薔薇十字団

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薔薇十字団(ばらじゅうじだん、: Rosenkreuzer ローゼンクロイツァー)とは、中世から存在すると言われる秘密結社17世紀初頭のヨーロッパで初めて広く知られるようになった。

概要[編集]

1614年神聖ローマ帝国ドイツ)のカッセルで刊行された怪文書『全世界の普遍的かつ総体的改革』とその付録『友愛団の名声』で初めてその存在が語られ、一気に全ヨーロッパで知られるようになる。フランセス・イェイツによれば、この背景には薔薇すなわちイングランド王家をカトリックハプスブルク皇帝家の支配からの救世主として迎え入れようとする大陸諸小国の願望があったという。なお、前述の怪文書の刊行から4年後の1618年にドイツを舞台とした宗教戦争である「三十年戦争」が勃発している。

始祖クリスチャン・ローゼンクロイツ (Christian Rosenkreuz) の遺志を継ぎ、錬金術魔術などの古代の英知を駆使して、人知れず世の人々を救うとされる。

起源は極めて曖昧だが中世とされ、錬金術師カバラ学者が各地を旅行したり知識の交換をしたりする必要から作ったギルドのような組織の1つだとも言われる。

薔薇十字団の存在はやがて伝説化し、薔薇十字団への入団を希望する者だけでなく、薔薇十字団員に会ったという者が現れるようになる。また、薔薇十字団員を自称するカリオストロサンジェルマン伯爵などの人物や薔薇十字団を名乗る団体、薔薇十字団の流れを汲むと自称する団体も現れるようになり、当時の人々を惑わせた。現在でもそのような事例は続いている。

この流れのほかにも人智学から派生した「薔薇十字団」が南ドイツに現在でも存在している。本家からは完全に独立し、ある村の片田舎で毎週日曜日の午前中にはキリスト教ミサ礼拝に似た儀式を独自に繰り広げている。

フィクション上の薔薇十字団[編集]

薔薇十字団は様々なフィクション作品で取り扱われている。

登場する作品[編集]

漫画作品[編集]

ゴルゴ13(著:さいとう・たかを
1968年頃に発表された初期作品では、ゴルゴ13を狙う暗殺集団として捉えられている。作品中の記述には「1968年以降活動の記録は無い」とある。
Weiß kreuz Glühen/ヴァイス クロイス グリ-エン(原案:子安武人
Weißを狙う暗殺集団だけがシュワルに倒される。
D.Gray-man(作者:星野桂
作品内のエクソシストたちが属している教団のモデル
メタルK(作者:巻来功士
遺伝子操作によるキメラ「人間兵器(ウエポノイド)」による世界征服を目指していると思われる組織。
ミステリオン(作者:あずみ椋
クリスチャン・ローゼンクロイツの死の原因になった主人公を時代や国を越えて追う。
ローゼンメイデン(作者:PEACH-PIT
詳しくはローゼンメイデンの登場人物一覧を参照。
パタリロ!(著:魔夜峰央
白魔術師の結社として登場。占い師ザカーリとタマネギ部隊の「霊感青年」こと44号を輩出している。
ファイブスター物語(著:永野護
惑星ボォスの秘密結社「ローゼンクロイツ(薔薇十字団)」という麻薬取引などを行う組織が登場。
13月の悲劇(著 美内すずえ
ヒミツの薔薇十字団(著:英貴
ローゼン・クロイツ(作中では女性)の生まれ変わりとされる女子高校生を主人公に、現代に残る薔薇十字団と遺された「Mの書」を巡る物語。

小説作品[編集]

弾丸少年(著:小林弘利)- ジュブナイル
構成員の中で最も優れていたとされる死者H.G.ウェルズを蘇生装置でたたき起こして首魁として担ぎ上げ、その意志のまま世界の滅亡を企む組織として描かれる。本来の目的は「世界を治癒」することだったが、その目的は無理矢理蘇生されたヴェルヌのために歪み「世界は治癒が不可能なまでに歪んでしまった」と判断。全てを滅ぼしてゼロにすることを目論む。その真の首魁はパラケルススであったとされる。
狂科学ハンターREI(著:中里融司)- ライトノベル
「黄金の薔薇」という組織名で疑似科学を「秘宝科学」と呼称し、その技術を用いて人間を更なる次元に導く(要は世界を支配する)事を目的としている。
トリニティ・ブラッド(著:吉田直
テロ組織「薔薇十字騎士団(ローゼンクロイツオルデン)」。通称「世界の敵(コントラ・ムンディ)」と呼ばれる。「我ら、炎によりて世界を更新せん」というスローガンのもと、各地で行動している。目的は世界の速やかなる終焉。

アニメ作品[編集]

機動戦士Zガンダム
ジャミトフ・ハイマンの提唱によりジオン軍残党の掃討を名目に設立された地球連邦軍の特殊部隊「ティターンズ」は、ローゼンクロイツと繋がりが有るとされている。
アキハバラ電脳組
創設者のクリスチャン・ローゼンクロイツが黒幕的な役回りで登場。本編の鍵となるパタPi・ディーヴァを開発。

音楽作品[編集]

薔薇十字教団の最初の思想(1891)、「星たちの息子」への3つの前奏曲(1891)、薔薇十字教団のファンファーレ(1892)
エリック・サティがモンマルトルの文学酒場「黒猫」のピアニストをしていたころ、ジョセファン・ペラダンフランス語版という神秘小説家と出会った。ペラダンの主宰する秘密結社「聖堂と聖杯のカトリック・薔薇十字教団」の公認の作曲家として書いたのがこれら3つの作品である。しかしペラダンの専横ぶりに耐えられず、2年たらずでサティはこの教団と決別することになる。

関連書籍[編集]

外部リンク[編集]