表現型

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表現型(ひょうげんがた、ひょうげんけい、: phenotype)とは、ある生物のもつ遺伝子型形質として表現されたものである。その生物の形態、構造、行動、生理的性質などを含む。獲得形質は含まない。

古典的な意味[編集]

ある個体が示す形質は、その個体が持つ遺伝子によって決まる。しかしある遺伝子を持っていても、それが劣性であれば、同一遺伝子座優性遺伝子ヘテロな場合は表現型に現れない(メンデルの法則の「優性の法則」)。一つの形質の表現型には複数の遺伝子座が影響を与えることもある。このように、どのような遺伝子を持っているかと、その個体がどのような形質を示すかとは同じではない。従ってこれを区別してその個体が実際に見せている形質を指して表現形といい、遺伝子型と区別する。メンデル遺伝の範囲では、表現形は遺伝子型によって決定する。

現実には、表現型は遺伝子型と同時に環境の影響を受ける。形態的形質が、環境の影響を受け、表現型を変えることを表現型の可塑性という。このような状態にある集団で、本来の表現型を示す個体の割合を浸透度または浸透率と呼び、各個体における表現の程度を表現度と呼ぶ。

血液型の場合、遺伝子が AO、AA で A 型という表現型、BO、BB で B 型という表現型、AB で AB 型という表現型、OO で O 型という表現型である。「果実の甘さ」や「病気に対する抵抗性」など特定の条件・分析の結果で判明するような形質についても、その遺伝子型が形質として実現された状態を表現型という(形質参照)。

分子系統に関わって[編集]

分子遺伝学の進歩により、さまざまな生物においてDNAの塩基配列を直接に比較することが出来るようになった。このことから、塩基配列の比較から直接に系統が読み取れることになり、これを分子系統という。このような方法により、従来は区別できなかった分類群の分類が行われるようになった例は多い。その場合、分類群の区別は塩基配列によることになる。だが、遺伝的な際は形態や性質に反映すると考えるのはふつうであり、このように区別された群において、遺伝子以外の形質に差異を求めることも普通である。このような差異が見つかった場合に、これを指して『表現型における差異』といった表現が使われる。


参考文献[編集]

  • 八杉龍一・小関治男・古谷雅樹・日高敏隆 『岩波生物学辞典 第4版』 岩波書店、1996年.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]