遠赤外線天文学成層圏天文台
遠赤外線天文学成層圏天文台 (The Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy: SOFIA) はアメリカ航空宇宙局 (NASA) とドイツ航空宇宙センター (Deutschen Zentrum für Luft- und Raumfahrt : DLR) の共同計画による、“飛行天文台”である。登録記号N747NA。
宇宙研究大学連合 (Universities Space Research Association: USRA) は1996年にNASAから、アメリカの担当部分である観測装置の開発・運用と管理を委託され、DSI(ドイツSOFIA研究所)がドイツの担当部分(おもに科学と望遠鏡)を管理した。
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概要 [編集]
SOFIAは高度41,000フィート(12km)の成層圏に遠赤外線観測用の2.5m反射望遠鏡を運ぶための航空機で、ユナイテッド航空の定期便であったボーイング747-SPから改造された。地球大気に含まれるほとんどの水蒸気(赤外線の一部は地表の観測施設に達する前に水蒸気に吸収されてしまう)の上に到達することができ、また、地球上のあらゆる観測ポイントに移動することができる。機体後部側面のドアから望遠鏡による観測を行う。当初は、1~655マイクロメートルの赤外線観測装置と0.3~1.1マイクロメートルの高速光学観測装置など、9つの観測装置を装備する。
SOFIAの最初の科学的目標は惑星の大気および地表の研究、彗星の構造・進化・構成の研究、星間物質の化学および物理学的研究、恒星およびその他の天体の組成に関する研究である。
飛行のための準備が整えば、これからの20年間に週3~4日のペースで観測のための夜間飛行を行うことが予定されている。SOFIAはエドワーズ空軍基地(カリフォルニア州ランカスター)にあるNASAのドライデン飛行研究センターを基地とする予定である。
望遠鏡 [編集]
SOFIAは直径2.5mの反射型望遠鏡を用いており、直径2.7mの主鏡は赤外線用のものとしては最大である。SOFIAの望遠鏡は今まで航空機に搭載されたものとしては最大のものであり、地表設置の観測装置と比較すると中規模のものである。
このプロジェクトには主鏡をすばやく再コートするための、モフェットフィールド(カリフォルニア州サンタクララ)のミラーコーティング施設も含まれている。
DLRは望遠鏡全体の組み立てに責任を持っている一方で、NASAは航空機に責任を持っている。望遠鏡の製造はヨーロッパの企業に下請けされた(架台はドイツ、主鏡はフランス、副鏡はスイス)。
ミッションごとにひとつの変更可能な科学観測装置を望遠鏡に取り付けることができる。一般的な観測目的のために2つの装置が利用できる。さらに研究者は特別な目的のための観測装置をデザインし、組み込むことができる。
航空機 [編集]
SOFIAに用いられている航空機はボーイング747-SPである。パンアメリカン航空によって1977年5月に運用を開始された。“SP”は、通常モデルよりも長距離の飛行に適した747の特別な短縮ボディバージョンを意味している。
パンアメリカン航空はこの機体を著名な飛行家、チャールズ・リンドバーグにちなんでクリッパー・リンドバーグと名付けた。この機体はリンドバーグ婦人、アン・モロー・リンドバーグにより個人的に洗礼を受けた。リンドバーグの歴史的偉業である1927年のニューヨーク-パリ間の大西洋単独横断飛行50周年を記念して、1977年5月6日に運航を開始した。
1986年2月にユナイテッド航空がこの機体を購入し、9年後の1995年12月に退役させた。NASAはSOFIAプロジェクトのためにこの機体をユナイテッド航空から購入した。この機体は飛行天文台としての新しい役割のために、L-3 Communications Integrated Systems社(テキサス州ウェイコ)によって大改造を受けた。別の747SPの一部を利用したフルサイズモックアップが作られ、改造の準備と確認に用いられた。
SOFIAの処女飛行は2007年4月26日に行われた。試験終了後には航空機はエドワーズ空軍基地から移動し、エバーグリーン国際航空によってモフェットフィールドのNASAエイムズ研究センターで運用および維持されることになっている。2007年5月21日、リンドバーグの大西洋単独横断飛行80周年を記念して、この航空機は改めてクリッパー・リンドバーグと名づけられた。
プロジェクトの発展 [編集]
SOFIAは最初の地上テストを2004年8月18~19日に行い、ポラリス(現在の北極星)を撮影した。
2006年2月にNASAはプロジェクトを再検討することとし、その作業を中断している。NASAは、SOFIAの開発を継続するための乗り越えるのが難しい技術的およびプログラム上の問題が存在しないと結論付け、2006年6月15日にSOFIAは再検討の状態を脱した。2007年12月には飛行中の望遠鏡制御の技術的試験を開始した。
2009年12月には、初めて望遠鏡ドアを開けたままの飛行が行われた[1]。これは飛行中の望遠鏡周辺の空気の流れの影響を見極めるためのものであった。これに次いで2010年5月には、初めて飛行しながらの天体観測(ファーストライト)に成功した[2]。この観測にはコーネル大学が開発したSOFIA微光天体赤外線カメラ(Faint Object infraRed CAmera for the SOFIA Telescope, FORCAST)が用いられ、波長5.4マイクロメートルと37マイクロメートルの赤外線で木星が撮影された。
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
参考資料 [編集]
- ^ “News and Updates 2009”. SOFIA science center (2009年12月18日). 2012年2月24日閲覧。
- ^ “News and Updates 2010”. SOFIA science center (2010年5月28日). 2012年2月24日閲覧。