課税標準

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課税標準(かぜいひょうじゅん)とは、税金において、税額を算出する上で基礎となる課税対象を指す用語。税の種類によって算出方法が異なり、所得税のように金額で表示される場合のほか、リットルやキログラムなどの数量で表されることもある。

日本の税の課税標準[編集]

所得税[編集]

居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。(所得税法22条)

具体的には、各種所得につき損益通算・損失の繰越控除を適用し、さらに所得控除・特別控除を適用した額を課税所得金額といい、これに税率を乗じることによって税額を算出する。そののち、税額控除を適用し、納税額を算出する。

税務上よく用いられる課税標準には次のものがある。

総所得金額
総所得金額 = 純損失・雑損失の繰越控除後の事業所得 + 不動産所得 + 利子所得 + 配当所得 + 給与所得 + 雑所得 + 一時所得 + 総合譲渡所得
合計所得金額
合計所得金額 =総所得金額 + 土地建物の譲渡所得 + 株式等の譲渡所得等 + 先物取引に係る雑所得等の金額 + 退職所得 + 山林所得
総所得金額等
総所得金額等 = 合計所得金額 - 純損失・雑損失の繰越控除をしたもの

法人税[編集]

内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。(法人税法21条)

消費税[編集]

課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする)とする。(消費税法28条1項)

保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準は、当該課税貨物につき関税定率法第4条から第4条の8まで(課税価格の計算方法)の規定に準じて算出した価格に当該課税貨物の保税地域からの引取りに係る消費税以外の消費税等(国税通則法第2条第3号(定義)に規定する消費税等をいう。)の額(附帯税の額に相当する額を除く。)及び関税の額(関税法第2条第1項第4号の2に規定する附帯税の額に相当する額を除く。)に相当する金額を加算した金額とする。(消費税法28条3項)

その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(輸出免税など一定のものを除く。)に係る課税標準である金額の合計額を課税標準額という。課税標準額及び課税標準額に対する消費税額は、消費税の確定申告書の記載事項である。(消費税法45条1項本文、一号、二号)

住民税[編集]

個人の場合、住民税の所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。(地方税法32条1項、313条1項) 具体的には、「所得金額-所得控除」の算式により求める。これに税率を乗じることによって税額を算出する。

法人の場合、法人税額又は個別帰属法人税額が課税標準とされる。(地方税法23条三号、292条三号)

事業税[編集]

個人の行う事業に対する事業税の課税標準は、当該年度の初日の属する年の前年中における個人の事業の所得による。(地方税法72条の49の7第1項) 具体的には、「総収入金額-必要な経費」により求める。

法人の場合は、電気供給業・ガス供給業及び保険業では各事業年度の収入金額が、それ以外の事業では以下が課税標準となる。(地方税法72条の12)

  • 付加価値割 - 各事業年度の付加価値額
  • 資本割 - 各事業年度の資本金等の額
  • 所得割 - 各事業年度の所得及び清算所得

固定資産税[編集]

固定資産税の場合、原則として、固定資産課税台帳に登録された不動産の価格(適正な時価)が課税標準額となる。(地方税法349条、349条の2) ただし、住宅用地などについて特例措置が適用される場合は、課税台帳に登録された額よりも低くなる。

法律上の用語として[編集]

課税標準という用語は、国税通則法第2条(定義)において特別に定義されることなく、各税法上で用いられている。

課税標準額[編集]

以下のように、国税では「課税標準額」が法律上の用語として規定されているのは消費税法(及びそれに関連する国税通則法内の読み替え規定)のみである。他方、地方税法では「課税標準の金額」程度の意味合いで、用語として特別に規定されることもなく使われている。

  • 国税
    • 国税徴収法所得税法法人税法酒税法たばこ税法揮発油税法、石油ガス税法、石油石炭税法、航空機燃料税法、電源開発促進税法、自動車重量税法印紙税法登録免許税法とん税法、特別とん税法(いずれも本法)では「課税標準」のみが使われ、「課税標準額」という表現はあらわれない。[1]
    • 相続税法(本法)では「課税価格」という用語が使われ、「課税標準」「課税標準額」はいずれもあらわれない。
    • 消費税法(本法)では、第45条1項二号(課税資産の譲渡等についての確定申告)において、「その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(一定のものを除く)に係る課税標準である金額の合計額」を「課税標準額」と規定している。
    • 国税通則法(本法)では、第2条六号イ(定義)において「課税標準(国税に関する法律に課税標準額又は課税標準数量の定めがある国税については、課税標準額又は課税標準数量)」との表現がある。
  • 地方税
    • 地方税法(本法)では、「課税標準」「課税標準額」いずれの用語とも使われている。なお、「課税標準額」という用語を規定する条文はない。

脚注[編集]

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  1. ^ なお、これらのうち、酒税法、たばこ税法、揮発油税法、石油ガス税法、石油石炭税法、航空機燃料税法、電源開発促進税法には「課税標準数量」という用語の規定がある。