西部方面普通科連隊
| 西部方面普通科連隊 | |
|---|---|
IronFist演習に参加した西部方面普通科連隊の隊員
|
|
| 創設 | 2002年(平成14年)3月27日 |
| 所属政体 | |
| 所属組織 | 陸上自衛隊 |
| 部隊編制単位 | 連隊 |
| 兵科 | 普通科 |
| 兵種/任務/特性 | レンジャー |
| 人員 | 約650名 |
| 所在地 | 長崎県 佐世保市 |
| 編成地 | 相浦 |
| 愛称 | WAiR,西普連,バラモン部隊 |
| 上級単位 | 西部方面隊 |
| 担当地域 | 九州、琉球諸島 |
西部方面普通科連隊(せいぶほうめんふつうかれんたい、JGSDF Western Army Infantry Regiment(Light):WAiR)は、長崎県佐世保市の相浦駐屯地に駐屯する陸上自衛隊西部方面隊直轄の普通科連隊(軽)である。部隊は通称西普連と呼ばれることが多いが、英語表記の頭文字からWAiR(ワイアー、ウェイヤー)と呼ばれることもある(連隊隊舎入口にはWAiRと表記されている)。部隊マークのバラモン凧(五島の民芸品で、"バラモン"とは五島の方言で「活発な、元気の良い」の意)からバラモン部隊とも。
目次 |
[編集] 概要
離島対処即動部隊であり、島嶼防衛を主な任務とする。
島嶼の防衛、奪還を目的とした上陸作戦訓練を、海兵隊と重ねる報道もある。当然、海兵隊のような任務も行うが、主任務としては隠密裏の潜入、遊撃による陣地構築の妨害、通信の遮断、情報収集および逆上陸部隊の誘導であり、方面隊直轄の即応部隊としての性格も持つ。
レンジャー小隊に限らず、通常の隊員もレンジャーの有資格者が多く、一線に立つ隊員のほぼ全員が、水路潜入訓練など特別な訓練を行っている。運用に関しての詳細は公開されていないが、防衛白書の広報文によれば、海岸から10km程度離れた沖合いからゴムボートを使って水路潜入したり、ヘリコプターによるヘリボーンで島々を移動するとされている。
同連隊を特殊部隊として位置づけるかは資料によって異なるが、所属隊員の一部に対しては、特殊部隊向けの給与制度である「特殊作戦隊員手当」が適用されている。
[編集] 設立の経緯
西部方面隊は九州、沖縄の防衛を担任しており、対馬から与那国島までの南北1,200km、東西900kmにも及ぶ広大な守備範囲を持つ。有人無人合わせて2,600あまりの島を抱え、不安定の弧の東端である朝鮮半島、中華人民共和国、台湾と海を挟んで接している。離島が敵対勢力に攻撃される場合、未然に上陸を防ぐのは困難な場合があるため、占領された離島を奪還するための先遣部隊として2002年(平成14年)3月に創設された。
創設前から西部方面隊担任地域にある島々の地誌について組織を挙げて情報収集し、密林と山岳地形が特徴である日本の離島でのゲリラ戦に対処する特殊部隊として注目されてはいたが、創設から間もない2002年5月~7月にかけての時期に3人の陸曹の自殺が明らかになったため国会議員の調査が入り、その過程で特殊部隊としての性格が大きくクローズアップされることとなった。
当初は沖縄県に駐屯する計画であったが、中国や沖縄県内での軍事活動に過敏な沖縄県民に対して刺激が強すぎるとの政治的配慮に基づき、五島列島や対馬を臨み、艦艇やヘリコプターによる緊急展開にも有利な長崎・佐世保市に落ち着いた。
創隊にあたっては、地元の商店街からの要望で、商店街を通過する記念パレードが行われた。当初は小銃も携帯する予定だったが、長崎の被爆地としての歴史認識を考慮し、徒手での行進として実施された。後に、本来の姿を見てもらいたいという部隊の意向により、第1空挺団の観閲行進時と同様の保持要領で携行してパレードを行っている。
[編集] 構成
定員660名、実数600名程度で構成されているとされ、後方支援職である本部管理中隊を除き、隊員の約7割がレンジャー有資格者である他、海上自衛隊のスクーバ課程の教育も受けている。
部隊は、連隊本部のほか、本部管理中隊、3個普通科中隊で構成され、本部管理中隊を除き第1から第3の各中隊はレンジャー小隊を擁しており、自衛隊初の常置レンジャー部隊となった。中隊の編成は、小銃小隊(レンジャー小隊1個を含む)3個、対戦車小隊、81ミリ迫撃砲小隊および120ミリ迫撃砲小隊各1個からなる。
第1空挺団では、36歳までに空挺レンジャー課程を履修できなかった空挺隊員の転属先として、本人の希望があれば優先的にまわされる部隊でもある。
[編集] 部隊編成
- 連隊本部及び本部管理中隊
- 第1中隊
- 第2中隊
- 第3中隊
| 代 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 越智正典 | 2002.3.27 - 2005.3.31 | 防大21期 | 第1師団司令部第3部長 →2001.12.1第3教育団付 |
東北方面総監部総務部長 |
| 2 | 山中洋二 | 2005.4.1 - 2007.7.2 | 防大26期 | 陸上幕僚監部防衛部運用課 特殊作戦室長 |
中部方面総監部防衛部長 |
| 3 | 若生明智 | 2007.7.3 - 2010.3.22 | 統合幕僚学校教官 | 東北方面指揮所訓練支援隊長 | |
| 4 | 黒澤晃 | 2010.3.23 - | 防大30期 | 第3師団司令部第3部長 |
[編集] 主な装備品
- 73式小型トラック
- 73式中型トラック
- 73式大型トラック
- 高機動車
- 9mm機関けん銃
- 89式5.56mm小銃
- 5.56mm機関銃MINIMI
- 対人狙撃銃
- 84mm無反動砲
- L16 81mm 迫撃砲
- 120mm迫撃砲 RT
- 空挺用背嚢(1週間程度支援なしで生活できる糧食一式を携帯)
- 登攀用具一式
- CRRC(戦闘強襲偵察用舟艇):ラバー製ボート
- 水泳斥候(スカウトスィマー)用装備一式
- 隠密行動用戦闘装着セット
- 個人用暗視装置 JGVS-V8
- 防弾チョッキ2型(戦闘防弾チョッキも合わせて運用)
イラク派遣時に防暑帽4型として正式採用される以前からブッシュハットを使用しており、防弾機能の無いプロテック社製ヘルメットの使用や、部隊単位、個人単位で購入したとされるチェストリグ、ダンプポーチなどの装備も確認されている。
[編集] 活動内容
- 第1空挺団が落下傘降下又はヘリコプターにより空から敵後方に侵入するのに対して、WAiRはヘリコプターや上陸用舟艇、小型艇などを使っての潜入、または強襲を行う。増援部隊の強襲に先立って当該離島に潜入し、後続の誘導や、事前の工作活動で強襲の下準備をすることも想定している。
- ヘリコプターからの強襲の際は、西部方面航空隊や沖縄の第15飛行隊のヘリコプター部隊を用い、海からの強襲の際は、海上自衛隊のおおすみ型輸送艦やエアクッション艇1号型(LCAC)を用いる。担当範囲が広範囲に及ぶため、西部方面隊直轄部隊になった。
- 2005年(平成17年)9月11日にイラク派遣部隊の活動として防衛庁から公開された『アル・ホールド小学校(サマーワ分校)施工状況確認』の写真の警備担当員の中に、「WAiR」と記入された89式5.56mm小銃を所持した隊員がいた。
- 2006年1月に米カリフォルニア州サンディエゴ近郊にあるコロナド海軍揚陸基地に隊員125人を派遣して、アメリカ海兵隊との島嶼奪還共同対処訓練「Iron Fist(鉄の拳)作戦」を実施した。具体的には海上での偵察の際に用いる偵察泳法の習得、離島への潜入、展開などのノウハウ獲得訓練となっている。この訓練ではあくまで基礎的なノウハウの取得にとどまり、今後より実戦的な訓練が行われるかは未定。
- 2006年10月にはFNN系列『ニュースJAPAN』で部隊の訓練状況が放送され、個人用暗視装置 JGVS-V8を装着し、ヘリコプターからのリペリング降下や、中隊規模で夜間、山岳地帯の速やかな移動、陸曹クラスが小隊長となっての小隊規模夜間攻撃の訓練などが伝えられた。西部方面普通科連隊の部隊レンジャー訓練は、相浦駐屯地の広大な敷地を使って行われるもので、後半の技術課程になると航空機や船舶等を使った内容になる。
- 2010年12月、この年の日米統合演習の際、日出生台演習場において第一空挺団と初の共同訓練を行い、報道陣に公開した。
- 2011年12月にはTBS系列『報道特集』で、現在問題とされている中国の軍拡と尖閣諸島問題との関連の中で、部隊の任務が紹介され、訓練の一端が公開された。報道では、水泳訓練、生存自活訓練、至近距離における射撃訓練および狙撃手の育成について伝えられた。
[編集] 関連書籍
- 杉山隆男 『兵士に告ぐ』 小学館、2007年。ISBN 978-4-09-389204-9。
[編集] 関連項目
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||