速読術

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速読術(そくどくじゅつ、:speed reading)は文章を速く読むための技術であり、時には読書法も含まれる場合ある。読書速度を向上させ、効率的に大量の書物を読破する技術である。

概説[編集]

速読術を習得するには、視野を広げたり、理解度の向上が必要であるが、さらに情報を引き出す速度を改善する必要もある。速読のを作るための訓練と、速読のを作るための訓練が必要であるといえる。

Eye-exercise-for-speed-reading.gif

いくつか速読の方法論があり、かっては上記のような文字を写真記憶するなどの、強く個人の才能に依存する方法が主流であったが、徐々に科学的な訓練方法が確立されつつある。

読解のためには、文書に対応した知識が頭の中にインプットされていなければできない。読書する際、無意識のうちにインプットしてある知識の中から、内容に応じて適したものをアウトプットしている。

このプロセスの速度を上げることが出来れば、実用的な速読を習得できる。

日本では速読、能力開発に関して特許を取得した川村明宏氏、栗田式SRS速読法の栗田昌裕氏などが有名である。

状況に応じた読みわけ[編集]

ここでは便宜上、速読を「全体理解」と「精読」に分類する。

全体理解 全体を大雑把に理解する読み方であり、あらすじやテーマをとらえて約70%の理解度で読み進める。
精読 正確に理解して記憶に残るような読み方で、情報を分析しインプットするための読みである。

樹木に喩えると、「全体理解」で大枝を捉え、全体のイメージを掴み、「精読」で葉っぱなど細かな部分にまで注意を向ける。専門書や試験問題を読んで学習するためには、この「精読」の読み方が中心となる。

視読を使った速読[編集]

一般的な速読のみだと無意識に音読してしまう癖のため速読速度が5,000文字/分程度で止まってしまう。 これ以上の速読速度を得るためには視読が必要になる。 視読を行えるようになると、文字を見た瞬間意味を脳が反射的に理解できるようになり、驚異的な読書速度(熟練者で100,000文字/分)を突破する場合もある。

具体的な訓練方法[編集]

一定の間隔を開けた●と●の間を行き来する、2行以上まとめて読むなどの方法、パソコンや専用の機械を用いた訓練法等がある。

簡単に効果を実感できるものとして、以下のようなものがある(ただし速読法は様々な種類があるので、これはあくまで一例である)。

  • 用意するもの - 興味ある分野の本、ストップウォッチ
  • 其の1 - 1分間にどの程度読めるか、読書速度を計る。
  • 其の2 - 本をパラパラとめくりながら、1分程度活字を眺める。
  • 其の3 - 次に1ページあたり、1秒程度の速度で眺める。こちらも1分程度。
  • まとめ - これで2倍程度の読書速度に向上しているはずである。ただしこれは一時的な効果でしかない。ここから読書速度を向上させたり維持させたりするためには更なる訓練が必要である。


速読術の効果と諸言語[編集]

日本語の速読[編集]

漢字表意文字であるため、イメージ化しやすいという特徴がある。日本語には、漢字平仮名があるので、漢字に注目して読んでいけば、自然に速読することができる。また、目次ページを最初によく見ておけば、章タイトルで筆者が何を言いたいのかが、理解しやすくなる。

英語の速読[編集]

多くの日本人は1分間に100語以上の速さで英文を読むことができない。返り読みをせずに、英文を頭から読み下すことが必要である。自然な速さで英文を音読することで英文を読む速さを高めることができる。スローダウンしていない自然な速さのリスニングにも同様の効果がある。

しかし、英文を音読した場合、1分間に150語程度が限界だと言われている。それ以上の速さを目指すのであれば黙読し、内言(心中発声)を止めなければならない。日本語の速読術と同様の方法が必要となるのはこのレベルからである。

名詞動詞などの内容語に注目し、冠詞前置詞代名詞などの機能語を軽く読むと良い。however, for example などのディスコースマーカーに注目し、段落相互の関係をつかむことも必要である。

フォトリーディング[編集]

ポール・シーリイによって提唱された速読法で、一分間に25,000文字を読解することが可能だとされている。2001年にフォレスト出版から発売された『あなたもいままでの10倍速く本が読める』により日本に広まった。しかしオールド・ドミニオン大学心理学部教授のダニエル・マクナマラ博士は、NASAに提出した論文で以下のようにその効果を疑問視している[1]

これらの実験は、フォトリーディングに効果がないことを明確に示した。フォトリーディングを実践する人々が主張するような高い読解速度は観察されなかったし、実際、その読解速度は通常の読書方法のものと概ね同じものであった。さらに、フォトリーディングの熟練者がフォトリーディングのテクニックを使った場合、通常の読書方法と比べて読解時間の増加が見られた。この増加は、テキストの内容把握の低下を伴ったものだった。[2]

eyeQ[編集]

アメリカではeyeQと呼ばれる速読法が行われており、学生の学習能力の向上や企業の業務効率改善に効果を発揮している。

参考図書[編集]

  • 寺田昌嗣, 玉城博正『決定版! 超カンタン速読入門』(2002年、金の星社)
  • 川村明宏 『かんたんスポーツ速読トレーニングドリル』(2010年、毎日コミュニケーションズ)

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20000011599_2000009345.pdf
  2. ^ These results clearly indicate that there is no benefit to using the PhotoReading technique. The extremely rapid reading rates claimed by PhotoReaders were not observed; indeed the reading rates were generally comparable to those for normal reading. Moreover, the PhotoReading expert showed an increase in reading time with the PhotoReading technique in comparison to normal reading. This increase in reading time was accompanied by a decrease in text comprehension.(上記1のURLを参照のこと)