野村哲也

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野村 哲也(のむら てつや、1970年10月8日 - )は、日本のゲームクリエイター、イラストレーター。スタッフからの呼び名は「哲さん」「哲(植松伸夫から)」など。スクウェア・エニックス所属。

目次

[編集] 略歴

高知県出身。スクウェア・エニックス第一開発事業部所属。2007年10月現在、未婚

高知県立岡豊高等学校卒業後18歳で上京し、デザイン系の専門学校で広告デザインを学ぶ。卒業後、1991年4月16日スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社、『ファイナルファンタジーIV』のデバッグが、スクウェアでの最初の仕事となる。その後『ファイナルファンタジーVI』の企画会議において、平行して考えていたキャラクターの設定とイラストが坂口博信の目に留まり、同作の横向きSDキャラの元絵を担当する事になる[1]

ファイナルファンタジーVII』で、天野喜孝の後を継いでキャラクターデザインを担当。その他、ストーリーに関する発案や、バトルでのシステムについても関わったことから、業界で一躍有名になる。ある時期から、先鋭的デザインの強いイラストを描くようになっている。

キングダムハーツ』において初のディレクター業を担当、同作ではキャラクターデザインも担当している。

[編集] 人物

小さい頃は家にファミコンがなく、よく自分ですごろくを作って遊んだという。一人で遊ぶ事が多かった事から、スケッチブックに絵を描いて遊んでいた事が、自身の絵を描く事の原点ではないかと回想している[1]

以前はヘビースモーカーを自認していたが、現在は減煙に成功している。また、大のコーラ好きで、レッド・エンタテインメント広井王子と並んでコーラ好きのゲームクリエイターとして知られている。

好きな食べ物はご飯。嫌いな食べ物はしいたけ。特に肉は口に入れるだけでダメで、理由としてはベジタリアン等の思想的なものではなく、単に子供の頃から魚中心の食生活だったために舌が受け付けないからとのこと。それとは別に、『ファイナルファンタジーVIII』の主人公スコールのレザージャケットをグッズとして実際に制作する企画で、襟のファーの素材サンプルとして取り寄せたコヨーテの一枚革(耳や顔、手足の形がそのまま付いていた)にショックを受け、フェイクファーを使用することに切り替えたと言う逸話もある。

2007年2月6日に放送された『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」において、出演した宇多田ヒカルに宛てた野村(キングダムハーツ開発一同代表として)からの電報が読まれた。このような場でゲーム製作者の電報が読まれることは珍しい。それを聞いた宇多田は、「野村さんまだ独身なのかな…」と呟いていた。

造形作家の竹谷隆之、ゲーム作家の小島秀夫新川洋司との交流が深く、小島にはネットラジオのゲストに招待されたり、「大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ」へのFFキャラ参戦を促されることもあった(同タイトルへの参戦条件は任天堂ハードのタイトルに一度でも登場し、貢献している事なので、ゲームボーイアドバンスの『キングダムハーツ チェインオブメモリーズ』に登場したクラウド、スコール等のFFキャラには一応の参加権がある事にはなるが、野村自身も冗談めかして「僅かに(任天堂ハードに)出てはいました」と答えていた)。

ニンテンドーDSに対しては発表当時から操作性がユーザーに受け入れられるか懐疑的であったらしく、プロデューサーとして関わっている『すばらしきこのせかい』発表時も、インタビューにはその旨をコメントしていた。自身が主導となって開発に携わった事のない、任天堂のゲームハードへの参入をインタビュアーに問われた際には、「自分は義理や恩を大事にしようと考えている人間」とSCEとの関係の強さを強調した上で、任天堂社に対する印象には「ソフトのレベルが総じて高く、ハズレが無い会社」と答えている[2]

高校時代は絵画的・写実的な絵よりも、キャラクター・空想的なイラストを好んで描いていた事から、美術教師に天野喜孝の絵を見せられてその方向性に影響を受ける。その後、就職活動の際にスクウェアの求人広告で天野の絵を目撃し、運命的なものを感じてスクウェアへの入社を決めたと語っている。好きな漫画家には、自身の方向性を変えた影響を込めて上條淳士を挙げており、最初に好きになったキャラクターには松本零士の『銀河鉄道999』のメーテル、『宇宙戦艦ヤマト』の森雪の名前を挙げている[1]

影響を受けたゲーム作品には、任天堂の『スーパーマリオ64』を挙げており『キングダムハーツ』の発想の原点となっている事も明かしている。また、ユーザーとして最も遊び込んでいるゲームはバンダイナムコゲームスの「鉄拳シリーズ」で、シリーズ新作が発売する度に全キャラでクリアするまでやり込むとのこと[1]

