詩音 (歌手)

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詩音
出生名 朴有香(パク・ユヒャン)[1][2]
生誕 4月4日
出身地 日本の旗 日本神奈川県横浜市
ジャンル R&Bヒップホップポップ
職業 シンガーソングライター
活動期間 2004年 - 2009年
2012年 -
レーベル HOOD SOUND/VillageAgain
(2008年 - 2009年)
ユニバーサルJ
(2012年 - 2013年)
HOOD SOUND/VillageAgain
(2015年 - )

詩音(しおん、4月4日 - )は、日本で活動する韓国国籍の女性歌手である[1]在日韓国人で本名は朴有香(パク・ユヒャン)。神奈川県横浜市出身[3]

来歴[編集]

親はショット・バーを経営していて、そこではいつもマーヴィン・ゲイダイアナ・ロスの楽曲が流れていた。幼稚園からアメリカンスクールに通う。幼少の頃からピアノやアルト・サックスのレッスンを受ける[3]。ミュージカルへの出演、アルト・サックス奏者としてジャズ・バンドに抜擢された経験を持つ。1994年、在学時に大手芸能事務所からスカウトされ、アメリカ合衆国デトロイトキース・ジョンによるボーカルレッスンを受けた[4]

2004年より横浜を拠点にインディーズレーベルでの音楽活動を本格始動させる[3]。横浜、横須賀市などのクラブで活動し、ヒップホップユニットLGY(現・LGYankees)の楽曲のバックコーラスに参加する[5]。フィーチャリング・ヴォーカリストとして数々の作品に参加し、CDデビュー前から着うたサイトで「Last Song」がヒットするなど、日本のR&Bシーンにおいて次第にその名が浸透[3]

2008年5月28日DS455らに見出され、アルバム『Candy Girl』でCDデビュー。インディーズ・レーベルからのデビュー作ながらもオリコンチャートで9位を獲得し、話題となった。インディーズのデビュー作品が総合チャートでトップ10入りし初登場するのは、当時初のことであった[5]。同作の累計売上は5万枚(2008年8月時点)[6]。同年8月22日に1枚目のシングル『Last Song〜secret of my heart〜』が発売された。同作の累計売上は1.4万枚(2009年4月時点)[7]

2009年4月8日、2枚目のシングル『RAIN OF TEARZ/GIRLICIOUS feat.DJ☆GO』が7日付けのデイリーチャートで初登場6位、初動売上は2000枚[7]。同年10月に発売されたアルバム『Trurh』は、シングル・アルバム通じ3作目のオリコントップ10入りを記録。しかし同年10月29日の自身のブログで、自身のポリープができたことを告白。治療に専念するため、予定の入っていたライブも全てキャンセルし、活動休止することが発表された。そして11月9日の本人のブログで活動再開が伝えられた矢先の12月、自宅にケタミンを所持しているのが見つかり、麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で神奈川県警察逮捕される[1]。「ビルボード・ジャパン・ミュージック・アワード2009」の最優秀インディーズアーティスト賞にノミネートされている中(のちに辞退)での逮捕となった。また、逮捕により本名と国籍が初めて明かされた[2]

2010年2月15日に横浜地裁で初公判が行われ、起訴事実を全面的に認めた。検察側は懲役1年を求刑、即日結審した。杉山正明裁判官は「うつ病だったなど同情すべき点がある」として懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した[8]。詩音はの調子が悪く思うように歌えず苦悩していたと述べ、2009年10月発売のアルバム『Truth』が自身最高の7位を記録したときも「これが最後だ」と思い込み自殺未遂を図るなど自暴自棄になっていたことを告白した。今後について、事件を受け事務所からは解雇されたが、「もし待ってくれる人がいるのなら、また歌いたい」と涙ながらに語っていた[9]

2011年9月13日、歌手としての活動を再開することを発表。

2012年夏、3年間の活動休止を経てユニバーサルJよりレーベル移籍第1弾配信シングル「distance」を発表。同10月には、メジャー・デビュー・シングル「again」をリリースした。[3]

