場所に関する見当識

「ここはどこか」

作業記憶

「3単語の直後再生」、「数字の逆唱」

計算

「計算」および近時記憶の干渉課題

近時記憶

「3単語の遅延再生」

非言語性記銘

「5品の視覚的記銘」

前頭葉機能

「野菜語想起」

評価[編集]

総合点における評価がよく知られている。HDS-R20点以下で認知症の可能性が高まるとされている。また認知症であることが確定している場合はHDS-R20点以上で軽度、11~19点の場合は中等度、10点以下で高度と判定する。またどのような認知機能の障害かを判定するためにどの項目で失点したかの記載も必要となる。

総合点以外にわかること[編集]

HDS-Rを行うことで以下のようなことがわかることもある。

意識、注意

意識レベルや注意集中力を評価できる。課題に対する注意が注がれており無関係なことに注意が向かないかということである。

態度

診察にふさわしい態度がとれているのかという点である。アルツハイマー型認知症では保たれやすいが、前頭側頭型認知症ではそぐわない場合が多い。

発動性、自発性

ボーとしているなどは意識、注意の評価となるが。考え不精などがあるかどうかも判定する。考え不精は前頭側頭型認知症や皮質基底核変性症進行性核上性麻痺で認められる。

言い繕い

記憶障害をごまかすための言い訳があるかどうか。日付がわからないときに「今日は新聞をみていない」といった発現がある場合はアルツハイマー型認知症を疑う。

依存性

自分が考える前に付き添いの家族の方を向き代弁を求める仕草をする場合はアルツハイマー型認知症を疑う。

精神運動スピード

思考緩慢があるかどうかである。皮質下性認知症の特徴であり、血管性認知症、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症などで認められる。

記憶

アルツハイマー型認知症では直後再生(作業記憶)は保たれているが、遅延再生の障害が高度となりヒントも有効ではない場合がある。再認課題も障害される。一方、皮質下認知症では注意障害のため直後再生が障害されることがある。思考緩慢のため遅延再生も障害されるがヒントが有効であり、再認もできることが多い。

語想起

想起のスピード、野菜の種類のサブカテゴリーが保たれているか、想起数が十分かを評価する。アルツハイマー型認知症では脈絡なく4~5個列挙したあと止まってしまったり、上位カテゴリーで答えることが多い。皮質下認知症では制限時間内に答えることが困難となり、前頭側頭型認知症では途中でやめてしまう。

保続

アルツハイマー型認知症ではレビー小体型認知症より認めやすい。「野菜語想起」の後に「5品の視覚的記銘」と試験の順番を変えると保続は検出しやすくなる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]