道の駅信州蔦木宿

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信州蔦木宿
道の駅「信州蔦木宿」 - panoramio
所在地
399-0214
長野県諏訪郡富士見町
落合1984番地1
座標 北緯35度51分48秒 東経138度16分37秒 / 北緯35.86328度 東経138.27692度 / 35.86328; 138.27692座標: 北緯35度51分48秒 東経138度16分37秒 / 北緯35.86328度 東経138.27692度 / 35.86328; 138.27692
登録路線 国道20号
登録回 第14回 (20017)
登録日 1998年4月17日
開駅日 1999年4月1日
営業時間 8:00 - 22:00
外部リンク
地図
テンプレート プロジェクト道の駅

道の駅信州蔦木宿(みちのえき しんしゅうつたきじゅく)は、長野県諏訪郡富士見町にある国道20号道の駅である。

概要[編集]

道の駅信州蔦木宿の横を流れる釜無川
駐車場から降りる釜無川

名の由来となっている甲州街道蔦木宿は、江戸時代信州の玄関口となる宿場町として、幕府奉行所公認の民間運輸・中馬によって栄えたところで、道の駅の建物はその当時の様子をしのばせる木造建築が並び雰囲気を醸している[1][2][注 1]

毎年11月3日に「新そば祭り」を開催してオーケストラ演奏やよさこい踊りの披露など多彩な催しを展開するほか、「夏祭り」や秋の「新米まつり」などの年中行事や、冬季を除いて毎月開催されるフリーマーケット、6月 - 10月の最終日曜日の「新鮮野菜市」などを開催するイベント会場として[3][4]、また、諏訪郡歌体操お披露目会や農家向けの勉強会などを行う地域のコミュニティセンターとしても活用されている[5][6]

八ヶ岳中信高原国定公園に含まれる富士見町は、八ヶ岳連峰西麓の裾野に位置し、登山やハイキング、スキー、ゴルフなどを楽しむことができる避暑地として知られる[7]。道の駅信州蔦木宿は釜無川に面し、桜並木に囲まれた駐車場から徒歩で川辺に降り、景色や川遊びを楽しむことができるスポットともなっている[注 2]

施設[編集]

富士見町国土交通省の協同で整備、運営されている。駐車場・トイレ・情報ステーション・除雪ステーションを国土交通省が管理し、休憩・情報コーナー・レストラン・物産館・温泉等の地域振興施設部分を富士見町が管理する[7]

地域振興施設を実際に運営しているのは、2006年(平成18年)4月以降、町から指定管理者の指定を受けた「信州蔦木宿推進協議会」である[8]。信州蔦木宿推進協議会は、宿場町時代の賑わいを取り戻すことを願い、地域住民が出資し合って結成したという[9]。野菜直売所で販売されている農産物は、近隣の茅野市原村のほか、山梨県北杜市からも入荷している[9]

地域文化を紹介する施設としても充実を図っており、敷地内に、諏訪大社の例祭で長野県指定無形民俗文化財でもある御柱祭で実際に用いられためどてこを展示する。

国土交通省管轄[編集]

道の駅「信州蔦木宿」にあるEV充電スタンド
  • 駐車場
    • 普通車:90台[10]
    • 大型車:18台
    • 身障者用:4台
  • EV充電スタンド:1台
  • トイレ (身障者用のみ24時間利用可能)
    • 男:大 2器、小 5器
    • 女:5器
    • 身障者用:1器
  • 公衆電話(24時間利用可能)[11]
  • 情報ステーション(8:00 - 22:00) - 道路情報や気象情報をスクリーンで常時放送する[11]。JR時刻表など周辺のアクセス情報も備える。
  • 除雪ステーション

地域振興施設[編集]

  • インフォメーションカウンター(情報コーナー)
  • レストラン
  • 物産館
  • スタンプ
  • 休憩室
  • 温泉

温泉「つたの湯」[編集]

