ミステリーランド

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ミステリーランド: MYSTERY LAND)は、講談社が2003年から2016年にかけて発行していた書籍レーベル。

概要[編集]

コンセプトは、「かつて子どもだったあなたと少年少女のための――」。講談社文芸図書第三出版部(通称文三)の名物編集者であった宇山日出臣による企画。

ブックデザインは、すべて祖父江慎が手がけている[1]。シリーズはすべてハードカバーで、箱入り・クロス装である。箱に開いた穴から表紙の一部が見られるデザインになっている。本文は、精興社明朝を使用している[2]。本体価格は2000円程度。

各作品の多くは、ノベルスでも発売されている。山口雅也「ステーションの奥の奥」のようにノベルス版では改題されたものもある。

作品はすべて書き下ろし。「第○回配本」(○は漢数字)として発行されている。児童向けの書籍のため、字は大きめで、ルビも振ってあり、平仮名が多めである。当初は3か月ごとに3作ずつ刊行される予定であった。

また、装丁に使用していた用紙が製造中止になったため[3]、シリーズは2009年7月の第16回配本以降途絶えていたが、2011年3月に第17回配本があった。当初は同年夏に第18回配本がなされる予定であったが[4]、実際には2016年12月に、恩田陸が著したレーベル完結作となる『七月に流れる花』と『八月は冷たい城』をもって第18回配本が行われた[5]

作品一覧[編集]

ノベルス化はすべて講談社ノベルスより、文庫化の項にレーベルが無記載の場合は講談社文庫より刊行。

配本 発売年月 タイトル 著者 ノベルス化 文庫化
第一回 2003年7月 くらのかみ 小野不由美 村上勉
子どもの王様 殊能将之 MAYA MAXX 2012年8月 2016年1月
透明人間の納屋 島田荘司 石塚桜子 2009年2月 2012年8月
第二回 2003年10月 虹果て村の秘密 有栖川有栖 矢吹申彦 2012年8月 2013年8月
魔女の死んだ家 篠田真由美 波津彬子 2011年6月
ぼくと未来屋の夏 はやみねかおる 長野ともこ 2010年7月 2013年6月 青い鳥文庫
第三回 2004年1月 黄金蝶ひとり 太田忠司 網中いづる
鬼神伝 鬼の巻 高田崇史 村上豊 2010年10月[注 1] 2015年5月
闇のなかの赤い馬 竹本健治 スズキコージ 2012年9月[注 2]
第四回 2004年4月 探偵伯爵と僕 森博嗣 山田章博 2007年11月 2008年11月
いつか、ふたりは二匹 西澤保彦 トリイツカサキノ 2013年5月
鬼神伝 神の巻 高田崇史 村上豊 2010年10月[注 1] 2015年6月
第五回 2004年9月 魔王城殺人事件 歌野晶午 荒井良二 2012年5月 2020年3月
第六回 2004年11月 ほうかご探偵隊 倉知淳 唐沢なをき 2017年6月 創元推理文庫
第七回 2005年7月 ラインの虜囚 田中芳樹 鶴田謙二 2012年10月 2017年1月
神様ゲーム 麻耶雄嵩 原マスミ 2012年5月 2015年7月
第八回 2005年11月 カーの復讐 二階堂黎人 喜国雅彦 2010年11月
第九回 2006年3月 びっくり館の殺人 綾辻行人 七戸優 2008年11月 2010年8月
怪盗グリフィン、絶体絶命 法月綸太郎 本秀康 2012年8月 2014年9月
第十回 2006年5月 銃とチョコレート 乙一 平田秀一 2013年10月 2016年7月
第十一回 2006年11月 ステーションの奥の奥 山口雅也 磯良一 2009年10月[注 3] 2012年5月[注 3]
第十二回 2007年3月 酸素は鏡に映らない 上遠野浩平 toi8 2011年5月
第十三回 2007年7月 ぐるぐる猿と歌う鳥 加納朋子 久世早苗 2010年5月 2013年12月
第十四回 2008年8月 野球の国のアリス 北村薫 謡口早苗 2016年1月
第十五回 2009年3月 トレジャー・キャッスル 菊地秀行 鈴木康士 2012年5月
第十六回 2009年8月 ぼくが探偵だった夏 内田康夫 松尾たいこ 2013年7月
同月 青い鳥文庫[注 4]
第十七回 2011年3月 眠り姫とバンパイア 我孫子武丸 MARUU 2014年3月
夜の欧羅巴 井上雅彦 小島文美
第十八回 2016年12月 七月に流れる花 恩田陸 酒井駒子 2018年9月 講談社タイガ
2020年7月[注 5]
八月は冷たい城 2018年10月 講談社タイガ
2020年7月[注 5]

受賞[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b 『鬼神伝 鬼の巻』と『鬼神伝 神の巻』を合本し『鬼神伝』として刊行。
  2. ^ 短編4篇を加え『汎虚学研究会』として刊行。
  3. ^ a b 『古城駅の奥の奥』に改題。
  4. ^ 『ぼくが探偵だった夏 少年浅見光彦の冒険』に改題。
  5. ^ a b 『七月に流れる花』と『八月は冷たい城』を合本し『七月に流れる花/八月は冷たい城』として刊行。

出典[編集]

  1. ^ 【豪華レーベル完結作】大人も子どもも楽しめる、極上のダークファンタジー!|今日のおすすめ”. 講談社BOOKクラブ. 講談社 (2016年12月7日). 2023年11月1日閲覧。
  2. ^ 第13回 圧巻の200冊、祖父江慎+cozfish展|DNP 大日本印刷株式会社”. 大日本印刷 (2005年11月21日). 2021年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月1日閲覧。
  3. ^ 篠田 真由美 DIARY” (2010年4月8日). 2011年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月1日閲覧。
  4. ^ 『眠り姫とバンパイア』我孫子武丸 / 『夜の欧羅巴』 井上雅彦”. 講談社. 2017年1月8日閲覧。
  5. ^ 『七月に流れる花』『八月は冷たい城』恩田陸”. 講談社. 2017年1月8日閲覧。
  6. ^ 宇都宮市立図書館 うつのみやこども賞”. 宇都宮市立図書館. 2023年11月1日閲覧。

外部リンク[編集]