貴種流離譚
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貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)は物語の類型の一種であり、折口学の用語の一つ。貴種漂流譚(きしゅひょうりゅうたん)とも。
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概要 [編集]
貴種流離譚とは、折口信夫が一連の「日本文学の発生」をめぐる論考のなかで、日本における物語文学(小説)の原型として論じた概念である。 その説くところは時期によって細部が異なるが、基本的には「幼神の流浪」をその中核に据える。
神話学と貴種流離譚 [編集]
神話学の一つの視点としてモノミスMonomyth(en)の理論がある。これは、すべての文明に見られる神話にはある種の基底構造があるとする仮説であり、ジョーゼフ・キャンベル(en)は『千の顔を持つ英雄』(en)モデルを提示している。この中でジョーゼフは、全ての神話上の英雄には基本的に同じパターン(ヒーローズ・ジャーニー)が見られるとする。もっともこのモノミス(en)理論は神話研究の主流派には認められているものではない[1]。
神話的英雄の苦難の冒険の物語については、ギリシア神話や日本の神話にも例が見られ、『高貴の血脈に生まれ、本来ならば王子や王弟などの高い身分にあるべき者が、「忌子として捨てられた双子の弟」「王位継承を望まれない(あるいはできない)王子」などといった不幸の境遇に置かれ、しかし、その恵まれない境遇の中で旅や冒険をしたり巷間で正義を発揮する』という話型を持つものがある。
これら神話をモチーフにしたさまざまな派生・創作作品についても貴種流離譚と表現することがある。
大塚英志 (2000)の著書『物語の体操』では、以下のように定義される。
- 英雄は、高位の両親、一般には王の血筋に連なる息子である。
- 彼の誕生には困難が伴う。
- 予言によって、父親が子供の誕生を恐れる。
- 子供は、箱、かごなどに入れられて川に捨てられる。
- 子供は、動物とか身分のいやしい人々に救われる。彼は、牝の動物かいやしい女によって養われる。
- 大人になって、子供は貴い血筋の両親を見出す。この再会の方法は、物語によってかなり異なる。
- 子供は、生みの父親に復讐する。
- 子供は認知され、最高の栄誉を受ける。
例 [編集]
本項では分類を行う都合上、「罪をあがなうタイプ」を贖罪型、「不幸の境遇におかれても正義を発揮するタイプ」を不遇闊達型と称す。
贖罪型 [編集]
古典 [編集]
不遇闊達型 [編集]
古典 [編集]
SF・ヒロイック・ファンタジー小説 [編集]
時代小説 [編集]
- 桃太郎侍 - 山手樹一郎著(1946年)。山手樹一郎の作品にはこの類型の主人公が少なくない。
- 松平長七郎 - 村上元三著『長七郎江戸日記』
- 吉原御免状 - 隆慶一郎著(1984年)。後に同タイトルで舞台化。
テレビドラマ・映画 [編集]
脚注 [編集]
参考文献 [編集]
- 折口信夫「真間・蘆屋の昔がたり」、『国学院雑誌』第53巻第1号、国学院大学出版部、1952年4月、 4-18頁、 ISSN 02882051、 NAID 40001283434。
- 杉浦一雄「源氏物語と貴種流離譚」、『千葉商大紀要』第46巻第4号、千葉商科大学、2009年3月、 66-48頁、 ISSN 03854566、 NAID 110007405482。
- 大塚英志 『物語の体操 : みるみる小説が書ける6つのレッスン』、2000年12月。ISBN 4022575468。
