リモコン

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赤外線リモコンから転送)
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エアコンのリモコン
ソニー製のリモートコマンダーを表す表示

リモコンは、リモートコントロール (remote control) またはリモートコントローラー (remote controller) の略。機器を離れた場所から操作すること(遠隔操作・遠隔制御)、または、そのときに操作のための信号を発信する側の機器(遠隔操作機器)。ただし、「遠隔操作機器」はリモコンからの信号を受信して操作される側の機器を指すこともある。

本項では一般的な呼称である「リモコン」で記述する。また以下では、(発信側の)遠隔操作機器について述べる。

概要[編集]

リモコンは、機械電子機器等を遠隔操作するためのシステムのうち、操作のための信号を送信する側の機器であり、通常、機械や機器の本体側に設けられ操作信号を受信する装置と対を成す(ただし、中には双方向通信で受信も行うものもある)。

本体との間の信号の送受信を有線で行うものと無線で行うもの(ワイヤレス・リモコン)とに大別されるが、現在では、赤外線や電波等の無線で信号の送受信を行うものが多く用いられる。一方で、携帯音楽プレイヤーのようにリモコンと本体間の距離がほぼ一定の状態で使用される簡易な装置等では有線のリモコンも用いられている。

リモート・コントローラーは、テレビビデオテープレコーダ等のAV機器、エアコン等の家電製品、電子機器、玩具等の一般家庭用機器を中心に、幅広い機械・機器の操作に用いられる。

用語[編集]

操作する機器の種類によっては、後述するラジコンのプロポのようにリモコン以外の呼び方をされることが少なくない。

リモコンという略語は和製英語であり、英語としては通じない。英語の“remote control”は、日本語でのリモートコントロールとは異なり、「遠隔操作」と「遠隔操作機器」の両方の意味で用いられる。“remote controller”も「遠隔操作機器」の意味で用いられるが、“remote control”のほうがはるかによく使われる。

歴史[編集]

Zenith Space Commander 600

最も初期のリモコンは、有線で操作を行うものであった。1955年アメリカ合衆国の音響機器メーカーであるゼニス・エレクトロニクス社のユージン・ポーリーによって世界初の無線リモコンである「フラッシュマティック」リモコンが発明されたが、可視光を使っていたため太陽光で誤動作する欠点を有していたので製品化には難があった。1956年には同じくゼニス社の研究開発部門にいたロバート・アドラーによって超音波方式のテレビ・リモコン「スペース・コマンド」が製品として開発された。

日本での家庭用のリモコンとしては、昭和30年代にテレビ用に有線式のものが実用化された[1]。1970年代初めには、サンヨーのズバコンをはじめとする超音波を用いた無線式リモコンが実用化されたが[2]、身近な音(鍵のガシャという音)などに反応して誤作動を起こしやすかった。そのため、赤外線式リモコンが開発され[3]、現在ではこの方式が広く一般的に使われている。

初期のテレビのリモコンは、テレビ本体の回転式チャンネルと同様のインターフェースを有していた。その後、ボタン式が採用されたが、そもそも当時のテレビが複雑な操作を必要としなかったため、チャンネル切り替え用のアップ・ダウンボタン(ダイレクト選局ではなかった)と音量調節用のボタンを備える程度の単純なものであった。

録画予約等の複雑な操作が必要とされるビデオの普及に伴い、リモコンの普及と高度化が進んだ。複雑な予約の操作を本体パネルの垂直面に配置されたボタンで行うことは困難であり、番組表を見ながら手元で操作できるリモコンの必要性が高まった。とりわけ、録画予約を簡易化することが各社の命題となり、バーコード予約(ナショナルマックロードで1986年に採用)、ボイス予約(ナショナル・マックロードで1991年に採用)や液晶画面の採用等の様々な試みがなされた。そのような中で、Gコードは1990年代初め頃から各社に採用され、広く普及した。

1980年代初めには、着脱式の製品も多く見受けられた。テレビ等の操作部分を取り外すことでリモコンとして使用でき、本体に取り付ければそれ以前の製品と同じ感覚で使用できるものであった。

現況[編集]

現在では、テレビ放送の多様化やAV機器の多様化に伴い、リモコンには複数の機器の数多くの操作を行うことが求められている。このため、各社の種々の機能の操作信号をプリセットしたリモコンや学習リモコンが普及している。

また、赤外線通信機能を持つ携帯電話では、テレビなどのリモコン操作ができるものも存在する。携帯端末などの赤外線通信の規格IrDAに準拠した赤外線ポートを利用して、リモコンの信号をエミュレートできるソフトも存在する。

