超兵器

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超兵器(ちょうへいき)は、その時代・地域の技術水準を上回る革新的な兵器、または極めて破壊力の大きな兵器をいう。主に俗称。

概要[編集]

定義的には、非常に曖昧ではあるが、対抗技術が存在しない兵器形体などがこれにあたる。例えば『戦国自衛隊』のように、歩兵により白兵戦を行っていた時代に現代兵器を持ち込んだ状態、というのがイメージし易い。

フィクション作品では、しばしば主人公や敵のボスが搭乗する機体が超兵器として描かれるが、これは「一人を助ければ、その間に数百人が死んでしまう状況にあるヒーローのジレンマ」のようなもので、現実にはたった1機の超兵器で戦線を維持・防衛したり戦争に勝つのは困難である。また「超」を冠するような性能を実現させるには、膨大なコストと時間を必要とするなど、局面が切迫している状況では悠長に超兵器を製造している余裕がない。より現実的な戦略の面では、信頼性の高い兵器を量産し、それを前線に送り届け、また確実に稼動させる補給体制が重要で、またそれらは末端の兵士でも整備可能な、単純な構造が求められることも意味している。

性能差と生産性・整備性と[編集]

前述の場合は極端な性能と極端な量的格差を例にとったものではあるが、しばしば実際の戦略の上では「性能を重視して生産性を犠牲にする」のか、あるいは「生産性や扱い易さを重視して性能を低めに設定する」のかで運用を含む戦術や、結果である戦局に影響が出る。

実史における一つの例としては、工業生産力に勝るアメリカ軍が導入したM4中戦車が辿った歴史が示唆に富んでいる。この中戦車は、大量生産を前提として、戦車開発に先んじ強力な戦車を多数保有するナチス・ドイツ軍を数で圧倒することを目指した。一方、資源的に限界のある日本軍に対しても太平洋戦争で導入され掃討に運用されたため、威力を発揮した。

しかし肝心のヨーロッパ・北アフリカ戦線では、軽快な運動性能や生産性を重視しての簡略な構造もあり、またアメリカ軍の戦車戦に関する決定的な経験不足もあって、工業製品としては工業大国の経験が生かされ完成されたものではあり、車両としては故障も少なく信頼性や稼働率も高かったが、肝心の兵器としては重厚長大への指向もあったドイツ軍重戦車から一方的に損害を与えられるなど、極端な戦力差を発生させ、実際問題としてドイツ軍が主力としていたIV号戦車との戦力差でさえ1:5(IV号戦車:M4中戦車)にも及んだ。また、初期型の軽量な砲の打撃力不足も致命的となった。

このため、重砲や戦闘爆撃機といった支援火力を充実させることで戦車の性能差を補うと共に、開発段階での改良も続けられた。第二次世界大戦当時の前線の兵士は、形振り構わぬ創意工夫で生存性を高めようとあらゆる手段を試みたことも記録に残されている(→M4中戦車#武装)が、ドイツ軍がさらに高性能なV号戦車パンターを投入したこともあり、M4中戦車はついにドイツ軍戦車との戦力差を克服することはできなかった。

一方、工業製品として整備性・互換性を重視した結果、M4中戦車は改良型や派生車種を数多く生み出すこととなり、派生型の最終形態に位置するスーパーシャーマンとして1980年代まで現役として使用され続け、更にはその車体を流用した派生軍用車両も存在し、他に類を見ない長命なシリーズとなった。

一概に「高性能な兵器で少数精鋭を目指す」のか「信頼性や生産性に優れる兵器により数で圧倒する」かのどちらを選択するかは、近代から現代にかけての戦争では国家総力戦の様相を呈するため、その国の政策レベルでの思想の違いにもより様々である。

フィクション作品中に見る超兵器[編集]

超兵器は現実的観点からするとあまり実際的なプランではないが、架空の物語としては、そういった「単独のヒロイズム」ないし「強大にして唯一の敵」はドラマを構築させ易く、勧善懲悪のような形とも関連して好まれる題材となっている。コンピュータゲームシューティングゲームではしばしば見られる様式ではあるが、RPGで喩えるなら「最初から最強・フル装備の勇者」となってしまいゲームが成立しないので、超兵器RPGというのはほぼ見られない。

中には、現実世界の戦車(後述)がそうであったように、超兵器が超兵器でなくなってゆく様を描いた作品も存在する。「機動戦士ガンダム」では、敵方が大量生産した超兵器に対抗すべく主人公の超兵器が造られ、更にそれを元に再設計した機体が大量生産され戦線に投入され、また敵がさらに強大な超兵器を投入することで、超兵器だったものが普通の兵器に変わってゆく様が描かれた。

