銀河系とアンドロメダ銀河の衝突合体

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銀河系とアンドロメダ銀河の衝突時に何が起きるのかについての解説映像(英語)

銀河系とアンドロメダ銀河の衝突合体(Andromeda–Milky Way collision)は、約40億年以内に発生すると予測されている局部銀河群内の2つの大きな銀河同士の衝突である[1][2][3]

恒星の衝突[編集]

アンドロメダ銀河には、約1兆個の恒星が含まれ、銀河系には太陽を含む約3000億個の恒星が含まれるが、恒星同士の間の距離は非常に離れているため、恒星同士が衝突する確率は無視できるほど小さい。例えば、太陽に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリは、太陽半径の約3×107倍(4×1013km)も離れている。太陽をパリに置かれた卓球のボールだとすると、プロキシマ・ケンタウリはベルリンに置かれたエンドウ豆の大きさのボールに相当する(そして銀河系は、火星までの距離の約3分の1に当たる1.9×107kmの大きさである)。

恒星は、それぞれの銀河の重力中心近くではより密度が高く、平均の距離はわずか1.6×1011kmである。しかし、これでもまだ3.2kmごとに卓球のボールが置かれている程度であり、2つの恒星が衝突するということは起こりそうにない[4]

確からしさ[編集]

2012年現在で、衝突が決定的に起こるのか否かを知ることはできない[5]。2002年から2010年までハッブル宇宙望遠鏡でアンドロメダ銀河の動きを追跡した結果、2012年、科学者達は、衝突は決定的だとの結論に達した[3]。このような銀河同士の衝突は比較的普通に起こることであり、例えばアンドロメダ銀河は過去に少なくとも1度、他の銀河と衝突したと考えられており[6]いて座矮小楕円銀河等のいくつかの矮小銀河は、現在銀河系に衝突し、飲み込まれつつある。

このような研究は、局部銀河群で3番目に大きく明るいさんかく座銀河もこの衝突融合に参加することを示唆している。その最も可能性の高い運命は、銀河系とアンドロメダ銀河の融合残骸の周りを公転するようになり、遠い将来に融合することだが、銀河系がアンドロメダ銀河と衝突する前にさんかく座銀河と衝突することや局部銀河群から弾き出される可能性も排除されない[7]

太陽系の運命[編集]

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの2人の科学者は、いつ2つの銀河が衝突するのかは、アンドロメダ銀河の横軸速度に依存すると語る[1]。現在の計算では、彼らは50%の確率で、太陽系は現在の位置と比べて銀河核からの距離が3倍程度の位置に移動し[1]、12%の確率で太陽系は衝突のいずれかの時点で新しい銀河から弾き出されると予測している[8]。このような時には、系に反作用は発生せず、太陽系に対する擾乱は発生しないと考えられている[8][9]

太陽の光度が徐々に強くなっていることから、2つの銀河の衝突が起こる頃には、地球の表面は液体の水が存在できないほど温度が高くなっており、生命は全て死に絶えている。現在では約14億年後にこのような状況が起こると推定されている[10][11]

予想される出来事[編集]

銀河系とアンドロメダ銀河の衝突により、クェーサーが形成されると考えられている。クェーサーがアンドロメダ銀河の中心にできれば地球からも見え、1万光年も離れているにも関わらず、満月程度の明るさになる。降着円盤は見ることはできず、大気の変動のため、瞬きするように見える。しかし、クェーサーが銀河系の中心にできれば、地球と銀河核との間の塵のために見ることはできない。アンドロメダ銀河の中心にあるブラックホールは銀河系の中心にあるものよりも大きいため、アンドロメダ銀河の中心にできたクェーサーの方が明るくなる[12][13][14][15]

2つの渦巻銀河が衝突すると、ディスクに含まれる水素が圧縮され、触角銀河で見られるような強い星形成領域が形成される。銀河系とアンドロメダ銀河の衝突の場合、どちらの銀河のディスクにもガスがほとんど残らないと考えられ、そのため前述のようなスターバーストは、クェーサーを形成しうる程ではあるが、比較的弱いと考えられている[9]

融合残骸[編集]

衝突により形成された銀河は、両者の名前を併せて、「ミルコメダ」[16]または「Milkdromeda」と渾名されている。シミュレーションによると、この銀河は巨大な楕円銀河のように見えるが、現在の楕円銀河より中央の恒星の密度が小さい[9]

遠い将来には、局部銀河群内に残った銀河はこの銀河に融合し、我々の銀河群の最終的な進化形になると考えられている[17]

出典[編集]

  1. ^ a b c Hazel Muir, "Galactic merger to 'evict' Sun and Earth," New Scientist 4 May 2007
  2. ^ Astronomy, June 2008, p. 28, by Abraham Loeb and T. J. Cox.
  3. ^ a b Andromeda on collision course with the Milky Way
  4. ^ NASA - NASA's Hubble Shows Milky Way is Destined for Head-On Collision”. Nasa.gov (2012年5月31日). 2012年10月13日閲覧。
  5. ^ van der Marel, G. et al. (2012). “The M31 Velocity Vector. III. Future Milky Way M31-M33 Orbital Evolution, Merging, and Fate of the Sun”. The Astrophysical Journal 753: 9. arXiv:1205.6865. Bibcode 2012ApJ...753....9V. doi:10.1088/0004-637X/753/1/9. 
  6. ^ "Andromeda involved in galactic collision" MSNBC 10:38 a.m. PT 29 January 2007.
  7. ^ The M31 Velocity Vector. III. Future Milky Way-M31-M33 Orbital Evolution, Merging, and Fate of the Sun
  8. ^ a b Cain, Fraser (2007年). “When Our Galaxy Smashes Into Andromeda, What Happens to the Sun?”. Universe Today. 2007年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年5月16日閲覧。
  9. ^ a b c Cox, T. J.; Loeb, Abraham (2007). “The Collision Between The Milky Way And Andromeda”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 386: 461. arXiv:0705.1170. Bibcode 2008MNRAS.tmp..333C. doi:10.1111/j.1365-2966.2008.13048.x. 
  10. ^ Schroder, K.-P.; Smith, R. C. (2008). “Distant future of the Sun and Earth revisited”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 386 (1): 155. arXiv:0801.4031. Bibcode 2008MNRAS.386..155S. doi:10.1111/j.1365-2966.2008.13022.x. 
  11. ^ Carrington, D. (2000年2月21日). “Date set for desert Earth”. BBC News. http://news.bbc.co.uk/1/hi/sci/tech/specials/washington_2000/649913.stm 2007年3月31日閲覧。 
  12. ^ http://www.galaxydynamics.org/papers/GreatMilkyWayAndromedaCollision.pdf
  13. ^ Thomsen, D. E. (Jun. 20, 1987). “End of the World: You Won't Feel a Thing”. Science News (Society for Science & the Public) 131 (25): 391. doi:10.2307/3971408. JSTOR 3971408.  編集
  14. ^ https://www.cfa.harvard.edu/~tcox/localgroup/lg.pdf
  15. ^ Alex Filippenko (University of California, Berkeley) on The Universe Season 4 Episode 10.
  16. ^ 宇宙100兆年の未来日経サイエンス
  17. ^ A dying universe: the long-term fate and evolution of astrophysical objects, Fred C. Adams and Gregory Laughlin, Reviews of Modern Physics 69, #2 (April 1997), pp. 337?372. Bibcode1997RvMP...69..337A. doi:10.1103/RevModPhys.69.337 arXiv:astro-ph/9701131.

関連項目[編集]