軍隊を保有していない国家の一覧
軍隊を保有していない国家の一覧(ぐんたいをほゆうしていないこっかのいちらん)では、軍隊を保有していない国家を一覧するとともに、またこの理由について述べる。なお、ここで言う軍隊とは、準軍事組織である警察軍や国境警備隊、沿岸警備隊などを含まない。
軍隊を保有していない国家は、国防に関して集団安全保障体制に加盟するか大国に防衛を依存していることが多い。保護国の場合は当然に、宗主国の庇護に頼る事になる。また、国土面積や人口の小さなミニ国家に分類される国が多い。
日本(陸・海・空の自衛隊)の場合は、外国から侵略を受けた場合などの自衛権の行使については、政治家や研究者の間で様々な意見の相違が見られる。
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軍を保有しない理由 [編集]
これらの国が軍を保有しないのにはいくつかの要因がある。
外交・経済上の理由 [編集]
周辺国との深刻な対立がないため、軍事的な脅威にさらされる危険性がなく、その国自身も軍事的な活動を行なう意思がないため、軍を編成する必要を政府や国民が認めないような場合や、実戦に堪えられる程度の兵員数と兵器を経済的理由でそろえることができなかったりする場合、その両方である場合があげられる。
軍を保有しない理由としてはもっとも一般的であり、ヨーロッパや太平洋、インド洋のミニ国家はこのケースであることがほとんどである。
なお、ミニ国家に分類されるものの、経済力が高く軍事的な脅威も潜在的に存在するシンガポール、ブルネイ、バーレーンは、人口上の理由により小規模ではあるものの、最新鋭兵器を多数そろえた軍隊を維持している。また、バルバドス、アンティグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネビス(1980年に現役部隊が廃止されるが、1997年に復活)などカリブ海の英連邦諸国は、治安維持や沿岸警備を主任務とする数百人規模のイギリス式の軍隊を保有している。
アフリカのコモロは経済的理由から国軍を保有せず、防衛を主に白人の外国人傭兵に一任してきた。しかし、傭兵によるクーデターやテロが頻発し、旧宗主国のフランスが軍事介入するまでに至ったため、現在は小規模な国軍を保有している。
クーデター・内戦の予防 [編集]
幾度となく軍隊がクーデターを起こしてきた過去がある場合、根本的解決をはかって、政情不安の直接の元凶である軍隊を解散させる。
中央アメリカのコスタリカやハイチ、ドミニカ国が該当する。ただし、ハイチでは軍を解散したため、地方での内乱を鎮圧できず、大統領が亡命を余儀なくされる事態が発生するなど、相応のリスクもある。
特異なケースとしてインド洋のセーシェルが存在している。元々軍隊を保有していなかったものの、1977年に左派政治家と彼を支持する武装民兵によるクーデターが発生後、旧東側式の人民軍が結成されたケースがある。
周辺国の介入、外国軍の占領による強制的な軍の解体 [編集]
- 大国が小国の政権を直接武力介入で打倒した後、自国に都合のよい政権を樹立する事が専らである。この新政権に対する再度のクーデターの予防措置として、旧政権の支持基盤であった軍隊を強制的に解体させる事で安定を図る。1980年代にアメリカ合衆国の軍事侵攻を受けたグレナダやパナマが該当。
- 戦勝国が敗戦国を占領し、軍隊を解体。駐留する戦勝国軍が専ら防衛を担う場合。1955年の再軍備前の東西ドイツ、第2次世界大戦直後の日本など。
一覧 [編集]
ヨーロッパ [編集]
アイスランド - 軍は保有していないが、北大西洋条約機構に加盟している。アメリカ軍がアイスランド防衛隊として駐留していたが、2006年に撤退している。沿岸警備隊の他、外務省が平和維持目的で国外派遣する危機対応部隊を保有しているが、これらの法的位置づけが政治問題となっている。詳細はアイスランドの軍事を参照。
アンドラ - フランスとスペインの保護国であり、両国に防衛を依存。
サンマリノ - 通常の意味での軍隊は保有していないが、警察・国境警備隊のほか、城塞警備隊、大評議会衛兵憲兵隊及び民兵隊よりなる護衛隊が任務にあたる。
バチカン - 通常は警備のスイス傭兵のみだが、ヨハネ・パウロ2世の葬儀では、イタリア軍が警備に協力するなど、地理、政治的には実質イタリアの保護下とも言える状況にある。
モナコ - フランスの保護国であり、同国が防衛の責任を持つ。大公銃騎兵中隊を保有している。
リヒテンシュタイン - コスト面から1868年に軍を解体、現在は警察(約100人)のみ保有。スイスの保護国であり、外交と国防を代行する同国が防衛の責任を持つ。
中央アメリカ [編集]
コスタリカ - 憲法では「恒久的制度としての軍隊を廃止」と常備軍の廃止を規定しているものの、有事には徴兵制を行い軍を組織できることになっている。また、7,500人規模のミサイルやヘリコプターも持つ地方警備隊を常時保有。イギリスの国際戦略研究所などでは、コスタリカの治安警備隊を含めた総警察力を準軍隊として扱っている。この準軍隊である組織の予算も隣国ニカラグアの国軍の3倍近くあり、実態は非武装国家ではない。
パナマ - アメリカ軍のパナマ侵攻により1990年に軍が解体された。1994年改正の憲法で軍の非保有を宣言。警察や沿岸警備隊などの人員は11,800人以下に制限。
カリブ諸国 [編集]
グレナダ - 警察軍(900名規模)のみ。以前はグレナダ人民革命軍を編成していたが、1983年のグレナダ侵攻により解体された。
セントビンセント・グレナディーン - 独自の軍は保有していないが、王立の警察軍があり、首相が内相、国防相を兼ねる。また、OECS加盟国にバルバドスを加えた7カ国での域内安全保障システムを持っている。
セントルシア - 軍は保有していない。王立セントルシア警察隊が警備を担当している。
セントクリストファー・ネイビス
ドミニカ国 - 軍によるクーデターがあったため、1981年以降軍を保有していないが、国家警察(約300人)を保有している。
ハイチ - 1994年の軍事政権退陣後に軍を解体。反政府武装勢力の台頭で国内が混乱するも、軍の再保有は成されていない。国家警察軍(7,300人規模)を編成。また、近年では食糧危機などから暴動が頻発しており、国連から治安維持のための人員が派遣されている(MINUSTAH)。
オセアニア [編集]
キリバス - 警察と沿岸警備隊のみ保有。
クック諸島
サモア - ニュージーランドが防衛の責任を持つ。
ソロモン諸島 - 軍は保有していないが、1998年から2001年にかけての民族衝突事件以来、平和維持のためオーストラリア軍を主力とする近隣諸国が部隊を派遣している。
ツバル - 警察と海難救助組織のみ保有。
ナウル - 非公式ではあるが、オーストラリアに防衛を依存。
ニウエ
パラオ - 非核憲法を持つが、アメリカが防衛の責任を持つ。
バヌアツ
マーシャル諸島 - アメリカが防衛の責任を持つ。
ミクロネシア連邦 - アメリカが防衛の責任を持つ。
インド洋の島国 [編集]
参考文献 [編集]
- 前田朗著『軍隊のない国家 27の国々と人びと』日本評論社、2008年4月25日第一版第一刷、ISBN 978-4-535-58535-5
この書籍においては、上記の26カ国のうち、ハイチを除いた25カ国、それに、ルクセンブルク、モルディブを加えた27カ国を分析している。
ハイチは、この本の発刊後に、軍隊を持たぬ国に移行した。
関連項目 [編集]