2013年1月、約4年ぶりのアルバム『AFTER THE RAIN』を発表。同6月、初となるベスト『ALL TIME BEST -BAYSIDE DIVA STORY-』をリリース。[3]

2015年7月、モデルのほずにゃむミュージックビデオに迎えた新曲「distance」を発売[10]。翌2013年には、歌手のGACKT、およびタレントのルー大柴とともに雑誌『小悪魔ageha』にゲスト登場、同誌のモデルにあたる愛沢えみりとの対談が注目を集めるなどしている[11]

2020年4月、ラッパーのGADOROミュージックビデオに迎えた新曲「茉莉花」をyoutubeで発表。[12]ちなみに詩音がフィーチャリングを担当したMr.Low-Dの曲「Back Love」の「月明かりのもとグラスは2つ」のフレーズをGADOROがこの曲でサンプリングしている(少しフレーズは変わっている)[13]

人物と音楽性[編集]

幼少から聴いていたブラック・ミュージックのアーティストから学んできたが、自分の方向性を型にはめたくないと語る。それは洋楽やJ-POPなど様々な音楽を好んでいるからだという[4]。歌詞では小文字を使うことが多く、これがケータイ世代の女性から共感を得た[6]。当時のR&B/ヒップホップ系の新人は着うたや有線から話題になることが多かったため、口コミや本人によるブログ、歌詞の影響力でノンタイアップながら話題になった詩音はその点、珍しい存在だった[6]

「ベイサイド・ディーヴァ」という自身の通称をタトゥーで入れている[4]

ディスコグラフィー[編集]

シングル[編集]

# 発売日 作品 最高順位 アルバム
オリコン[14] Hot 100 RIAJ
1st 2008年8月22日 Last Song〜secret of my heart〜 36 Candy Girl
2nd 2009年4月8日 RAIN OF TEARZ/GIRLICIOUS feat.DJ☆GO 8
3rd 2009年7月29日 LUV/SUMMER TIME LUV 16 Truth
4th 2012年10月17日 again 67 AFTER THE RAIN

アルバム[編集]

オリジナルアルバム[編集]

# 発売日 題名 最高順位 売上
[15]
認定
オリコン
[16]
ビルボード
1st 2008年5月28日 Candy Girl 9
2nd 2009年10月7日 Truth 7
3rd 2013年1月16日 AFTER THE RAIN 60
4th 2015年4月8日 BAYSIDE DIVA 33
5th 2020年12月16日 ALTER EGO

コンピレーションアルバム[編集]

# 発売日 題名 最高順位 売上
[15]
認定
オリコン[16] ビルボード
1st 2008年10月29日 w/z FRIENDz 11

ベストアルバム[編集]

# 発売日 題名 最高順位 売上
認定
オリコン
[17]
ビルボード
1st 2013年6月5日 ALL TIME BEST -BAYSIDE DIVA STORY- 63

参加作品[編集]

  1. S.T.M『RESTART』(2008年11月26日) M-5「絆 feat.BIG RON, 詩音, GHETTO INC.
  2. CLIFF EDGE『ナミダボシ feat.詩音』(2009年2月4日) M-1「ナミダボシ feat.詩音」

ミュージックビデオ[編集]

ビデオ 監督
2008年 春夏秋冬 池田圭
[18][19][20]
CANDY GIRL feat. BIG RON, RICHEE (Live Ver.)
Last Song 〜secret of my heart〜 (Single Ver.)
2009年 ナミダボシ feat.詩音
RAIN OF TEARZ 池田圭[21][22]
GIRLICIOUS feat.DJ☆GO
LUV feat.大地 抗田浩輔[23]
Love Affair feat.Kayzabro(DS455)

脚注[編集]

