菅野ひろゆき
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菅野 ひろゆき(かんの ひろゆき)は、主にコンシューマ市場、Windows-PC市場で活動する日本のゲームデザイナー・シナリオライター。旧名ペンネーム、剣乃(けんの)ゆきひろ。東京都出身。1997年に株式会社アーベルを設立し代表取締役社長へ就任。
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[編集] 経歴
[編集] 小学生~中学生時代
本人の談によると「読書の虫」だった時期。ミステリーをむさぼり読む。コナン・ドイル、エラリー・クイーン、ディクスン・カーといった古典から現代物まで。冒険小説の要素を含んだものを特に好んだというだけあって、「怪盗ルパン」が大のお気に入り。ミステリーを読み尽くすとSFに手を伸ばし、アシモフなどに熱中する。
[編集] 高校時代
海外のパソコンゲームに熱中する(『ウィザードリィ』や『ウルティマ』、『デゼニランド』)。この時の感動が菅野のゲーム観の原点となる。
[編集] シーズウェア時代
大学卒業後、ゲーム業界へ。姫屋ソフト(ブランド名、シーズウェア)に就職。 在学中での就職という説もあるが、定かではない。
『禁断の血族』でプログラムを担当する。ゲームのプログラミングは未経験であった為、試行錯誤を重ねることになる。
続く『悦楽の学園』においては、プログラムに加えシナリオも担当。制作期間は二ヶ月ほどしかなかったが、短期間でゲームを完成させたことに菅野は満足していた。しかし発売後、パソコン通信での電子掲示板を見て『悦楽の学園』評価が、菅野の予想よりもはるかに悪く、ショックを受ける。特に「デジタルコミックに過ぎない」という評価がこたえたという。その中で、作り手の苦労などは対価を支払って購入するユーザーには関係のないことだと気付かされる。環境の悪さを言い訳にしていた菅野は、これを機に考えを改め、短い期間でどうしたら面白いゲームを作れるか思案することになる。以後、シーズウェア・ブランドのコンテンツは、全て菅野が企画・脚本・ゲームデザイン・プログラムを一人で手がけることとなる。
そんな環境から生み出されたのが『DESIRE』である。翌年、マルチサイトシステムを再び採用した『EVE burst error』が爆発的なヒットを記録。菅野の名声はさらに高まった(上述の作品はいずれもPC98用)。なお、「EVE」シリーズの続編に、菅野ひろゆきは一切関わっておらず、また今後も関わる予定はないと雑誌インタビューにてコメントしている。菅野ひろゆき作品といえるのは第一作目の『EVE burst error』のみである。
その後、エルフに移籍する。1997年、『DESIRE』および『EVE』はシーズウェアに残ったスタッフの手によってセガサターンに移植されるが、企画・脚本・ゲームデザイン・プログラムを担当した菅野ひろゆき(当時:剣乃ゆきひろ)の名前は、スタッフロールには載らなかった。
[編集] エルフ時代
姫屋ソフト(シーズウェア)を退社後、美少女ゲーム業界の老舗と称されるエルフの取締役に就任する。これによりシーズウェア時代は、作品の制作期間が二ヶ月から四ヶ月ほどしかなかったが、エルフにおいては八ヶ月もの制作期間を得る。また、プログラマを兼任する必要がなくなり、ゲームデザインやシナリオの製作に専念できる環境の中で『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(PC9801用、1996年12月26日発売)を開発する。
『ウィザードリィ』などを愛好する彼は、ダンジョンRPGのオートマッピングをヒントに、「A.D.M.S.(Auto Diverge Mapping System)」というシステムを作り上げる。これは、『弟切草』に始まる単純なマルチエンディングを快く思わない菅野が、マルチエンディングの新たな可能性を世に示すために考案したものだった。
当初は現代編を序章、異世界編を本編とする予定だった。しかし、開発の遅れから、現代編を本編とせざるを得なかったという。このため、菅野は自分の中で『YU-NO』を駄作と位置づけるが、発売後、ユーザーに絶賛されたことを受け、自信を取り戻す。
