贖罪 (湊かなえ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
贖罪
著者 湊かなえ
発行日 2009年6月15日
発行元 東京創元社
ジャンル 推理小説イヤミス[1]
日本の旗 日本
形態 四六判
ページ数 253
コード ISBN 978-4488017569
Portal.svg ウィキポータル 文学
テンプレートを表示

贖罪』(しょくざい)は、湊かなえによる日本小説。著者の第3作目。デビュー作の『告白』と同じく章ごとに主人公が変わる独白形式で書かれている。第63回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作。

2012年WOWOW連続ドラマW枠でテレビドラマ化され放送された。

あらすじ[編集]

とある田舎町にできた足立製作所の工場と、社員のために建てられた田舎には不似合いな瀟洒な社宅。そこに越してきた転校生エミリの環境に憧れや羨望の思いを抱きながら、4人の小学生はエミリと仲良くなる。夏休みのある日の「グリーンスリーブス」が鳴る午後6時、彼女達はエミリの死体を発見する。彼女達は犯人を見ていたが、その顔を思い出すことが出来なかった。15年後、彼女達が抱き続けてきた罪の意識と、エミリとエミリの母に対する償いが、さらなる悲劇を巻き起こす。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

紗英
「フランス人形」の主人公。東京の女子大学の英文科に進学後、勤めていた会社の上司の知り合いと見合いをして結婚する。小柄でおとなしい性格。事件後長年に渡り「犯人が自分を見張っているのではないか」という不安を抱え続け、そのストレスから結婚するまで初潮を迎えることがなかった。事件当時、現場で一人エミリの死体の番をしていた。
真紀
「PTA臨時総会」の主人公。背が高く、同級生同士でも頼れるお姉さんのような役割をしていた。小学校の教師になり、校内に入ってきた不審者を撃退するが…。事件当時、先生を呼びに行くと言ったものの一人だけ逃げ出してしまう。
晶子
「くまの兄妹」の主人公。女の子にしては少々がっしりしていてスポーツも得意だったが、元々おとなしい性格で、身の丈以上のものを求めると不幸になるという祖父の教えから、事件以後自分が普通の生活をすることを申し訳なく思い引きこもるようになる。事件当時、足が早いからとエミリの母に知らせに行くように言われ、一番にエミリの母の精神の崩壊を目の当たりにする。以来トラウマとなって、大人になっても人とうまく接することができず家に引きこもるようになる。
由佳
「とつきとおか」の主人公で一児の母。目が悪く眼鏡をかけているが手先が器用で、ヘアピンで鍵を開けることなどが得意。事件当時、交番に知らせにいくように言われ、そこで警官に優しくしてもらったことから体が大きく男らしい男性を好むようになる。喘息持ちの姉に親からの愛情を奪われているコンプレックスと、事件直後に4人の中で自分だけ親が迎えに来てくれなかったことから非行に走るようになる(実際は、交番の警官に話を聞いてもらうために自分の小遣いを落し物と偽って持っていっていた。そのため必要な筆記用具が買えなくなったのを母親に咎められて万引きをしてしまい、信頼をなくしたことへの反発から非行に走る)。
麻子
「償い」の主人公でエミリの母。他の登場人物が彼女にあてた手紙の中でその人柄が語られたり、あるいは彼女自身が登場するなど、全章を通して登場している。事件前は美しく華やかな女性と思われていたが、事件後は精神を病み、安定剤を飲まないと生活できないほどになってしまった。事件後も、解決するまで引越はしないつもりで町にとどまり続けていた。エミリを殺害した犯人が捕まらないのは、目撃者である4人がその顔を思い出せないせいだと思いこみ、事件から3年後に町を去ることになった際、彼女達に対し腹立ち紛れに脅迫まがいの言葉を投げつけトラウマを植えつける。

その他の人物[編集]