温泉施設「つたの湯」

浴場は大浴場、露天風呂、源泉かけながしの湯、ジャグジー、サウナがあり、休憩室を備える[1]泉質ナトリウム及びカルシウムを含む硫酸塩塩化物温泉の天然温泉で、源泉の温度は32.7度。一般に温泉に共通する筋肉痛などの疾患・疾病のほか、切傷・火傷・慢性皮膚病などの皮膚疾患、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症によいとされている[12]。館内は床暖房を完備する[13]。約100名が休息できる和室休憩室は、食べ物を持ち込むことができ、湯茶の無料サービスがある[11]

毎月26日は、「風呂の日」のイベントとして、「りんご湯」「ゆず湯」「しょうぶ湯」「ミント風呂」「ヒノキ風呂」等の季節ごとに変わり風呂を設置し、抽選会やドリンクサービスを行っている[4][14]。また、新年最初の営業日を「初湯祭」として、年賀タオルや甘酒のサービスが行われる[15]

入湯料金は、中学生以上大人600円、4歳以上小学生400円[12]。併設のレストラン「てのひら館」では食事と入浴券がセットになった「温泉セット」メニューがあり、別々に支払うより割安である[13]。12枚つづりの回数券は、表紙の裏に記名して提出すると抽選で景品が当たる抽選会が年2回行われる[16]。「つたの湯」の営業時間は10:00 - 22:00となっているが、最終受付は21:30まで[12]

館内に「小さな整体室」を備え、専任の整体師が常駐している[16]。1回15分以上60分までの整体は予約制で、電話での予約も受け付けている。整体室の営業時間は11:00 - 19:00、最終受付は18:00。整体室に限り、火曜水曜が定休日となっている[16]

レストラン「てのひら館」[編集]

レストラン・物産館
「てのひら館」の焼き鯖のせ蕎麦(荒挽き)

レストランでは、八ヶ岳山麓産のそば粉を使用する10種類以上のそばメニューのほか、地元産の米「蔦木米」や旬の食材を用いたメニューがある。そば粉は、そば殻の付いたものを粗目のふるいにかける「荒挽き」と、そば殻をすべて剥いた「丸抜き」、「丸抜き十割」の3種類で、手打ちである[9][13]。ご当地ソフトクリームとして野辺山高原の牛乳工場「ヤツレン」から直送されるジャージー牛の牛乳を使用した「ほぺ落ちソフト」がある。2016年(平成28年)6月26日には内閣総理大臣安倍晋三が公務中の昼食会で訪れ、手打ち蕎麦と「ほぺ落ちソフト」を食した写真記録が残されている[17][18][19]。道の駅信州蔦木宿は、富士見町の特産品であるルバーブの販売・加工にも力を入れており、安倍晋三は「ルバーブジャムサンド」と「真っ赤なルバーブカレー」も試食した[20][21]。ルバーブカレーは富士見高校の生徒会が「ご当地カレー」として企画開発した商品で、JA主催の「みんなde笑顔プロジェクト」東日本大会で優秀賞を受賞、レトルトパックでも販売されている[22][23]

2016年(平成28年)10月26日には、BSジャパンの番組『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の特別編、熱海から金沢を3泊4日で行く旅番組の2日目の行程で、俳優の田中要次芥川賞作家の羽田圭介、元AKB48宮澤佐江が13:00頃から約1時間滞在し、昼食をとった[24]。「ぶっかけ茄子」と「ほぺ落ちソフト」を食した記録が残る[25]。てのひら館レストランのレジ横のパネルに、3人全員のサイン入り色紙が展示されている。この番組は、2016年(平成28年)11月26日に放送された。

このほか、数名の著名人による来店記念のサイン入り色紙が残されている。オーダーストップは20:00。

物産館[編集]

物産館は、レストラン「てのひら館」とひとつづきの建物となっており、直売エリアと土産物エリアにわかれる。地元・蔦木産の小麦粉や米、卵やチーズなどの乳製品や、きくらげ、鹿肉の加工食品といった八ヶ岳山麓の幸を取りそろえ、古代米など地域の特産品や富士見町限定商品、長野・山梨両県の定番の土産物を販売する[26]