そしてセガサターン版『YU-NO』(1997年12月4日発売)の完成をもって、エルフの取締役を退任する。
[編集] 菅野とエルフ
エルフの過去のゲームが次々とリメイクされるのに対し、人気作であるはずの『YU-NO』は、ほとんど内容に変更のないまま「大人の缶詰」という形でしかWindowsに移植されていない。 しかし菅野は、2004年講談社発行の「小説現代別冊ファウスト」誌上のインタビューにて「エルフの環境があったからこそYU-NOを作ることができた」と述べている。
[編集] ふたつのペンネーム
シーズウェアとエルフに在籍していた時のペンネームは「剣乃ゆきひろ」である。エルフを退社する際、エルフがこの名を商標に出願していることを知り、本名を名乗るようになる。しかしながら、エルフが実際に出願していたのは「剣乃ひろゆき」であった(登録番号:第4255615号)。これを受けてか、「菅野ひろゆき」という名前も株式会社アーベル名義で商標登録されている(登録番号:第4326529号)。
雑誌インタビューにて「年齢制限を設けた方が表現の自由度が向上する」と語り、作品内では「菅野ひろゆき」という名前は伏せているものの、会社設立後も美少女ゲーム市場(主に成人向け)でゲームを製作している。その一方、コンシューマ市場においては、「菅野ひろゆき」名義で活動している。最新のアーベル発行の同人本によると、アーベルはCESA(社団法人コンピュータエンターテインメント協会)に加盟しているメーカーであるから、というのがその理由らしい。年齢制限を設けたソフトをWindows-PCで販売するときは系列の別会社からとするなど、コンシューマとPCの商品は明確に区分けしている。
[編集] アーベル時代
1997年12月、株式会社アーベルを設立、代表取締役社長に就任。独立の理由は「理想の環境を求めて」だという。コンシューマ市場でオリジナル作品を制作した経験はまだなかったが、『DESIRE』『EVE』『YU-NO』がSSに移植されたことにより、菅野の知名度はコンシューマ市場にも広まっていた。そのため、アーベルの設立はゲーム雑誌などでも取り上げられ、話題となる。
1998年11月26日、最初の作品としてPS版『EXODUS Guilty』(以下『EG』)を発売。『EG』は十数万本を販売したと言われ、セールス的には成功した。
菅野は会社設立以後もAVGの製作を熱心に続け、『不確定世界の探偵紳士』『ミステリート~不可逆世界の探偵紳士~』(以上、「探偵紳士」シリーズ)、『十次元立方体サイファー』、アーベル初のRPG『カード・オブ・デスティニー』(企画・原案・ゲームデザイン)など、ゲーム性・シナリオ性を重視した作品をリリース。
特に『ミステリート』は、キャラクター性に特化したコミック的手法を採られており、数ある菅野ひろゆき作品の中で唯一続編を意識した作りになっている。本作品は2006年5月にPlayStation2に移植され、ファミ通ではシルバー殿堂入りとなった。折しも2003年に7回目の移植をされた『EVE burst error +』(販売ゲームビレッジ)も同ポイントで殿堂入りしており、独立後も高い人気・評価を獲得している。
近年では、Windows-PCにてグループ会社(アーベルソフトウェア(notアーベル)、デジアニメ・コーポレイション、ディサベル、レッドレーベル等々)からアダルトゲームとして作品をリリースした後に、アーベルがコンシューマへ移植するというビジネスモデルが確立されている。
[編集] シナリオ
SFとミステリーを愛読しているというだけあって、タイム・トラベルと探偵を扱った作品が多い。『DESIRE』、『YU-NO』、『エクソダスギルテイー』、『カード・オブ・デスティニー』が前者、『EVE』、『不確定世界の探偵紳士』、『ミステリート(第1作目)』等が後者に当たる。『十次元立方体サイファー』では2種類のシナリオがあり、両方のパターンに含まれる。よく取り上げられるテーマは、自己犠牲、友情、愛、生命倫理である。下記に代表作を記す。
