虚無への供物
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『虚無への供物』(きょむへのくもつ)は、中井英夫の代表作とされる推理小説。1964年に単行本として刊行された。
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、夢野久作『ドグラ・マグラ 』とともに、日本探偵小説史上の三大奇書と並び称される。
氷沼家を舞台として繰り広げられる奇妙な殺人事件。その現場に居合わせた主人公たちが推理合戦を交わすが、推理は衒学趣味の様態を呈し、いよいよ混迷へと陥っていく……。
推理小説でありながら推理小説であることを拒否する、反推理小説(アンチ・ミステリ)の傑作としても知られる。
[編集] 成立
1954年9月の洞爺丸転覆事件をきっかけに、『虚無への供物』が構想されたという。それから数年がかりで全体の半分まで書き上げ、1962年の江戸川乱歩賞に前半の第二章までしかない未完成状態で応募した。結果は、戸川昌子の『大いなる幻影』、佐賀潜の『華やかな死体』の二作が受賞作で、『虚無への供物』は次席にとどまった。登場人物達がノックスの十戒やヴァン・ダインの二十則、江戸川乱歩の幻影城など、実在する小説などを参照し推理を繰り広げる事から選考委員は本作を冗談小説と解釈していた。
その翌年に、後半部まで書き上げ、1964年2月29日、講談社から完成版『虚無への供物』が刊行された。この時は「塔晶夫」名義であったが、のちに本名の中井英夫に変えられた。