エミリ
小学校4年生の時、性的暴行を受けた上絞殺された美少女。切れ長の目で、手足が長くすらっとしている。バービー人形と同じ服を着ていたり、家に行くと見たこともないような食器やお菓子でもてなしてくれるなど、4人にとっては羨望の的である「都会のお嬢様」。
孝博
紗英の結婚相手。一流大学出身で、一流商社勤めの超エリート。実は紗英のことを子供の頃から知っており、麻子に近づいて紗英との縁談を取り持ってもらう。特殊な性癖の持ち主。
田辺教諭
真紀の同僚で3年先輩。背が高く見栄えがいい。国立大学出身で、テニスの国体に出場したこともある。小学校での傷害事件後、児童を守らず一人だけ隠れていたことから糾弾対象になり、中傷のビラを撒かれる、車のフロントガラスが割られる、携帯電話が鳴り続けるなどの状態が続き、ノイローゼになる。
奥井教諭
田辺教諭と付き合っていた養護教諭。一見華奢ではかなげだが、その一方でわざとコンピューターに疎いふりをして田辺教諭に近寄ったり、田辺教諭への糾弾から世間の目を逸らすために真紀をインターネット上で非難するなど、狡猾な一面もある。
幸司
晶子の兄。くまのような風貌だが、意外と異性にはもてており、晶子に対しても優しい。地元の国立大学を卒業した後、町役場の福祉課に就職し、勤務先に相談に来ていたシングルマザーの春花と結婚する。事件後精神のバランスを崩した晶子をかばい、春花の連れ子である若葉のことも可愛がるなど、良い兄の鑑のような存在。
若葉
春花の連れ子。色白でほりの深い顔立ちの手足の長い小学生。晶子に懐いていた。
由佳の義兄
警察でコンピュータ関係の技術の仕事をしている。背が高くひょろっとしている。
秋恵
麻子の大学の同級生。エスカレーター式で大学に入った麻子と違い、受験で入学した。麻子とは正反対の、地味で真面目な学生だった。
南条弘章
麻子の大学の一つ上の先輩で、秋恵の紹介で麻子と交際していた。教育学部を卒業して教師になるも飲酒運転懲戒免職となる。エミリ殺害事件の15年後は、フリースクールを主催していた。

書籍情報[編集]

テレビドラマ版[編集]

2012年1月8日から同年2月5日まで、WOWOW連続ドラマW(毎週日曜日22:00-23:00〈JST〉)で放送された。第1話のみ無料放送された。

放送後、DVD発売に合わせ東京・新宿ユーロスペースでの劇場特別上映が予定されている[2]。また、テレビドラマとしては異例のことであるが、第69回ヴェネツィア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門にて、再編集版が正式招待作品として上映されることが決定している[3]。同年のトロント国際映画祭サン・セバスチャン国際映画祭釜山国際映画祭ナント三大陸映画祭、台北金馬映画祭でも上映[4]。フランスでは、前編には”Celles qui voulaient se souvenir 忘れたくなかった彼女たち”(5月29日公開)、後編には”Celles qui voulaient oublier 忘れたかった彼女たち”(6月5日公開)という副題をつけて劇場公開され[5]、前後編合わせて17万人以上の観客を動員した[6]

2012年東京ドラマアウォードでは、作品賞優秀賞(連続ドラマ)および演出賞(黒沢清)を受賞した[7]

キャスト[編集]

メインキャスト[編集]

その他(15年前)[編集]

第1話[編集]

第2話[編集]

第3話[編集]

  • 高野幸司(現在) - 加瀬亮
  • 高野春花 - 内田慈
  • 高野若葉 - 藤井奈々香

第4話[編集]

第5話[編集]

スタッフ[編集]

サブタイトル[編集]

各話 放送日 サブタイトル 本編(*)
第1話 2012年1月08日 フランス人形 75分
第2話 2012年1月15日 PTA臨時総会 50分
第3話 2012年1月22日 くまの兄妹 50分
第4話 2012年1月29日 とつきとおか 50分
最終話 2012年2月05日 償い 75分

(*) 予告編除く。

WOWOW 連続ドラマW枠
前番組 番組名 次番組
造花の蜜
(2011.11.27 - 2011.12.18)
贖罪
(2012.1.8 - 2012.2.5)
分身
(2012.2.12 - 2012.3.11)

脚注[編集]

  1. ^ a b “イヤミス”の女王 湊かなえの『贖罪』文庫が大人気”. ダ・ヴィンチニュース (2012年7月5日). 2014年6月20日閲覧。
  2. ^ ユーロスペース”. ユーロスペース. 2012年7月27日閲覧。
  3. ^ 小泉今日子主演ドラマ『贖罪』 ベネチア映画祭“異例”出品”. ORICON STYLE. オリコン (2012年7月27日). 2012年7月27日閲覧。
  4. ^ 金馬國際影展 : 贖罪”. Taipei Golden Horse Film Festival. 2012年11月4日閲覧。
  5. ^ フランス人は黒沢清好き。”. OVNINAVI.com (2013年5月31日). 2014年6月20日閲覧。
  6. ^ 黒沢清監督の新作『岸辺の旅』で深津絵里、浅野忠信が夫婦役に”. ぴあ映画生活 (2014年6月). 2014年6月20日閲覧。
  7. ^ 島村幸恵 (2012年10月22日). “「家政婦のミタ」がグランプリで5冠! 東京ドラマアウォード2012発表”. シネマトゥデイ. 2012年10月23日閲覧。
  8. ^ 小松芙未 (2011年11月1日). “小泉今日子主演、湊かなえ原作「贖罪」に蒼井優&小池栄子&安藤サクラ&池脇千鶴がそろって悲劇のヒロインに!”. シネマトゥデイ. 2014年6月20日閲覧。
  9. ^ a b 細谷美香 (2012年). “湊かなえ『贖罪』が連続ドラマに!黒沢清&池脇千鶴が映像化を語る”. ぴあ映画生活. 2014年6月20日閲覧。

外部リンク[編集]