輔祭

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振り香炉を準備する三人の輔祭。ステハリを着用し、オラリと呼ばれる帯を肩から垂らしている。
ベツレヘム降誕教会の中を歩く、祭服を着用した状態のギリシャ正教会の輔祭の姿。ステハリを着用し、オラリと呼ばれる帯を肩から垂らしている。カミラフカと呼ばれる帽子も着用しているが、スラヴ系の正教会ではカミラフカをかぶる輔祭は一定の功績・年功を積んだ者に限られる。

輔祭(ほさい)は正教会における神品(聖職者)の職分のひとつ。日本正教会の訳語。主教司祭の許(もと)で、主教・司祭を補佐する。輔祭の中に細分化された位階として、首輔祭長輔祭がある。稀に「補祭」との表記が見られるがこれは誤りである。

他教会との比較では、カトリック教会助祭聖公会執事に相当する。なお、正教会における「執事」は、他教派では一般の信徒が務める「教会役員」等に相当するため語義に注意が必要である。

正教会の聖職者システムと位階の名称等については神品教衆を参照

  • ギリシャ語:Διάκονος
  • ロシア語:Диакон
  • ウクライナ語:Дяк
  • 英語:Deacon

目次

[編集] 名称・呼称

ギリシア語のディアコノス(διάκονος、奉仕者の意)を語源とする。この語は正教会訳ではディアコンとルビを振った上で役事と訳される事もあるが、現在の教会制度のなかで役事の語がこの職を指して使われることはない。

信者が主教による神品機密を受け輔祭となる。敬称として「尊師」があるとされるが、日本ハリストス正教会ではこの敬称を用いる事はまずない。書き言葉での敬称としては「」が用いられる事が多い(正教時報など)。話し言葉での敬称は「輔祭さま」「輔祭さん」が用いられる。

[編集] 概要

聖体礼儀などの奉神礼に立つときはステハリ(カトリックのアルバ聖公会アルブに相当)を着て、左肩からオラリ(カトリックのストラ、聖公会のストールに当たる)を垂らす。司祭と異なり聖体礼儀などの機密を執行することができない。輔祭は在俗輔祭と修道輔祭に分けられ、功績、主教の祝福により長輔祭(protodeacon)、首輔祭(archdeacon)に昇叙される。

在俗輔祭には妻帯が許されるが、神品機密を受けた後の妻帯は許されない。また再婚することはできない。ただし現在は、結婚相手が再婚者であることは問題とならない。在俗輔祭は司祭と異なり、教会に専従する者ばかりではなく自らの生業を持った上で無給与で奉職する者も多い。これを「自給輔祭」と呼ぶ。日本ハリストス正教会では、2008年現在、在俗輔祭の殆どが自給輔祭である。

ビザンチン奉神礼における聖体礼儀では、輔祭の役割には、以下のことがらが含まれる。

  • 開始を告げる:「(司祭に対し)君や、祝讃せよ」
  • 各種の連祷において、教衆を先導し、祝文を誦する。
  • 使徒経を朗誦する…一般信徒や誦経者が務める事も出来るが、本来は輔祭の職掌とされる。但し、輔祭はどこの国の正教会でも慢性的に不足しており、実際には使徒経は一般信徒や誦経者が朗誦する事の方が圧倒的に多い。
  • 福音経を奉読(ほうどく)する。
  • 炉儀を行う。

また、副輔祭という教役もあるが、これは神品機密の対象ではなく、主教の祝福によって就くものである。東ローマ帝国皇帝は副輔祭としての祝福を得ていた。奉神礼での誦経堂役を主立って担う役目にある。

副輔祭」も参照

[編集] 女性輔祭・女輔祭

初期教会の時代から主教・司祭は男性の職分であり、初期教会のものとされる「聖使徒規則」では女性が就くことを禁じている。但し近現代に入り、女性輔祭がかつて存在し、大きな役割を与えられていたことについての研究もなされている。ロシア正教会では1917年ロシア革命直前期において行われていたロシア正教会公会準備期間中に、女性輔祭制度復活については真剣に討議されていた。しかしながらロシア革命とその後の共産主義政権による弾圧によって、この公会準備期間において討議されていたいくつかの改革案とともにこれは頓挫した[1]

一方で、東方正教会の一部にはギリシアを中心に古代から「女輔祭」という職分を任じる伝統があるが、これは副輔祭と同様の役割を荷うものであり、輔祭とは基本的に役割と地位を異にする。

[編集] 脚注

  1. ^ 出典:イラリオン・アルフェエフ著、ニコライ高松光一訳『信仰の機密』88頁、東京復活大聖堂教会、2004年

[編集] 外部リンク