- DESIRE
- SFとしては古典とも言える時間の無限ループが物語の核。企画・脚本・ゲームデザイン・プログラムを担当。
- EVE burst error
- 連続殺人の謎を追う。企画・脚本・ゲームデザイン・プログラムを担当。
- この世の果てで恋を唄う少女YU-NO
- ある装置を使いパラレル・ワールドを旅する。企画・脚本・ゲームデザイン・総合プロデュースを担当。
- エクソダスギルティー
- 現代、過去、未来の3人の主人公が各々の時代で話をすすめ最後にリンクしていく。企画・脚本・ゲームデザインを担当。
- 不確定世界の探偵紳士(探偵紳士DASH)
- 探偵となって様々な依頼を解決する。企画・脚本・ゲームデザインを担当。
- カード・オブ・デスティニー
- アーベル初のRPG作品、伝説の勇者アスとなって乱れた王国を平定する。企画・原案・ゲームデザインを担当。
- ミステリート~不可逆世界の探偵紳士~(ミステリート~八十神かおるの事件ファイル~)
- 探偵紳士の続編。18歳の女装する少年探偵となって難事件を解決する。企画・脚本・ゲームデザインを担当。
- 十次元立方体サイファー
- 閉鎖空間で1週間を過ごすことになった主人公がその館に秘められた謎に迫る。推理系とSF系の2つの結末があり、どちらのエンディングになるかはゲームインストール時にランダムで決まる。企画・脚本・ゲームデザインを担当。
[編集] システム
シナリオはAVGの一部に過ぎないと考える菅野は、シナリオとシステムの融合を模索する。物語を様々な方向から追う『DESIRE』や『EVE』のマルチサイトシステム、AVGの新たな可能性を提示した『YU-NO』のA.D.M.S.などに、菅野の努力のあとが見られる。本や映画では不可能な表現を実現するのが目標だという。
[編集] 主な作品の売り上げ
| タイトル | 機種 | 発売日 | 売り上げ | 出典 | |
|---|---|---|---|---|---|
| DESIRE | PC98 | 1994年07月22日 | 不明 | - | |
| DESIRE | SS | 1997年09月11日 | 10万2187本 | A-B | |
| EVE | PC98 | 1995年11月22日 | 2847ポイント | B-A | |
| EVE | SS | 1997年01月24日 | 19万5071本 | B-B | |
| EVE | 〃 | 〃 | 18万9003本 | B-C | |
| EVE | 〃 | 〃 | 18万9142本 | B-D | |
| EVE | Win | 1997年05年30日 | 9475本 | B-E | |
| YU-NO | PC98(CD版) | 1996年12月26日 | 3万0553本 | C-A | |
| YU-NO | PC98(3.5FD版) | 〃 | 1万5291本 | C-B | |
| YU-NO | SS | 1997年12月04日 | 24万0820本 | C-C | |
| YU-NO | 〃 | 1997年12月04日 | 22万3494本 | C-D | |
| YU-NO | 〃 | 1997年12月04日 | 13万9509本 | C-E | |
| YU-NO | 〃 | 1997年12月04日 | 15万6956本 | C-F | |
| EG | PS | 1998年11月26日 | 6万5152本 | D-A |
- A-B:週刊ファミ通460号、461号(集計期間…1997年9月11日~21日)
- B-A:月刊デジタルメディアインサイダーNo.2 1996 Feb.(集計期間:1995年11月30日まで、販売数とポイントの関係は不明)
- B-B:週刊ファミ通700号(集計期間:1997年末まで)
- B-C:セガサターンマガジン1997年Vol.4~Vol.10(集計期間:不明)
- B-D:月刊デジタルメディアインサイダーNo.4 1997 Apl.~No.6 1997 Jun.(集計期間:1997年3月31日まで)
