蟲 (江戸川乱歩)

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』 (むし)(別表記『虫』) は江戸川乱歩が著した中編小説である。『改造昭和4年(1929年)9、10月号に連載された。

元々は、『新青年』に「「蟲」という文字を二、三十個、三行に分けて書き連ねた」タイトルで予告されたものだったという。

登場人物[編集]

柾木愛造(まさき あいぞう)
主人公。厭人病者で自宅の土蔵に引きこもっている
木下芙蓉(きのした ふよう)
本名・木下文子。人気女優。柾木の幼なじみで初恋の相手。
池内光太郎(いけうち こうたろう)
柾木の唯一の友人。柾木と正反対の性格で、芙蓉の恋人。

あらすじ[編集]

厭人病者の主人公・柾木愛造は、友人の池内の紹介で初恋の相手である人気女優の木下芙蓉と再会を果たした。初恋を再燃させた柾木は、ある時芙蓉に自らの想いを必死に伝えたが、彼女は彼を嘲笑っただけであった。数ヶ月に及ぶ、芙蓉とその恋人・池内の逢い引きのストーキングの果てに、彼女への所有欲を押さえきれなくなった柾木は、遂に芙蓉を殺害し、自室である土蔵の二階にその死体を連れ込んだ。しかし柾木の想いとは裏腹に、死体は蟲に侵されて急速に腐ってゆく。彼は死体に防腐処理を施そうとするが、素人に上手くできるものではない。次第に柾木の精神は常軌を逸し・・・

  • ちなみに、この物語における「蟲」とは、いわゆる蛆虫ではなく、死体を腐らせる「正体のあいまいな、極微有機物」のことである。

映像化[編集]

2005年にオムニバス映画『乱歩地獄』の一編として映像化された。

収録[編集]