施設内の厨房「まんまる工房」では、土曜・日曜・祝日に、富士見町蔦木地区の女性グループが調理した、地元食材を用いた総菜やおにぎり、えごまおはぎ、そばいなり寿司等、郷土食を販売している[9]。おにぎりは、蔦木米と町内の「味の開発研究会」が大豆の栽培から着手する「富士見高原みそ」に旬の山菜等を加えたもので評価が高く、午前中に完売することもある[9]。町内で栽培された「赤いルバーブ」や南米原産のキヌアを入れたおにぎりなどの変わり種もある。「蔦木米」は、2017年(平成29年)には平均白米食味値が86点と高い評価を獲得している[3]。食味値は65 - 75点が標準とされ、一般に70点を超えると良質な米とみなされる[27]。蔦木米の主力は「コシヒカリ」であるが、物産館では「ミルキークイーン」や、長野県のオリジナル米「風さやか」も取り扱っている[3]

富士見高原味噌ほか、物産館の商品は電話やファックス、メールでの注文や、全国発送も行っており、会計では現金・クレジットカードのほか、suica等の交通系電子マネーのほぼすべてと、おもな電子マネーの15種類を支払いに使用することができる[注 3]。また、全館共通の割引券と引き換えることができる有効期限のないポイントカードを導入している[3]

休館日[編集]

  • 毎週火曜日 (祝日の場合、翌日)
  • 1月1日

アクセス[編集]

周辺の名所旧跡・景勝地[編集]

長野県諏訪地域振興局では、諏訪南地区一帯の名所旧跡を次の5つのブロックに分けて、田園空間施設と位置付け、それぞれの特徴を紹介している[29]。道の駅「信州蔦木宿」は、このうちの「息づく農村文化とすみきった水にふれあえるゾーン」に含まれる[30]

息づく農村文化とすみきった水にふれあえるゾーン[編集]

田園空間と八ヶ岳の眺望を楽しむゾーン[編集]

用水の歴史にふれるゾーン[編集]

  • 八幡社
  • 山の神ため池[32]
  • 八ヶ岳眺望の丘[32]

星空のはえるロマンチックな空間ゾーン[編集]

八ヶ岳の裾野に広がる縄文文化のゾーン[編集]

その他[編集]

脚注[編集]

注釈

  1. ^ 甲州街道や中山道は、公用の人馬の駅送りが最優先であったため、商人の荷物はしばしば留め置かれた。そのため商人たちは、近隣の百姓に駄賃を払い、伊那街道糸魚川街道の近隣の用を託したり、城下町に物を売りに行くついで等で荷を運ばせた。これを中馬といい、蔦木宿はこうした中馬によって栄えた。中馬は隊列を作って塩や米などを運んだ(山口徹『歴史の旅 甲州街道を歩く』吉川弘文館、2009年、134頁。)。
  2. ^ 河川敷は、車両乗り入れやキャンプ、BBQ等火気の使用は禁止されている。また、熊、マムシの出没が確認されており、注意を要する。(現地掲示物より。)
  3. ^ チャージ及び返金は不可。PiTaPaは使用できない。