なお、フィクション作品では、突出した兵器体系が存在する理由付けとして、オーバーテクノロジーのような「はるかに進んだ技術体系」の存在を出すこともあれば、(実際のそれとはやや意味が違うが)ロストテクノロジーと位置付けた上で「過去に失われた超技術」の応用としている場合もあり、その出所を超古代文明のような概念に求めることも少なくない。また、それら「現用技術の埒外な技術体系」の産物をブラックボックスとして、動作原理もわからず利用しているとする作品も見られる。

現実の超兵器[編集]

ギリシア火薬
東ローマ帝国で用いられた兵器で、ギリシア火とも呼ばれる。一種の火炎放射器のようであったとされ、7世紀に開発され、数世紀にわたり東ローマ帝国を防衛した。この製造方法は極秘とされ、記録も残されていないが、当時の描写から重油ないし油脂や硝酸を用いた火薬火工品)の一種だと考えられている。
ウルバン砲
コンスタンティノープルの戦いオスマン帝国により使用された大砲で、ウルバンの巨砲とも呼ばれた。故障の多発・次弾装填に時間が掛かるなどの欠点があり、また命中率も低かったものの、攻城兵器としての威力や迫力は驚異的であり、当時のヨーロッパに戦術や築城技術の転換をもたらした。
ドーラ(80cm列車砲
実在の巨大列車砲であるが、兵器としての運用性は極めて悪く、かなり限定された状況でしか使用できなかった。しかし、利用された場合のその長射程と威力は圧倒的優位性を示している。
V2ロケット
前述の列車砲が禁止されたことによる代替的要素も含めて開発された、世界初の弾道ミサイル。当時の技術では、迎撃も発射前の阻止攻撃も不可能な超兵器であった。弾頭は通常炸薬のままであり、しかも当時の誘導技術では「面目標のどこか」に着弾させるのが精一杯で、結局戦果は散発的な水平爆撃の域を出なかったが、同兵器の優位性は強く印象付けられ、第二次大戦後にソ連と米国による弾道ミサイルの開発・配備競争に向かわせた。
ジェット機原子爆弾
第二次世界大戦では高速戦闘や広範囲への破壊力から開発競争も発生したが、当時のジェット機は信頼性が低く、原子爆弾は圧倒的火力の代償に戦術のレベルでは制御不能な汚染を広範囲に撒き散らした。

兵器の発達と普及[編集]

ギリシャ火やドーラは別であるが、革新的な兵器は登場当初こそ優位性を示しながらも、その有効性が立証されるや、開発元以外の他国でも開発と採用が進んで、一般の兵器体系に組み入れられながら普及して、戦争の様式も変更されてゆくのが歴史の常である。

例えば機関銃自動火器)は、火器を自動化して連続発砲を可能とすることで圧倒的な火力を発揮し、一斉射の後に突撃する従来の戦法を陳腐化させ、南北戦争の時代に軍の在り方に大転換をもたらした。対峙した両陣営による機関銃での拠点の防衛は塹壕戦をうみ、にらみ合いで長期化し拡大した戦線は更なる大量殺戮のための兵器の開発や総力戦へと発展することとなる。戦車も塹壕戦による戦闘の長期化を打破するため第一次世界大戦に投入され、当時は砲撃か肉薄攻撃以外には対抗技術がなかったことから高い優位性を示した。ただ、戦後に各国に戦車が配備されると、戦車戦などの戦闘の形態が発生した。

こうして普及した兵器はもはや超兵器ではなく、一般的な兵器として扱われる。

フィクションに登場する超兵器[編集]

ウルトラシリーズ
恒星間弾道弾R1号という兵器に「超兵器」の名が冠されている(『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」)。当時盛んに議論となった冷戦時下の核兵器開発・配備に対する批判的な内容となっており、過剰な破壊力を持つ兵器が戦争の抑止力として果たして本当に有効なのかを問う内容である。
エースコンバットシリーズ
シリーズの各タイトルにて、それぞれ陸・海・空の分野を担当する架空の兵器が多数登場する。この中では1990年代をモチーフとしたものから、2040年を舞台としたものなど様々な作品が出ているが、年代を加味しても地対空レールガン光学迷彩の機能を持つ空中要塞など、技術的限界を抜きにした超兵器も登場する。
鋼鉄の咆哮シリーズ
ゲーム内で、1から8まであるステージの最後に特別な能力を持つ超兵器が登場し、これを撃沈すると次のステージに進むことができる。ちなみにWSG2(ウォーシップガンナー2)では「超兵器」は「超常兵器級」の略称であり、兵器の性質上分類ではない。

関連項目[編集]