[編集] 作風

[編集] イラストレーター・デザイナー

ドレスなどに加えロックスターのようなモノトーンの服装や、当時はやりの兆しを見せていたクロムハーツ等のシルバーアクセサリーが取り入れられ、大きく分けてファンタジー的な衣装にベルトやチャックを付け足す場合と、現実のアパレルにカスタマイズを加えた方向性の二種類のデザインパターンが見て取れる。近年は担当ゲームが現実趣向のため後者のコスチュームが主流であり、コラボレーション等も活発。

『ファイナルファンタジーVII解体真書』(エンターブレイン(当時アスキー)刊)のインタビューにて、「エアリス殺しましょう、ティファ出しましょう」という発言をしたとされているが、ゲーム情報誌『ゲームウォーカー』の連載コラム「野村哲也の俺風味 ぶらりスクウェア紀行」によると、この表現は編集側の意訳であり、本人の意図した発言ではないという。また2000年発行のインタビュー集『ゲーム・マエストロ』には、「FF開発陣のヒール(悪役)に徹しようと思っている」という発言もあり、一部ファンとの対立を自覚している面を見せた。失敗した時を恐れない性格と語っており、「FFVIIAC」企画当時もどんな続編にしてもファンから批判されるだろうと恐れ誰も先導したがらなかったようで、「ヒールといえば俺だろう(笑)」と手をあげた事で動き始めた事を語っている。

RPGデザイナーでは珍しく、他のクリエイターのように既存のファンタジー作品のバックホーンをあまり引用しない(例えば同社の「ドラゴンクエストシリーズ」であれば、近年は中世イタリア衣装の引用が目立つ)作風が特徴的。

また、設定画のキャラクターに漢字交じりの日本語文のマーキングをつけることが多く、「常連」(FF7・ベヒーモス)、「ラスボス魂」(FF7・リバース・セフィロス)、「一刀両断」(FF7・クラウドの武器)等が知られている。右利き。絵を描く時に邪魔になるので右手にはブレスレットや指輪等のアクセサリー類はいつも何もつけない。現在では絵を描く際に専門的な画材は使わず、シャープペンシルで自由帳サイズの紙にそのまま書いた物をスキャンしCGで彩色している。そのためかキャラクターの主線が近年はやや太めに書かれる事が多い。イラストレーターとしてはあまりに簡素な設備といえるが、同じスクウェアの植松伸夫が高度な音楽器具を使わず、メロディの作曲が最低限できれば十分と考えているように、ゲーム黎明期からの職人独自のワークスタイルがあると推測される(双方とも実際に商品化される際には、CGや打ち込みの専門家によるクリンナップが入るため)。

基本的にキャラクターデザインは一発書きを原則としている。ただ時には一発でデザインがまとまらないキャラもおり、その場合は「解決方法はありませんので『これだ!』と思うまで描きます」とのこと[3]。デザインに当たっては「怠惰な自分にとって心がけと言うほど立派なものはありません」と答えつつも、「自由で楽な気分でいることが大事じゃないか、と思います」「頑なにならず、ダラダラした方が意外と上手く行きます」という見解を示している[3]

自らがデザインした中でお気に入りのキャラクターとしては、過去に『トロ・ステーション』のインタビューで以下の3人を挙げている[3]。ちなみに3人の共通点として、いずれも「一発でデザインがまとまらなかった」ことを挙げている。

理由は「原点でもあり孝行息子だと思っています」「最終的にヴェネチアに2度も連れてってくれましたし…」とのこと。
「自分として初ディレクションのキャラクターですし、朝までディズニーの方とデザインに関して意見をぶつけ合って生まれたキャラです」と、その思い入れの深さを語っている。
理由に関するコメントは「将来性を期待しています」の一言のみで、多くは語らなかった。

女性キャラクターで選ぶのは難しいとしながらも、「キングダムハーツシリーズ」キャラに限っての回答でカイリを挙げている[1]

[編集] ディレクター

初のディレクター作品である『キングダムハーツ』が、全世界で600万本以上の大ヒットを記録。数多くの賞を受賞する中、自身もこの作品での功績により、2002年度の「Game Developers Choice Awards」にてExcellence In Visual Arts賞を受賞した。

2006年4月には、「ファミ通アワード」にて前作に続いて、ディレクターを務めた『キングダムハーツII』が大賞を受賞し、自身も最優秀クリエイターに選ばれた。現在の仕事は、ゲーム制作に止まらず、ゲーム関連グッズのデザインや監修にも関わっている。2009年現在、「キングダムハーツシリーズ」は世界総出荷本数が1200万を記録するヒットシリーズとなっている。