  1. ^ a b c “歌手の詩音を逮捕 麻薬「ケタミン」使用容疑”. 産経ニュース. (2009年12月10日). オリジナルの2010年1月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100112155849/http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/kanagawa/091210/kng0912101926008-n1.htm 
  2. ^ a b “喉頭がんで気落ちした?麻薬逮捕「詩音」ブログで告白”. J-cast. (2009年12月11日). https://www.j-cast.com/2009/12/11056053.html 
  3. ^ a b c d e f 詩音プロフィール”. 音楽出版社. TOWER RECORDS ONLINE (2012年7月30日). 2018年12月27日閲覧。
  4. ^ a b c インタビューファイル 詩音”. bounce.com (2008年5月25日). 2009年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月10日閲覧。
  5. ^ a b “R&B詩音“口コミ”でオリコン初登場9位”. Sponichi Annex. (2008年6月3日). オリジナルの2016年6月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160623194955/http://www.sponichi.co.jp/entertainment/special/archive/2008archive/KFullNormal20080603009.html 
  6. ^ a b c つのはず誠の月間音楽チャート診断 ピックアップアーティスト 詩音」『日経エンタテインメント!』第12巻第12号、日経BP社、2008年8月、pp.136。 
  7. ^ a b “詩音、2ndシングルが初登場6位にランクイン”. オリコン. (2008年4月9日). https://www.oricon.co.jp/news/65042/ 
  8. ^ 麻薬の詩音被告に有罪判決「また歌いたい」”. YOMIURI ONLINE (2010年2月15日).[リンク切れ]
  9. ^ 麻薬使用の歌手詩音に有罪判決=「思うように歌えず」と証言-横浜地裁”. 時事ドットコム (2010年2月15日).[リンク切れ]
  10. ^ 『ベイサイド・ディーヴァ詩音、約3年の沈黙を破り新曲配信開始!』 2012年7月12日 MUSIC LOUNGE
  11. ^ 『GACKT×人気モデルの異色対談 「小悪魔ageha」に初降臨』 2013年2月4日 モデルプレス
  12. ^ (日本語) 詩音 / 茉莉花(マツリカ) feat.GADORO, https://www.youtube.com/watch?v=tMYVvoVBp4Q 2020年4月25日閲覧。 
  13. ^ (日本語) Back Love (feat. 詩音), https://www.youtube.com/watch?v=unlf9a9375g 2020年4月25日閲覧。 
  14. ^ 詩音のCDシングルランキング” (日本語). オリコン芸能人事典. オリコン (2011年). 2011年2月4日閲覧。
  15. ^ a b オリコンランキング情報サービス「you大樹」”. オリコン. 2010年12月14日閲覧。 (subscription only)
  16. ^ a b 詩音のCDアルバムランキング” (日本語). オリコン芸能人事典. オリコン (2011年). 2011年2月4日閲覧。
  17. ^ 詩音のCDアルバムランキング” (日本語). オリコン芸能人事典. オリコン (2013年). 2013年7月11日閲覧。
  18. ^ 春夏秋冬” (日本語). 楽曲関連情報. スペースシャワーTV (2008年5月28日). 2011年2月7日閲覧。
  19. ^ CANDY GIRL feat. BIG RON, RICHEE (Live Ver.)” (日本語). 楽曲関連情報. スペースシャワーTV (2008年5月28日). 2011年2月7日閲覧。
  20. ^ Last Song ~secret of my heart~ (Single Ver.)” (日本語). 楽曲関連情報. スペースシャワーTV (2008年8月22日). 2011年2月7日閲覧。
  21. ^ RAIN OF TEARZ” (日本語). 楽曲関連情報. スペースシャワーTV (2009年4月8日). 2011年2月7日閲覧。
  22. ^ GIRLICIOUS feat.DJ☆GO” (日本語). 楽曲関連情報. スペースシャワーTV (2009年4月8日). 2011年2月7日閲覧。
  23. ^ LUV feat.大地” (日本語). 楽曲関連情報. スペースシャワーTV (2009年7月29日). 2011年2月7日閲覧。