釣狐

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山川秀峰筆「こんくわい」

釣狐(つりぎつね)は狂言の演目。鷺流での名称は「吼噦(こんかい/こんくわい)」。集狂言に分類される。

披きとして扱われる演目の一つで、大蔵流では極重習、和泉流では大習と重んじられている[1]。 「猿に始まり、狐に終わる」という言葉があり、これは『靱猿』の猿役で初舞台を踏んだ狂言師が、『釣狐』の狐役を演じて初めて一人前として認められるという意味である[1][2]

白蔵主の伝説を元に作られたとされており[3]、多くの狂言師が、上演する際に白蔵主稲荷を祀る大阪府堺市少林寺に參詣し、この稲荷の竹を頂いて小道具の杖として使っている[4][5]

歌舞伎に本演目に取材した「釣狐物」がある[1]

登場人物[編集]

あらすじ[編集]

猟師に一族をみな釣り取られた老狐が、猟師の伯父の白蔵主というに化けて猟師のもとへ行く。白蔵主は殺生の罪の深さを説き、また妖狐玉藻前の伝説を用いて狐の祟りの恐ろしさを説き、猟師に狐釣りをやめさせる。その帰路、猟師が捨てた狐釣りの罠の餌である油揚げを見つけ、遂にその誘惑に負けてしまい、化け衣装を脱ぎ身軽になって出直そうとする。それに気付いた猟師は罠を仕掛けて待ち受ける。本性を現して戻って来た狐が罠にかかるが、最後はなんとか罠を外して逃げていく[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d “釣狐 つりぎつね”, ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典, ブリタニカ・ジャパン, (2014), https://archive.is/XuubK#9% 
  2. ^ 油谷光雄 (1984-1994), “釣狐 つりぎつね”, 日本大百科全書(ニッポニカ), 小学館, https://archive.is/XuubK#66% 
  3. ^ 大蔵虎光『狂言不審紙』 冬、1827年。NDLJP:1125595/143 
  4. ^ 茂山千作「秘曲・大曲の秘事・口傳」『狂言八十年』都出版社、1951年。 
  5. ^ "野村万作 最後の<狐>に挑む". NHKスペシャル. 3 November 1993. NHK総合

参考文献[編集]

  • 山脇和泉『和泉流狂言大成』 第四、1919年。NDLJP:926646/181 

外部リンク[編集]