従来、操作する機器本体にそれ専用のリモコンが付属し、他の機器と通信することはなかったため、リモコンから送信される信号は特に互換性を考慮する必要はなく、また、機器本体の機能自体も異なるため、リモコンの各社の仕様はまちまちであった。プリセット・リモコンも、学習リモコンも、基本的にはメーカーごとに異なる個々の信号を記憶して操作を行うものである。

しかしながら、このようなリモコンでも、適切な機器を選択したり、操作を学習させる手間がかかる。また、DVDを見る際に、テレビとDVDプレイヤーの電源を入れ、DVDを再生するといった複数の機器の操作を連携して行うことは困難である。このため、CECやその拡張版であるビエラリンクのような機器制御信号と制御プロトコルの規格化も進んでいる。

赤外線リモコンのデータフォーマット[編集]

赤外線リモコンのデータフォーマット(信号の様式)は、コードと呼ばれる一連の符合になっており、その多くでは制御される側の機器を区別するカスタムコードないしデバイスコード(固有の識別子)と、各々の動作を指定するためのデータコード(例えばテレビなら「電源を入り切りする」や「チャンネルを切り替える」など)の組み合わせから成る。そしてリモコン側のボタンを操作すると、カスタムコードとデータコードが一連の信号となって発信されるよう設計されている。

これらには法的根拠のある日本国内ならびに国際統一規格は存在しない。しかしこういった信号を制御する集積回路メーカーやリモコンそのものをOEM生産するメーカーが限られていることにより、現在ではほぼ以下に述べる3種類のフォーマットに集約されている。ただし、データコード部には制御される側の機器メーカー(ベンダ)独自の拡張仕様をもつものもある。

NECフォーマット[4]
ソニー以外の殆どの映像音響機器に広く使用される。送信データは16ビットのカスタムコードと、それら機器の動作を決める16ビットのデータコード(実際には8ビットのデータコードと、その反転コードの組み合わせ)から構成される。カスタムコードのベンダーへの割り当ては、ルネサスエレクトロニクスが管理している。
家製協フォーマット
一部メーカーの映像音響機器ならびにこれ以外の家電品(エアコン・照明器具・温水便座など)に広く使用される。送信データは制御側機器を区別する20ビットのカスタムコードと、任意長のデータコードから構成される。カスタムコードのベンダーへの割り当ては、財団法人家電製品協会が管理している。
SONYフォーマット
もっぱらソニー製品に使用される。7ビットのデータコードと、5から13ビットのデバイスコードにより構成されている。

なお、これら3種類のフォーマットは信号の構成こそ異なるが、いずれも物理的にはピーク値が950nm程度の赤外線を使用し、38 - 40kHz(約25μs)の明滅パルスを搬送波(キャリア)として、それをさらにミリ秒(1/1000秒)という周期で点滅し、この点滅する間隔や長さを変化させることで二進符号化を行っている点で共通している。いわゆる学習リモコンが、多種類のリモコンのシグナルに対応できるのは、このような基本部分でのフォーマットが共通しているからである。

このようにして赤外線リモコンは、日本国内では上記のフォーマットやベンダーコードが重複しないよう配慮され、信号内容の違いにより混信や誤動作を防いでいるが、日本製品以外の家電製品では、このフォーマットに配慮しないで製造されたものもある。このため、輸入された家電品が日本製の別の機器に付属するリモコンの信号で誤動作するものがあることが知られている[5]

種々のリモコン[編集]

AV機器[編集]

最近のテレビレコーダーなどのAV機器はリモコンの使用が前提になっているが、これは遠隔操作の利便性のみならず、多機能化により本体での操作が困難になっている事が大きい。一般的に片手に持って操作しやすい大きさで板状の形をした筐体に、多くのボタンがついている。乾電池を必要とするのが普通である。

iPodや一部の携帯電話などの携帯音楽プレーヤーでもリモコンが使えるが、これは有線式が多い(無線式の場合はBluetoothを用いることが多いが、採用例は少ない)。リモコンによっては液晶画面が備えられており、再生中の曲名などが確認できるものもある。

エアコン[編集]

エアコンは部屋の天井付近に設置されることが多く、本体を直接操作することが困難なため、リモコンを備えるものが多い。冷暖房等の運転種別や温度設定も見やすいようにリモコン側に表示される。リモコンに温度センサーを備えて、利用者近辺の温度を感知するものもある。

