花嫁吸血魔

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花嫁吸血魔』(はなよめきゅうけつま)は、1960年新東宝が公開した日本怪奇映画並木鏡太郎監督、池内淳子主演。白黒、80分、新東宝スコープ。

目次

[編集] あらすじ


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


深山の岩屋の奥に、不気味な老婆・お琴が下男の捨助とともに棲んでいた。老婆は平安時代から続く陰陽師の名門・影山家のお家再興を夢見て、コウモリの生き血をすすり、その霊力で数百年生き永らえていたのだった。

白井藤子は「ニュー東京舞踊学校」に通う若い女学生で、滝内喜代子・篠原英子・玉木里枝・光武早苗とは同級生。喜代子は、映画の主役に自分ではなく藤子が抜擢されたのを妬む。英子は、交際する新聞記者大田が藤子に心変わりしたことを知って憎む。里枝も、好意を寄せる新聞記者光武貞夫が藤子に夢中なので憎む。光武は、妹・早苗の友である藤子と惹かれ合っている。藤子の家には借金取りがたびたび押しかけるので、母は苦しむが、藤子の将来が明るいので喜ぶ。映画撮影所に挨拶回りし、光武とも良好で、前途洋洋の藤子。

ある日、その男女7人が岬にハイキングに出かけた。藤子を憎む喜代子・英子・里枝の3人は、スキを狙って藤子を断崖から突き落とす。藤子は命を取り止めるが、顔面を砕いて左目に大怪我をし、映画女優としては再起不能になる。藤子の母は、借金から家を強制執行され、絶望して自刃してしまう。藤子は、母の遺書に従って山奥の「お化け屋敷」に曾祖母のお琴を訪ねる。ついに影山家再興の時が来たと狂喜するお琴は、藤子の事故が喜代子らの企みであることを教え、その仇を討つよう言い含めた。

お琴は藤子の左目にコウモリの死骸を貼り付け、治癒のための呪術をかけ祈祷を行う。だが、間もなく気がついた藤子は、さらにひどく左目の崩れたおのが容貌に絶望し、自刃して絶命してしまう。藤子の亡骸を前に、なおも執念を燃やすお琴は自らの命を捧げて呪術をかけると、藤子は元の顔に戻って息を吹き返した。そして、大きな爪や牙が生えた毛むくじゃらの怪物に変身した。光武は、藤子を追って山へ来るが、藤子の墓を見て諦める。

東京で美人コンテストが開催され、映画スターになった喜代子とモデルになった英子が審査員になる。コンテストに、藤子にそっくりの「影山小夜子」が現れて優勝し、スターになる。藤子に気があった大田は、瓜二つの小夜子をモノにしようと襲うが、彼女は怪物に変貌して太田を噛み殺して姿を消す。英子も謎の怪物に襲われて殺される。喜代子も作曲家との結婚式の夜に、怪物に殺される。光武と婚約していた里枝は、一連の事件が藤子の復讐だと悟って脅える。復讐とはいえ、もう人殺しはしたくないと苦悩する小夜子 = 藤子。

里枝の実家の村で、里枝と光武の婚礼が行われる日が来た。小夜子は東京からマイカーで駆けつけ、光武に品物を渡して2人を祝う。もう人殺しはいや、と帰途の車中で思う小夜子に、復讐を迫るお琴の声が響き、またもや小夜子は怪物に変身してしまう。婚礼の夜、ついに怪物は花嫁姿の里枝を噛み殺す。里枝の父親に猟銃で撃たれ、致命傷を負った怪物は森の中に逃げ込む。村長は村人に山狩りを命じる。ひとり怪物を探す光武。彼が沼にたどり着くと、怪物は絶命して小夜子 = 藤子の姿に戻っていた。光武は藤子の亡骸を抱きかかえる。


[編集] 解説

池内淳子がおどろおどろしい怪物役を演じて話題となった怪奇映画。当時池内は新東宝からデビューして脚光を浴びていたが、柳沢真一と結婚して1957年に一時芸能界を引退していた。が、翌1958年には早くも離婚して新東宝に女優復帰したが、「結婚に反対であった新東宝社長の大蔵貢から冷遇され、本作のような『毛むくじゃらの怪物』という不本意な役も泣く泣く引き受けなければならなかった」、また「池内は後に新東宝より本作のフィルムを買い取り、焼却処分してしまった」などと噂された。

