藤本和子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

藤本 和子(ふじもと かずこ、1939年 - )は東京出身の、アメリカ文学翻訳家随筆家

本名、カズコ・F・グッドマン。夫は劇団黒テントの前身の「演劇センター68」の創設者の一人で、イリノイ大学の日本文学・演劇の教授のデイヴィッド・グッドマンイリノイ州シャンペーン市在住。

 略歴 [編集]

早稲田大学政治経済学部卒業。大学時代、演劇研究会の女優だった。

卒業後、ノースウェスト航空に勤務。また、津野海太郎らとともに六月劇場の前身である独立劇場の設立メンバーとなった。1967年、渡米してニューヨークの日本領事館に勤務した後、イェール大学のドラマ・スクールで学ぶ。そこで、イェール大学の学生で滞日体験があったデイヴィッド・グッドマンと知り合い結婚。

帰国後、グッドマンらと、1969年から1973年まで、日本ではじめての英文の演劇雑誌である季刊『コンサーンド・シアター・ジャパン』(演劇センター68の機関誌)の編集に携わる。のち、夫の帰国に従って再度渡米し、以降、アメリカで暮らしている。

リチャード・ブローティガンの著作のほとんどを翻訳し、時として原文以上とも評されたその清新な訳文は、日本における翻訳文学の系譜の上で重要なものである[1]村上春樹小川洋子高橋源一郎柴田元幸岸本佐知子といった数多くの作家・翻訳家に影響を与えた。

また、アメリカにおけるアフリカ系女性文学、アジア系女性文学を多数、翻訳・紹介している。

著作[編集]

単著[編集]

  • 『砂漠の教室 イスラエル通信』 (河出書房新社 1978)
  • 『塩を食う女たち聞書・北米の黒人女性』 (晶文社 1982)
  • 『ペルーからきた私の娘』 (晶文社 1984)
  • 『ブル-スだってただの唄 黒人女性のマニフェスト』朝日選書 1986)
  • 『イリノイ遠景近景』新潮社 1994
  • 『どこにいても、誰といても異なる者たちとの共生』 (筑摩書房 1996)
  • 『リチャード・ブローティガン』 (新潮社 2002)

共著[編集]

  • 『着物自在』(鶴見和子 晶文社 1993)
  • 『〈聞書〉アフリカン・アメリカン文化の誕生カリブ海域黒人の生きるための闘い』(Sidney W. Mintz共著 岩波書店 2000)

翻訳[編集]

  • リチャード・ブローティガン
    • 『アメリカの鱒釣り』Trout Fishing in America (晶文社 1975) のち新潮文庫 
    • 『ホークライン家の怪物』The Hawkline Monster: A Gothic Western (晶文社 1975)
    • 『西瓜糖の日々』In Watermelon Sugar (河出書房新社 1975)のち文庫 
    • 『芝生の復讐』Revenge of the Lawn (晶文社 1976)のち新潮文庫 
    • 『ソンブレロ落下す ある日本小説』Sombrero Fallout: A Japanese Novel (晶文社 1976)
    • 『ビッグ・サーの南軍将軍』A Confederate General in Big Sur (河出書房新社 1976)のち文庫 
    • 『鳥の神殿』Willard and His Bowling Trophies: A Perverse Mystery (晶文社 1978)
    • 『バビロンを夢見て 私立探偵小説1942年』Dreaming of Babylon: A Private Eye Novel 1942 (新潮社 1978)
    • 『東京モンタナ急行』The Tokyo-Montana Express (晶文社 1982)
    • 『不運な女』An Unfortunate Woman: A Journey (新潮社 2005)
  • ジェラード・コルビー・ジルグ『財閥デュポン アメリカの死の商人』Dupont: Behind the Nylon Curtain (実業之日本社 1975)
  • マックス・I・ディモント『ユダヤ人 神と歴史のはざまで』Jews, God and History (朝日新聞社 1977) のち朝日選書
  • 『やつらを喋りたおせ!レニ-・ブル-ス自伝』How to Talk Dirty and Influence People: The Autobiography of Lenny Bruce (晶文社 1977)
  • マキシーン・ホン・キングストン
    • 『チャイナタウンの女武者』The Woman Warrior (晶文社 1978)
    • 『アメリカの中国人』China Men (晶文社 1983)
  • エリーズ・サザランド『獅子よ藁を食め』(女たちの同時代)Let the Lion Eat Straw (朝日新聞社 1981)
  • ヌトザケ・シャンゲ『死ぬことを考えた黒い女たちのために』(女たちの同時代) for colored girls who have considered suicide when the raibow is enuf (朝日新聞社 1982)
  • トニ・モリスン
    • 『誘惑者たちの島』Tar Baby (朝日新聞社 1985)
    • 『タール・ベイビー』Tar Baby (早川書房 1995)
  • ロス・トーマス
    • 『女刑事の死』Briarpatch (早川書房 1986) のち文庫 
    • 『八番目の小人』The Eighth Dwarf (ハヤカワ文庫 1989)
    • 『神が忘れた町』The Fourth Durango (早川書房 1990)のち文庫 
    • 『黄昏にマックの店で』Twilight at Mac's Place (早川書房 1992)のち文庫
  • アン・タイラー『夢見た旅』Earthly Possessions (早川書房 1987)
  • ウィリアム・J・コーニッツ『甦える警官』Suspects (文春文庫 1987)
  • ソル・スタイン『叛逆の衝動』The Touch of Treason (文春文庫 1989)
  • ローザ・ガイ『マイ・ラブ、マイ・ラブ! ある貧しい娘の恋物語』My Love, My Love or The Peasant Girl (筑摩書房・プリマーブックス 1989)
  • ルイーズ・アードリック『ビート・クイーン』The Beet Queen (文藝春秋 1990)
  • ジョー・ゴアズ『狙撃の理由』Wolf Time (新潮文庫 1990)
  • バリー・ハナ『Dr.レイ』Ray (集英社 1991)
  • バーバラ・ロガスキー『アンネ・フランクはなぜ殺されたかユダヤ人虐殺の記録』Smoke and Ashes: The Story of the Holocaust (岩波書店 1992)
  • デイヴィッド・グッドマン宮澤正典共著『ユダヤ人陰謀説-日本の中の反ユダヤと親ユダヤ』Jews in the Japanese Mind (講談社 1999)
  • アフリカン・アメリカン文化の誕生 カリブ海域黒人の生きるための闘い 聞書 シドニー・W.ミンツ 岩波書店 2000
  • レイチェル・ナオミ・リーメン『失われた物語を求めて キッチン・テーブルの知恵』Kitchen Table Wisdom (中央公論新社 2000)
    • 『祖父の恵み 勇気と慰めと絆の物語』My Grandfather's Blessing (中央公論新社 2005)
  • 闇の夜に ブルーノ・ムナーリ 河出書房新社 2005

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ Lost in Translation? The New Yorker, May 9, 2013

外部リンク[編集]