出典

  1. ^ a b ロム・インターナショナル 2005, p. 198.
  2. ^ 山口徹『歴史の旅 甲州街道を歩く』吉川弘文館、2009年6月、134頁。ISBN 978-4-642-08022-4 
  3. ^ a b c d 道の駅信州蔦木宿トップページ”. 道の駅信州蔦木宿. 2018年7月28日閲覧。
  4. ^ a b 道の駅信州蔦木宿イベント”. 道の駅信州蔦木宿. 2018年7月28日閲覧。
  5. ^ 諏訪郡歌体操”. 道の駅信州蔦木宿公式ブログ. 2018年7月28日閲覧。
  6. ^ 土づくり勉強会”. 道の駅信州蔦木宿公式ブログ. 2018年7月28日閲覧。
  7. ^ a b 現地「道の駅信州蔦木宿」看板より
  8. ^ 富士見町指定管理者制度”. 2018年7月27日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 「ライフスタイル信州蔦木宿」『信濃毎日新聞』、2017年5月21日、13面。
  10. ^ 『道の駅 完全ガイドブック』コスミック出版、2014年8月28日、91頁。ISBN 978-4-7747-5958-6 
  11. ^ a b c 道の駅信州蔦木宿施設案内”. 道の駅信州蔦木宿公式サイト. 2018年7月28日閲覧。
  12. ^ a b c 現地「蔦木温泉つたの湯ご案内」看板より
  13. ^ a b c 道の駅「信州蔦木宿 / つたの湯」はクルマだからできる寄り道 国道20号”. Response. 2018年7月27日閲覧。
  14. ^ 2/26風呂の日はヒノキ風呂”. 道の駅信州蔦木宿公式ブログ. 2018年7月28日閲覧。
  15. ^ 初湯祭”. 道の駅信州蔦木宿公式ブログ. 2018年7月28日閲覧。
  16. ^ a b c 道の駅信州蔦木宿温泉”. 道の駅信州蔦木宿. 2018年7月28日閲覧。
  17. ^ @tsutakijuku (2016年6月26日). "「新鮮野菜市」が先程無事終了しました! お越し頂きました皆様ありがとうございますm(__)m そして本日は安倍晋三内閣総理大臣にもお立ち寄り頂き、当駅自慢の手打ち蕎麦とソフトクリームを食べていかれましたよ★ また詳しくはブログ等で★". X(旧Twitter)より2018年7月28日閲覧
  18. ^ 2016年のふりかえり”. 道の駅信州蔦木宿公式ブログ. 2018年7月28日閲覧。
  19. ^ 安倍首相と昼食会で意見交換”. 2018年7月27日閲覧。
  20. ^ 富士見町の赤いルバーブ”. 2018年7月27日閲覧。
  21. ^ 真っ赤なルバーブ”. 富士見町ルバーブ生産組合. 2018年7月27日閲覧。
  22. ^ 富士見高校生がプロデュース”. 2018年7月28日閲覧。
  23. ^ 希少な赤ルバーブで公約実現!?「真っ赤な高原カレー」”. 2018年7月28日閲覧。
  24. ^ ローカル路線バス乗り継ぎの旅 バックナンバー”. 2018年7月27日閲覧。
  25. ^ ローカル路線バス乗り継ぎ人情ふれあい旅 特別編 お問い合わせ”. 2018年7月27日閲覧。
  26. ^ 道の駅信州蔦木宿 直売所・土産物”. 道の駅信州蔦木宿. 2018年7月28日閲覧。
  27. ^ ごはんの食味”. 米・食味鑑定士協会. 2018年7月28日閲覧。
  28. ^ a b c 道の駅信州蔦木宿アクセス”. 道の駅信州蔦木宿公式サイト. 2018年7月28日閲覧。
  29. ^ 田園空間施設”. 長野県. 2018年7月28日閲覧。
  30. ^ 現地看板「田園空間博物館・諏訪南地区」より。
  31. ^ 諏訪三十三観音霊場一覧”. 2018年7月28日閲覧。
  32. ^ a b c d e f g h 田園空間施設詳細”. 長野県. 2018年7月28日閲覧。
  33. ^ 井戸尻考古館”. 2022年5月16日閲覧。
  34. ^ ドルメン類似遺跡”. 公益財団法人八十二文化財団. 2018年7月28日閲覧。
  35. ^ 乙事諏訪神社”. 諏訪大社と諏訪神社. 2018年7月28日閲覧。
  36. ^ 諏訪八十八番”. 2018年7月28日閲覧。
  37. ^ 八ヶ岳自然文化園”. 2018年7月28日閲覧。
  38. ^ 諏訪地方の繰越堰を拓いた坂本養川”. 農林水産省. 2019年7月9日閲覧。
  39. ^ a b c d 田園空間博物館の概要・茅野市”. 長野県. 2018年7月28日閲覧。
  40. ^ 康耀堂美術館”. 2018年7月28日閲覧。
  41. ^ 竜神池”. 長野県茅野市観光情報サイト. 2018年7月28日閲覧。

参考文献[編集]

  • ロム・インターナショナル 編『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。ISBN 4-309-49566-4 
  • 『道の駅完全ガイドブック』(最新版)コスミック出版〈COSMIC MOOK〉、2014年8月28日。ISBN 978-4-7747-5958-6 
  • 「ライフスタイル信州蔦木宿」『信濃毎日新聞』、2017年5月21日、13面。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]