しかし経営末期の新東宝としては、とくに池内だけが怪物やお化けを演じさせられていたわけではなく、他の女優たちも同様の扱いを受けていた。実際のところは、当時の「エログロ路線」の一環として、池内にもこういう役周りが巡ってきたもののようである。小林悟監督ら当時のスタッフや俳優たちも、「ホントに嫌がらせをするなら作品に出さず飼殺しにするだろう」と述べてこの噂を否定している[1]

物語は華やかな映画界を舞台としており、劇中にも映画のスタジオやロケバス、俳優が行き交う映画の撮影風景が描写されている。これらのシーンは、当時の新東宝の敷地・設備を使って撮影されている。

[編集] 吸血魔

藤子が変身する毛むくじゃらの怪物。特に劇中での呼称は無いので、作品題名に従って「吸血魔」とする。

全身を黒い毛におおわれた怪物で、腕から伸びた毛がマントのように垂れ下がっており、神出鬼没で、コウモリのように両手を羽ばたかせるような仕草で徘徊する。 猛獣のような咆哮を上げ、藤子を陥れた者たちに襲いかかり、鋭い牙と爪で殺してしまう。その歯と爪の痕から、警察も人外の獣の仕業と断定している。

一部スタント・アクションがあり、池内だけが演じていたわけではないようである。藤子の容貌が毛むくじゃらになり、怪物に変身するシーンは光学処理で描かれ、見事なシーンとなっている。

[編集] 宣伝文句

公開当時、各劇場には本作の「宣伝ポイント」として、

  • 「純情池内淳子が、今までの殻を打ち破って、吸血魔と化して友人たちに復讐するという美貌のヒロインという難役を体当たりで熱演するほか、フレッシュガール三田泰子以下、瀬戸麗子、矢代京子、天草博子等の華麗な女優陣と、ハンサムタワーズの寺島達夫高宮敬二等の魅力男性陣が夫々適役を得て好演する豪華娯楽大作です」
  • 「友人たちに恨みを抱かれて死に追いやられた美貌のヒロインが、吸血魔と化して次々と復讐していくという全編を奇怪な殺人事件のスリルとサスペンスで彩った異色戦慄編です」

との説明文が配られた。文章は「以上の2点を強く且つ大きく訴えていただきます」と締められていて、池内淳子の本格女優復帰を強く打ち出す内容となっている。

[編集] スタッフ

[編集] キャスト

  • 池内淳子:白井藤子(舞踊学校の女学生) / 影山小夜子(謎の美人スター)
  • 天草博子:滝内喜代子 - 藤子の級友。後に映画スターになる。
  • 瀬戸麗子:篠原英子 - 藤子の級友。新聞記者大田の恋人で、後にモデルになる。
  • 三田泰子:玉木里枝 - 藤子の級友。光武貞夫に好意をもつため、藤子を憎む。
  • 矢代京子:光武早苗 - 藤子の級友。
  • 寺島達夫:光武貞夫 - 新聞記者で、早苗の兄。藤子に好意を寄せるが、里枝と結婚する。
  • 高宮敬二:大田基保 - 新聞記者で、光武の同僚。篠原英子の恋人だが、藤子に心変わりする。
  • 津路清子:白井道子 - 藤子の母。
  • 五月藤江:お琴様 - 山中の屋敷に住む老婆で陰陽師。藤子の曾祖母に当たる。
  • 由木城太郎:捨助 - お琴に従う下男。「ノートルダムのせむし男」風の風貌である。
  • 山下明子:校長女史 - 藤子が通う舞踊学校の校長。
  • 西一樹:作曲家石山 - 滝内喜代子と結婚する。
  • 国創典:玉木里枝の父親 - 里枝の実家で結婚式を取り仕切る。
  • 岡竜光:映画監督 - 藤子を映画女優に抜擢する。
  • 秋山要之助:村長 - 里枝の実家のある村の村長。

[編集] 脚注

  1. ^ 『幻の怪談映画を追って』(山田誠二、洋泉社、1997年)

[編集] 映像ソフト化

2001年にバップからDVDが発売されている。

[編集] 外部リンク

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