蔚山級フリゲート

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蔚山級フリゲート
Port view of ROK ship Kyong Buk (FF 956) near San Diego, CA.jpeg
概歴
艦種 フリゲート・護衛艦(FF)
建造期間 1980年 - 1992年
就役期間 1981年 - 就役中
前級 豆満級フリゲート
次級 仁川級フリゲート
性能諸元
排水量 軽荷:1,500t
基準:2,180t
満載:2,300t
全長 102m
全幅 11.5m
吃水 3.5m
機関 CODOG方式
MTU 12V956 TB82ディーゼルエンジン (3,600 bhp) 2基
LM2500ガスタービンエンジン (27,200 shp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大34ノット
航続距離 4,000海里 (15ノット巡航時)
乗員 士官25名+下士・兵120名

蔚山級フリゲート(うるさんきゅうフリゲート、朝鮮語: 울산급 프리키트)は、大韓民国海軍が運用するフリゲートの艦級。設計はHDF-2000型と称されており、韓国型護衛艦(FFK)の計画のもとで9隻が建造された。

設計[編集]

1970年代朴正煕政権は「自己完結型の国防力整備を目指した8ヶ年計画」を発表した。これは国内技術による艦隊建設を志向したものであり[1]、これに基づいて建造された、韓国初の国産大型水上戦闘艦が本級である[2]

設計は、おおむね、並行して設計・建造された東海級コルベット(HDC-800型)と同系列のものとなっている。船型は平甲板型とされており、比較的乾舷の低い船体の上に4層と背の高い上部構造物が設けられている。復原性確保のため上構はアルミニウム合金製とされているが、それでも不足があり、就役後に固定バラストを追加搭載している。また艦内艤装には木材が多用されるなど、ダメージコントロールの面で問題が指摘されていた[3][4]

主機関としては、巡航機としてドイツMTUフリードリヒスハーフェン社製MTU 12V956 TB82ディーゼルエンジン(3,600馬力)2基、高速機としてアメリカ合衆国ゼネラル・エレクトリック社製LM2500ガスタービンエンジン(27,200馬力)2基を搭載し、減速機を介して2軸の可変ピッチ・プロペラを駆動するCODOG方式が採用された[5]

装備[編集]

本級は、韓国海軍の水上戦闘艦として初めて艦対艦ミサイルを搭載するなど、重兵装を志向している。ただし基本的には砲熕兵器を主体とする砲装型フリゲートであり、就役時点から既に時代遅れの感は否めなかった[2]

艦橋構造物後部には塔状の前檣が設けられている。その頂部には、前期型では砲射撃指揮と低空警戒兼用のシグナール社(現在のタレス・ネーデルラント社)製Xバンド・レーダーであるWM-28の卵型レドームが設置されていた。後期型では、やはりXバンドで動作するマルコーニ社製S-1810対空・対水上捜索用レーダーに変更されており、砲射撃指揮用としては、同社のS-1802が艦橋構造物上に設置された。また後檣上にはSバンドの対空捜索レーダーであるDA-05が設置されていた。なお、ソナーとしては、当初はシグナール社製、10キロヘルツ級のPHS-32を船底に備えていたが、のちにレイセオン社の同級機であるDE-1167に換装された[5]

主砲としては、76mmコンパット砲を上構前端の01レベルと艦尾甲板上に1基ずつ設置されていた。これを補完する中口径機銃としては、当初はエリコンKCB 30mm機銃を連装に配した米エマーソン社製の有人砲塔であるEX-74を搭載しており、艦橋直前の02レベルに1基、艦橋構造物直後の同レベル両舷に各1基、上構後端の01レベルに1基の計4基が搭載された。後期型ではコンパット・フォーティー40mm連装機銃に変更され、艦橋直前の02レベルのほか、上構後端に大型の甲板室を設けて、その上面両端の02レベルに1基ずつの計3基を搭載した。なお主兵装であるハープーン艦対艦ミサイルは、4連装発射筒2基に収容されて、煙突直後の01レベル両舷に搭載されている[3][5]

前期型
(FF-951〜956)
後期型
(FF-957〜961)
兵装 76mmコンパット砲×2基
30mm連装機銃×4基 40mm連装機銃×3基
ハープーンSSM 4連装発射筒×2基
Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基
Mk.9 爆雷投下軌条×2条 (爆雷×計12発)
レーダー DA-05 対空捜索用
ZW-06 対水上捜索用 S-1810 対空・対水上捜索用
WM-28 砲射撃指揮用 S-1802 砲射撃指揮用
ソナー DE-1167 船底装備式
電子戦
対抗手段
ULQ-11K電波探知装置
Mk.137 チャフフレア発射機×4基
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置

配備[編集]

艦名は、大韓民国の地方行政区画から採られている。

同型艦
建造時期 番号 艦名 建造 進水 就役
前期型 FF-951 蔚山(ウルサン)
ROKS Ulsan
現代重工業 1980年4月8日 1981年1月1日
FF-952 ソウル
ROKS Seoul
1984年4月24日 1985年6月30日
FF-953 忠南(チュンナム)
ROKS Chungnam
Korea SEC 1984年10月26日 1986年6月1日
FF-955 馬山(マサン)
ROKS Masan
韓国タコマ 1984年10月26日 1985年7月20日
FF-956 慶北(キョンブク)
ROKS Kyongbuk
大宇造船海洋 1986年1月15日 1986年5月30日
後期型 FF-957 全南(チョンナム)
ROKS Chonnam
現代重工業 1988年4月19日 1988年6月17日
FF-958 済州(チェジュ)
ROKS Cheju
大宇造船海洋 1988年5月3日 1990年1月1日
FF-959 釜山(プサン)
ROKS Pusan
現代重工業 1992年2月20日 1993年1月1日
FF-961 清州(チョンジュ)
ROKS Chongju
大宇造船海洋 1992年3月20日 1993年6月1日

輸出[編集]

台湾への輸出が構想されたがこれは実現せず、代わって採用されたのがフランス海軍ラファイエット級フリゲートをベースに独自兵装を施した康定級フリゲートである。

その後、バングラデシュにウルサン級を原形としたDW 2000H型(バンガバンドゥ)を1隻輸出することに成功した。しかし、運用すると数多くの欠陥が見つかった上に[6]、当時経営危機下にあった大宇財閥にあえて発注しリベートを受け取ったとして、バングラデシュ国内では発注時の首相までまきこむ汚職事件となった[7]

参考文献[編集]

  1. ^ 香田洋二「韓国海軍 その現況と将来 (特集・韓国海軍の現況)」、『世界の艦船』第704号、海人社、2009年4月、 75-81頁、 NAID 40016485796
  2. ^ a b 大塚好古「韓国海軍力の現況 (特集 朝鮮半島をめぐるシーパワー)」、『世界の艦船』第780号、海人社、2013年7月、 76-83頁、 NAID 40019692165
  3. ^ a b 「写真特集 今日の韓国軍艦」、『世界の艦船』第704号、海人社、2009年4月、 21-42頁、 NAID 40016485791
  4. ^ 「写真特集 今日の韓国軍艦」、『世界の艦船』第780号、海人社、2013年7月、 21-42頁、 NAID 40019692113
  5. ^ a b c Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 409. ISBN 978-1591149545. 
  6. ^ 日本周辺国の軍事兵器 ハーリド・ビン・ワリード級フリゲイト(DW-2000H型)
  7. ^ http://www.tribuneindia.com/2002/20020809/world.htm#2
    http://www.spacewar.com/2003/030804084326.3wceevqc.html

外部リンク[編集]