- B-E:月刊デジタルメディアインサイダーNo.8 1997 Aug.~No.11 1997 Nov.(集計期間:1997年8月31日まで)
- C-A:月刊デジタルメディアインサイダーNo.3 1997 Mar.~No.6 1997 Jun.(集計期間:1997年3月31日まで)
- C-B:月刊デジタルメディアインサイダーNo.3 1997 Mar.~No.5 1997 May.(集計期間:1997年2月28日まで)
- C-C:電撃セガサターンVol.17(集計期間:1997年12月4日~1998年2月8日)
- C-D:セガサターンマガジン付「サターンのゲームは世界いちぃぃぃ!」(集計期間:不明)
- C-E:週刊ファミ通700号(集計期間:1997年12月4日~12月28日)
- C-F:月刊デジタルメディアインサイダーNo.3 1998 Mar.~No.4 1998 Apr.(集計期間:1998年1月31日まで)
- D-A:週刊ファミ通523号、524号(集計期間:1998年11月26日~12月6日)
※SS版EVEおよびSS版DESIREの製作には関わっていない。
[編集] 趣味など
ピアノの演奏と数学をたしなむ。また、作風から物理や哲学にも造詣が深いと見られる。
よく読むもの…「週刊文春」。話題になった小説、漫画、映画、ゲーム。
[編集] 代表作
[編集] 剣乃ゆきひろ名義
以上5作品はプログラムも担当している。
パッケージ・広告デザインも担当している。
[編集] 菅野ひろゆき名義
- EXODUS Guilty
- カード・オブ・デスティニー(PC版ではノンクレジットだったが、セガDreamcast移植版においては企画・原案・ゲームデザイン・監督となっている)
- 十次元立方体サイファー~蒼き月の水底~(「ミステリートの脚本家」がシナリオ担当者である)
- 十次元立方体 サイファー~ゲーム・オブ・サバイバル~(PS2移植版、企画・脚本・ゲームデザインと明記)
- すくぅ~る・らぶっ!~恋と希望のメトロノーム~ (企画・ゲームデザイン・監督)
- 不確定世界の探偵紳士(不確定世界のシナリオ担当者は「Hiroyuki.K」であり、菅野であることは明白。Dreamcastでの移植版『探偵紳士DASH』では「菅野ひろゆき」とクレジットされている)
- ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~(シナリオ担当者が非公開になっているが、2000年にセガDreamcast用ソフトとして開発が発表された時に、菅野の名が企画・シナリオとして紹介されている)
- ミステリート ~八十神かおるの事件ファイル~(PS2移植版、企画・脚本・ゲームデザインと明記)
- ミステリート 八十神かおるの挑戦!(PSP移植版。企画・脚本・ゲームデザイン・監督)
- ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~(「妃路雪≠卿」名義。企画・脚本・ゲームデザイン担当。)
[編集] 参考文献
- ZDNet Japan(現ITmedia)
- 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO 完全ガイド』 辰巳出版 初版発行:1997年5月15日 ISBN 4-88641-197-5 定価:2000円(税別)
- 『エクソダスギルティー ワールドガイダンス(EXODUS Guilty World Guidance)』 発行所:ソフトバンク パブリッシング株式会社 初版発行:1999年4月30日 ISBN 4-7973-0842-7
- 『ダ・ヴィンチ Vol.87』(2001年7月号) 発行所:メディアファクトリー
- 『エクソダスギルティー ネオス 公式ガイドブック』 発行所:株式会社エンターブレイン 初版発行:2001年6月22日 ISBN 4-7577-0487-9
- 『ファウスト 2004 MAR Vol.2』 発行所:株式会社講談社 初版発行:2004年3月19日 ISBN 4-06-179554-6 定価:1048円(税別)
- 『アーベル同人本 コミックマーケット2004夏』