近年ではディレクターを担当する事が多く、ヴェネチア映画祭に招待された『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』の影響もあり、『ファイナルファンタジーXIII』の仕掛け人に「野村哲也監督」という呼称でテレビで報道された[4]。また、SONYの番組枠ではゲームクリエイター野村哲也として自身がプッシュされたFFVIIACCのCMが流れるなど、広告塔として扱われている面もある。

[編集] ディレクター作品

[編集] キャラクターデザイン作品

[編集] アニメーション参加作品

[編集] 制作参加作品詳細

作品 詳細
1991年 ファイナルファンタジーIV デバッグ
1992年 ファイナルファンタジーV モンスターデザイン、バトルグラフィックデザイン
1994年 ファイナルファンタジーVI グラフィックディレクション、一部キャラクター設定、デフォルメキャラクターデザイン原案、解説書キャラクターイラスト、
ライブ・ア・ライブ 土佐弁監修
1995年 フロントミッション グラフィックデザイン(一部キャラクターデザイン)
クロノ・トリガー フィールドグラフィック
ダイナマイトレーサー コンセプトデザイン、キャラクターデザイン
1996年 スーパーマリオRPG クリスタラー(ボスモンスターデザイン)
1997年 ファイナルファンタジーVII キャラクターデザイン、バトルビジュアルディレクション
一部モンスターデザイン、ストーリー原案
コンテ(召喚シーン等)、リミットブレイク設定
1998年 パラサイト・イヴ キャラクターデザイン
エアガイツ キャラクター監修
ブレイヴフェンサー 武蔵伝 メインキャラクターイラストレーション
1999年 ファイナルファンタジーVIII キャラクターデザイン、バトルビジュアルディレクション、コンテ(OPムービー他)
パラサイト・イヴ2 キャラクターデザイン
2000年 バウンサー
2001年 ファイナルファンタジーX
2002年 ファイナルファンタジーXI エルヴァーン・ヒュームのフェイスデザイン、ストーリーNPCのデザイン
キングダムハーツ 企画立案、ディレクション、キャラクターデザイン、コンセプトデザイン
2003年 ファイナルファンタジーX-2 メインキャラクターデザイン
2004年 キングダムハーツ チェインオブメモリーズ ディレクション、キャラクター等デザイン、ストーリー原案(プロット)等
Before Crisis ファイナルファンタジーVII コンセプトデザイン、キャラクターデザイン
2005年 武蔵伝II ブレイドマスター メインキャラクターデザイン
ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン ディレクション、キャラクターデザイン
キングダムハーツII ディレクション、キャラクターデザイン、ストーリー原案、バトルシステム発案
2006年 ダージュ オブ ケルベロス ファイナルファンタジーVII キャラクターデザイン
シルクロード少年ユート 3D製作進行
マリオバスケ3on3 グラフィック・スーパーバイザー
ファイナルファンタジーVアドバンス モンスターデザイン(GBA版で追加されたボスのデザイン)
2007年 すばらしきこのせかい クリエイティブプロデュース、メインキャラクターデザイン
クライシス コア ファイナルファンタジーVII クリエイティブプロデュース、キャラクターデザイン
未定 キングダム ハーツ 358/2 Days ディレクション、キャラクターデザイン
未定 キングダム ハーツ バース バイ スリープ ディレクション、キャラクターデザイン
未定 キングダム ハーツ コーデッド ディレクション、キャラクターデザイン
未定 ファイナルファンタジーXIII キャラクターデザイン
未定 ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII ディレクション、キャラクターデザイン
未定 ファイナルファンタジー アギトXIII キャラクターデザイン

[編集] ゲーム雑誌以外のインタビュー掲載書籍など

  • ファイナルファンタジー クリーチャーズ ファンブックVol.1(ホビージャパン・店頭在庫のみ)
  • ゲーム・マエストロ Vol.4 グラフィック編(毎日コミュニケーションズ・絶版)
  • NewWORDS(ニューワーズ)2006創刊号(角川書店・店頭在庫のみ)
  • TATTOO TRIBAL(タトゥー・トライバル)Vol.27 2006.8月号(富士美出版)
  • H 2006.10月号(ロッキング・オン)

[編集] 脚注

  1. ^ a b c d e ニンテンドードリーム 2009年7月号 Vol.183「キャラかみ」第5回 インタビュー
  2. ^ ニンテンドードリームすばらしきこのせかい』開発者インタビューより
  3. ^ a b c トロ・ステーション 2009年4月17日配信分
  4. ^ "「葛藤がテーマ」――公式記者会見で野村哲也氏「FFVII AC」を語る". ITMedia (2005-9-1). 2007年5月13日 閲覧。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク