西メボン

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西メボン(西バライの水上より)
現存する東壁および塔

西メボン英語: West Mebon)は、カンボジアアンコール遺跡群にある寺院で、アンコール地域最大の貯水池である西バライの中心に位置する。寺院の建築年は知られていないが、証拠からは王スーリヤヴァルマン1世 (Suryavarman I) あるいはウダヤーディチャヴァルマン2世 (Udayadityavarman II) 統治時代の11世紀が示唆されている。

位置[編集]

現在、乾季には陸路で到達可能となる。雨季にはバライの水域の長さは7,800メートルに上り、バライの底面部からより高い位置にある寺院は島になる。

象徴[編集]

クメールの建築家は一般的に、ヒンドゥー教の天地創造の海を象徴する堀で寺院を囲んだ。西メボンはそれらが実際の海のように見えるよう、広大な水域の中心に位置して、この宗教的象徴性を究極的に取り込んでいる。

構成[編集]

寺院は、側面の長さ約100メートルの正方形のかたちに建造された。各側面には、石のハスの花を載せた3つの塔門が、約28メートル間隔で配置された。正方形の中心には、ラテライト砂岩の歩道により東の壁に連絡される石の基壇があった。

現在は、基壇、歩道、および東の壁や塔の跡の多くが残り、バライの水域が低い場合それら石の輪郭が見えるが、他の側面部の大部分はなくなっている。基壇は過去にいくらかの比較的小さな構造物を支えたであろうが、見られるべき中央の聖所はない。

横たわるヴィシュヌ[編集]

西メボンで発見された「横たわるヴィシュヌ」

1938年[1]、西メボンにおいて、クメール美術のうち最も知られた青銅彫刻である、横たわるヒンドゥー教の神ヴィシュヌの破片が発見された。11世紀中頃のものとされ[2]、高さ1.14メートル、幅2.17メートルとなる残存部は[3]、神の頭と胴の上部および2本の右腕を含んでいる。地元の村民が、ブッダの肖像が西メボンに埋められ、土から解放されることを望んでいる夢を見たといわれている。続いての発掘がヴィシュヌ像を掘り出した。

13世紀末の1296-1297年に、アンコールを訪れた中国人使節の周達觀(しゅうたつかん、Zhou Daguan)は、その帰国後の『真臘風土記(しんろうふどき)』において、アンコール地域のもう一方の大貯水池である東バライの中心の寺院、東メボンには、へそから水が噴き出る大きな釈迦(ブッダ)像があると記した[4]。多くの学者は、周がヴィシュヌ像を釈迦像と誤り、またその場所を間違えて記録したと考えている[1]

完全な形であれば全長約6メートルにおよんだその像は、プノンペン国立博物館 (National Museum of Cambodia) に収蔵された。また、それはワシントンD.C.など海外でも展示された。

脚注[編集]

  1. ^ a b ブリュノ・ダジャンス (1995)、21頁
  2. ^ NHK取材班ほか 『NHK美の回廊をゆく 東南アジア至宝の旅①』 日本放送出版協会1991年、111-112頁。ISBN 4-14-009155-X
  3. ^ 『カラー版 東洋美術史』 前田耕作(監修)、美術出版社2000年、106頁。ISBN 4-568-40051-1
  4. ^ ブリュノ・ダジャンス (1995)、19-22頁、142頁

参考文献[編集]

  • ブリュノ・ダジャンス 『アンコール・ワット』 石澤良昭(監修)、中島節子訳、創元社、1995年ISBN 4-422-21098-X
  • Laur, Jean. Angkor: An Illustrated Guide to the Monuments. Flammarion 2002
  • Rooney, Dawn. Angkor. Airphoto International Ltd. 2002

関連項目[編集]

座標: 北緯13度26分4秒 東経103度48分1秒 / 北緯13.43444度 東経103.80028度 / 13.43444; 103.80028