パソコン[編集]

Windows XP/Vistaが搭載されたテレビパソコンや現行のMaciMacMacBookなど)ではリモコンが付属するモデルが多い。特にXP Media Center Edition (MCE) にはOSでありながらシステム制御の為のリモコンが付属している。

照明器具[編集]

天井などの高い場所に設置される照明器具は、本体を直接操作することが困難なので、吊りひもや壁スイッチで操作を行うことが多い。

照明器具から離れた位置で入り切り等の操作を行う壁スイッチも有線式リモコンで、メーカー等では「遠隔操作機器」等の名称で製造販売されていることもあるが、家庭ではリモコンとは呼ばない。通常のリモコンと違い動かすことができず、「部屋」を1つのシステムと考えれば、遠隔操作ではなく本体操作とも考えられる。

通常、照明器具のリモコンといえば壁スイッチより細かい「豆球」や「明るさ」や壁スイッチの点消灯スイッチが「点灯」と「消灯」が別々のど細かい操作のできることが多い無線リモコンのことをさすことが多い[6]

カメラ[編集]

カメラにおいては、撮影時の手ぶれや画角のズレを防ぐために、シャッターを遠隔操作することが古くから行われてきた。このための機械的な装置はオート・レリーズと呼ばれる。モータードライブオートフォーカスが搭載されているカメラでは、電気的なスイッチやケーブルを採用したレリーズスイッチが多い。これらの装置では、バルブ撮影に便利なようにレリーズロック機能を搭載するものが多い。近年、ワイヤレスでシャッターの操作が可能な装置が一部のコンパクトカメラやAF一眼レフカメラに付属もしくはオプションで設定され、特にデジタルカメラにおいては、ワイヤレスでシャッター以外の操作も可能な装置が付属するものも多いが、このような装置はリモコンと呼ばれることが多い。これらのリモコンでは即時レリーズの他セルフタイマー(概ね2秒が多い)で撮影可能なものもある。

温水便座[編集]

ウォシュレットのリモコン制御盤

ウォシュレット等、温水便座のスイッチを手元で操作を可能にした物や、温度や設定を表示する。便座の前に壁にかけて使えるようになっている。

ゲーム機[編集]

コンピュータゲーム機のコントローラーは、携帯ゲーム機業務用ゲーム機では本体に直接ついているが、据え置き型の家庭用ゲーム機ではリモコンになっている。

コントローラーは、従来、純正のものは有線式がほとんどで、無線式のものはサードパーティーから発売されていた。無線のコントローラーは、ワイヤレスコントローラーと呼ばれることが多い。Xbox 360WiiPS3では、ワイヤレス・コントローラーが標準となっている。

ラジコン[編集]

電波によるリモコンで動く自動車、飛行機等の模型は、「ラジオコントロール」を略してラジコンと呼ばれる(ほとんど一般名詞化しているが、増田屋コーポレーション商標で登録(第482788号)もされている)。通常の「コントロール」の用法と違い、操作される側をこう呼ぶ。コントローラーのほうは、プロポと呼ばれる。これはプロポーショナル(: propotional)方式の略で、スティックの操作角度に応じてサーボを比例制御することができることに由来する。

一方で、ラジコンに対して有線による遠隔操作の模型を指して「リモコン」(通称 : ヒモコン)と呼ぶ事が多い。ただし近年は赤外線など電波以外の無線方式による物も含まれている。

自動車関連[編集]

  • ドアロック - 自動車のドアロックの施解錠を遠隔操作で行う仕組みはキーレスエントリーと呼ばれる。そのリモコンは、キーと一体化していたり、キーホルダー型になっている場合が多い。また、学習リモコン等の汎用リモコンでの操作や誤作動を防止、やや遠距離からの施錠に対応するために、赤外線ではなく電波を用いたり、信号にIDを含める等の対策が取られていることが多い。作動時にハザードランプやルームランプが点滅する車が多い。トヨタ車では、作動時に受信部から電子が鳴る、また、アメリカなどでは、作動時に車のクラクションや「ポッ、ポッ」といった独自のホーンが鳴る。
  • 自動車用セキュリティ装置
  • エンジンスターター
  • 車庫 - 近年の電動式のガレージ扉の普及に伴い、開閉をリモート・コントロールできるものが増えている。開閉程度の簡単な操作のみを、自動車の車内から操作することが多いため、ガレージ扉のリモコンはボタン数の少ない小型のものが多い。

日本のリモコンメーカー[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]

関連項目[編集]